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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2013.09.06【Vol.132】

レンズ構成の話 テッサータイプ

テッサータイプ

写真用の交換レンズのカタログなどを眺めていると、スペックの表記のところに「何群何枚」といったレンズの構成を表す表記が出ています。そのレンズが何枚のレンズを使い、何群(グループ)で構成されているかということが書かれています。その中でも今日に至るまで製造され、またレンズの中ではもっとも有名と言っても過言ではないレンズにカールツァイスのテッサーがあります。

テッサーはドイツのレンズ設計者パウル・ルドルフとエルンスト・ヴァンダースレプにより1902年に完成しました。当初開放F値はF6.3と暗く、その後1917年ごろにF4,5、その後1930年代にF2.8と次第に明るくなっていきます。画像を見ていただくわかるように、レンズ構成は3群4枚、後群2枚張り合わせのシンプルな設計です。歪みがなくボケもキレイ、そして何よりもピントがシャープという、今で言えばいたって極普通の写りをするレンズなわけですが、発表された当時のレンズに比較してあまりにもよく写るため、大変な評判になりました。

テッサーという名称及び構成はカールツァイスの特許だったわけですが、他のカメラメーカーやレンズメーカーも設計を真似します。特許に抵触しないようにわずかな設計変更で得られたそれら「テッサータイプ」と呼ばれるレンズの登場です。有名なところではライツのエルマー、フォクトレンダーのスコパー、コダックのエクターなどがテッサータイプとして挙げられます。

平行してトリプレットタイプと呼ばれる、レンズを3枚使用しただけの優秀なレンズがあったのですが、周辺の独特の写りが敬遠されることもありテッサータイプが一般的なレンズとして広く定着されていきます。カメラの上位機種にはテッサータイプ、下位機種にはトリプレットタイプというような棲み分けができるほどで、1960年代のカメラの仕様にはそれらの姿を見ることができます。製造本数は派生型を含め非常に多く、少し古いカメラだとすぐに目にすることができます。時代により細かな違いはありますが、80年以上前のテッサーで未だに撮影してもその写りの優秀さは変わりません。このように歴史的に優れたレンズがあったからこそ今のレンズの発展があったのではないだろうかとしみじみ考えてしまします。


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