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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2016.04.22【Vol.266】

クラシックカメラ話「キヤノンデミ」

Canon Demi EE17 Demi C (キヤノンデミ

今回ご紹介のキヤノンデミは1963年にキヤノンから発売されたハーフサイズカメラです。

国産ハーフサイズカメラの先駆けは1959年秋発売のオリンパスペンシリーズでしょう。オリンパスペンの発売を機に、国内のカメラメーカーはこぞってハーフサイズカメラの生産を始めました。映画用35mmフィルムを画面サイズ18x24mmで記録するハーフサイズカメラは戦前から複数存在し歴史も古いのですが、高品質で低価格、機能的なカメラを大量生産し供給したのは戦後日本のメーカーがパイオニアといってもいいでしょう。オリンパス以外にもヤシカやリコーなどのメーカーはハーフサイズカメラの生産に力をいれた会社の一つです。

キヤノンはオリンパスペンの発売に遅れること4年、1963年2月にデミを発売しました。シルバーとブラックのツートンカラー、全体に丸みを持ち(直角に折れる部分はありません)、流れるような軍艦部など、当時としては斬新でかわいらしいデザインを持つカメラでした。黒い張り革を色の付いたものに変更した「カラーデミ」というタイプもありました。搭載レンズはSH28mmF2.8。35mmフルフレームで換算すると焦点距離43mm相当の標準レンズです。

特徴はポロプリズムを使ったわずか3cm程度のケプラー式実像ファインダーを採用し、大変クリアな視野が得られる点。またファインダー対物窓がレンズ真上にあり視差を最小限にとどめています(デミCまで)。大型のセレン光露出計を頼りに指針をあわすだけで1/30 F2.8~1/250 F22までの間で露出を決定してくれるプログラムシャッターで露出制御できる手軽さも当時は魅力だったようです。1965年発売のデミCは28mm(約40mm相当)と50mm(約72mm相当)の2種類のレンズに交換可能でした。

その後、暗いシーンにもつよいCdS露出計、ブライトフレームを持つ逆ガリレオ式ファインダー、露出制御にシャッター優先オートとマニュアル露出を採用し機能面を一新したデミラピッド、EE17とリリースされ1967年EE28をもってデミシリーズは終了します。初代デミを含めわずか4年間で合計6機種をリリースするにとどまりました。

ハーフサイズカメラは20枚撮りで40枚、36枚では72枚と一本のフィルムで2倍撮影でき(親戚に聞くところ実際は1本撮り切るのに何ヶ月もかかるなんてこともあったようです)特にカラーフィルムが高い時代だったので若い人や家族向けによく売れたそうです。ただしプリント料金は2倍必要ですので決して経済的といえるわけではありませんでした。35mmフル画面に比べフィルム面積が少ないハーフサイズは大伸ばしには向いていないのも事実です1970年代にはプログラムオートとAFを備えたコンパクトカメラが登場し35mmフルフレームでカラー写真を失敗無く撮影できるカメラの時代に変わります。1980年代後半までハーフサイズカメラは製造されましたが、時代とともにハーフサイズの画面を持つカメラは消えてゆきました。


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