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修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー

2017.03.31【Vol.1440】

SEIKI CANON 編(縫い目が欲しい)

SEIKI CANON 編(縫い目が欲しい)

以前修理をお願いしてシャッター幕を交換しましたが、レンズを外し確認したところ幕に縫い目がありません。何とかならないかとカメラ修理同好会参加者に知人が託したそうです。
でもね!年月の経過した民具は何が起こるか判りません。
固辞したのですが、手縫いでもと押し切られてしまいました。
この所続きます稀少な民具です。

SEIKI CANON 編(縫い目が欲しい)

距離計の飾り環と距離計作動ネジを外します。最後に赤丸部にありますレンズ部を固定する剣先ネジを外し本体から分離します。

SEIKI CANON 編(縫い目が欲しい)

ヘリコイドがガリガリしています。
ロックレバー及びヘリコイド作動歯車に距離計連動歯車を腑分けします。
そして外ヘリコイドから内ヘリコイドを分離します。歯には無理をした痕跡が残っていました。レンズ部を外した後、固着したグリスと汚れを洗浄します。

SEIKI CANON 編(縫い目が欲しい)

塗布するグリス?はニコンS型ですとグリスでは無く水性オイルを注します。
同じニコン製ですが、仕様が大きく違いますから何度かグリスの選択をいたし、程良い回転になりました。

SEIKI CANON 編(縫い目が欲しい)

巻上もガリガリでした。歯車等はブラシを利用し洗浄します。
最初に確認したときに重大な問題がありました。巻き上げた時に規定位置より戻ってしまうのです。その重要な働きを担っているのが「逆転防止バネ」です。
困りましたね。製造時代へ探しにテレポーテーションするわけにもいかず、一途の望みでⅡDの部品を移植したところ解決したのです。

SEIKI CANON 編(縫い目が欲しい)

両幕を貼ったまま縫うのは剣呑です。
思った通りリボンは経年変化により性が抜けていました。これでは縫っている間に切れる恐れがあります。先ずはリボンを新しくすることにしました。

SEIKI CANON 編(縫い目が欲しい)

縫い目は返し縫いを致します。黒布に黒糸は目をしばたきながらの作業でした。
兎も角、両幕を縫い終わり完成しました。
販売価格は軽乗用車並ですので気苦労も多く今後は願い下げですね。

隠居人 田口由明

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