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修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー

2016.02.26【Vol.1323】

NICCA 33 編(不具合の原因)

NICCA 33 編(不具合の原因)

浮き世の義理とでも申しましょうか?カメラ修理同好会の指導を頼まれ、課題をもうけていますが、時として課題以外の民具を持参します。
となれば、講師の思考は混乱し対応に苦慮します。ましてや初顔あわせなら尚更です。
相談を受けましたNICCAの主訴は、シャター切れず・巻き上げ出来ず。なのです。
機構的にシャターが切れなければ巻き上げ出来ず。又逆の事も言えるわけです。
主訴から観察するとシャターは切れていました。でも巻き上げが出来ないのですから、主訴と一致します。何故巻き上げが出来ないかの原因を探ることにします。

バルナック型はフィルム装填に注意が必要です。装填法によってはフィルム片が発生し、歯車等に咬み悪さをします。
赤矢印①はシャタードラム軸で、辿ると上部の秒時機構部と繋がっており、後幕ブレーキ(赤矢印②)を動かし、赤矢印③後幕ブレーキバネ力量によって走行を停止します。

NICCA 33 編(不具合の原因)

それでは、シャタードラム軸の動きと後幕ブレーキの関係を観察することにします。
上記画像は1/3された画像をレイヤーしてあります。
上部の1/3画像はシャターを巻き上げた状態です。
中程の1/3画像はシャターを切った状態で後幕力量が十分に働かず、飛び込み量不足状態です。
下段の1/3画像は適正に後幕ブレーキが働いた状態であり、シャタードラムが適切な位置で停止しています。
中程・下段の赤点線部を比較してみてください。明らかにシャタードラムの飛び込み位置に違いがあります。では、飛び込み量不足の原因を探ることにします。

NICCA 33 編(不具合の原因)

シャタードラム軸(赤矢印)が飛び込み不足になると巻き上げ係止レバーを作動させる事が出来ず、赤丸の係止が外れませんから巻き上げが出来ないのです。
此処で底部の機構と上部の機構と繋がりがあることが判ります。
強制的に巻き上げ係止レバーを逃がし、作動させて原因を探ります。
原因が判明しました。シャター幕走行音に異音がしました。先・後幕軸受けの油切れです。

NICCA 33 編(不具合の原因)

1958年(昭和31年)5月に発売されていますから、製造から2年目の製品でしょうか?

NICCA 33 編(不具合の原因)

どうしてもスカートと本体が分離できない。理由は赤丸部擬皮の一部が本体側に貼ってありました。

NICCA 33 編(不具合の原因)

無事に分解できシャター幕軸に注油することが出来ました。 注油することで摩擦係数が軽減され、シャター幕走行力量が改善され、後幕ブレーキの飛び込み量も改善されたのです。

隠居人 田口由明

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