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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2013.10.18【Vol.138】

ガラス乾板の話

ガラス乾板

写真が発明されてから約190年近く経ちます。写真は、光を何らかの媒体に当てて感光させ、被写体となるものを定着して画像を得ることで、簡単に言えば撮影を行い被写体を何かに記録するということです。その記録媒体(支持媒体)にはデジタルセンサーやフィルムなどいろいろなものがあり、その一つにガラス乾板(Dry Plate)があります。

1871年に発明されたガラス乾板は、透明のガラスを支持体としてそこに感光乳剤(臭化カリウムと硝酸銀を混ぜゼラチンに溶かしたもの)を塗ってできたものです。それまではガラスに塗った乳剤が乾かないうちに撮影、現像定着を行う必要があり(湿板写真)、取り扱いが非常に複雑で手軽に撮影が行えるわけではありませんでした。それが乾いた状態で箱入りの製品となり、いつでも好きなタイミングで撮影や現像ができるガラス乾板の登場により湿板写真は衰退していきます。

ガラスの特性上、非常に平面性が高くフィルムに比べてピントのシャープさは抜群です。一方で壊れやすく、かさ張って重いという欠点もあります。1880年代に今のようなロールフィルムが登場したため湿板のように乾板も次第に衰退しますが、乾板、ロールフィルム兼用のカメラも多く作られたため、1930年代まではプロ、アマチュア問わず盛んに使用されました。

古いものだと100年以上も前に撮影されたガラス乾板も存在します。保存の状態がよければ画像も鮮明に残りプリントも容易に行えます。ただし、ガラスが割れたり、長期間の保存でガラス同士がくっついてしまったものもあります。 今では銀塩写真そのものが縮小している傾向ですのでガラス乾板のように過去使用されていた写真の記録媒体も次第に忘れられていってしまうのではないでしょうか。現在、製品としてのガラス乾板はプリント基板製作材料や液晶、半導体産業の分野で利用されています。なお、一般写真撮影用の乾板の入手は基本的にはできないようです。


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