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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2016.10.07【Vol.290】

クラシックカメラ話「ロボットI型 Robot I」

Robot I

今回ご紹介のRobot I型は、ケルン近郊、ドイツ中西部のシュベルムという場所にあったOtto Berning社が製造した ゼンマイ巻上げの小型カメラです。

Robotは1931年、後に著名なカメラ、レンズ設計者となるHeinz Kilfittが30歳代前半に数年の試作期間を経て作った35mmフィルム使用24mmx24mmフォーマットの自動巻上げカメラを製品化したものです。Robot I型としていくつかの製品試作を重ねて1934年5月ごろに発売となりました。シャッター機構そのものはProntorシャッター等を製造していたA.Gauthier社の製造とされ、およそ0.08mmの薄膜金属を利用したロータリーシャッターで最大1/500秒までの高速度を達成しています。連続撮影を滞りなく行うためのシャッターブレードの軽量化は当時最大の目標だったのではないかと考えられます。また、ボディーシェルはドイツの老舗金属加工会社WMF(食器などで有名です)のステンレス鋼を使用しているといわれ、重さがあって非常に頑丈な造りとなっています。

Robot I型の特徴はゼンマイによる巻き上げです。シャッターを押しっぱなしによる連写はできないものの、ゼンマイをいっぱいに巻き上げておけば最大で約24枚の連続撮影が可能です。撮影速度は秒間2コマと当時のカタログに書かれています。非常に軽くて押しやすいシャッターですが、一方では不用意にシャッターが切れてしまうので、シャッターロック用のアクセサリーが別に用意されています。B, 1's~1/500までのシャッター速度が選択でき、シャッター背面にはイエローフィルターが内蔵され、シャッターダイヤル横のレバーで操作、フィルターを使用した際には自動的に1段分シャッター速度が遅くなる仕組みになっています。交換レンズは専用のねじ込みマウントで4本用意、テーブルトップ三脚、専用レリーズ、近接レンズ(プロクサー)などの各種アクセサリーも用意されました。

最後にRobot I型は最大の欠点として、現在でも販売している35mmパトローネ入りフィルムが使用できず、専用のK Kasetteと呼ばれるフィルムマガジンを使用しなければ撮影ができません。この専用マガジンは1950年代のRobot解説書によれば、当時でもすでに中古で探すほかないとの記述があり、このカメラを使用するための最大の懸案がフィルムマガジンとされています。確かに今日中古で入手できるRobot I型の多くはマガジンが失われていたり、破損しているものを見受けます。カメラは動いても撮影ができないということにもなりかねない、ちょっとやっかいなカメラです。


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