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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2016.11.18【Vol.296】

クラシックカメラ話「パーレット」

1940年型パーレット

パーレットは1925年から1946年ごろまで小西六本店、六櫻社が製造した蛇腹折りたたみ式カメラです。1912年に発売されたアメリカイーストマンコダックのVPK(Vest Pocket Kodak)や1919年発売のドイツコンテッサネッテルPiccoletteに範を取る形(コピー)でマイナーチェンジを繰り返しながら生産され、小型軽量で誰にでも撮影出来る簡便さから写真初心者に広く普及したカメラでした。中でもフードを外した単玉レンズによる絞り開放の柔らかい描写や3枚玉のシャープな描写力は愛好家を増やしパーレットを使用者のクラブ組織も設立されました。

パーレットの発売当初はレンズやシャッターをアメリカのウォレンサック社から供給してもらっていましたが、1932年のHexar ser.IIレンズ、1933年モデルより旭光学に生産委託したトリプレットタイプのZIONレンズやOPTORレンズを採用することで純国産部品によるカメラとなりました。使用フィルムはVPKなどと同じベスト判フィルム。4x6.5cmの8枚撮りで1933年ごろより3x4cmの16枚撮りも可能な2枚撮り中枠と赤窓が3箇所に増設されました。機能はいたってシンプルで、レンズシャッターによる露出調整、ファインダーはフレームファインダー(1929年モデルより)と反射ファインダーが搭載されています。

固定焦点式カメラですので、ピント調節機能はありませんが開放 F値がF8程度と暗く、また絞り込むことで被写界深度を利用して常焦点カメラとして使用できます。加えてフレームファインダーには近接レンズが付属しているので簡単な接写も可能となっています。

現代のレンズではなかなか味わえないパーレット独特の描写は非常に魅力的ですが、使用するベスト判フィルムの供給量が少ないのが難点です。また、製造台数は多く値段も手頃なカメラですが、戦後タイプの発売からでもおよそ70年経過しており、綺麗な状態で残っているものも以前に比べて大変少なくなっています。


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