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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2015.06.26【Vol.224】

クラシックカメラ話「Zeiss ikon TENGOFLEX」

テンゴフレックス

Box Tengorという同社のボックスカメラが有名ですが、今回のTENGOFLEX(テンゴフレックス)はそのボックステンゴールから派生した二眼レフタイプのボックスカメラです。

通常のボックステンゴールは3x4cm 6x4.5cm 6x9cm 6.5x11cmの4種類の撮影画面を持っているタイプのものが一般的ですが、このテンゴフレックスに関してはブローニーフィルム使用、唯一6x6の正方形の画面が撮影できます。ファインダーも二眼レフの特徴を活かして大きなコンデンサーレンズによる明るい視野が得られ、ボックステンゴールのような透視ファンダーのような見え難さはありません。

ブリキを組み合わせただけの単純なカメラですが、コンデンサーレンズのおかげか、重さは700gとずっしりと重いのが特徴で、また、テンゴフレックスだけの特徴としてストラップ取り付け用の金具が備わっています。ですがそれ以外の機構はほとんど同じでシャッターはT,B Iの3速、レンズはゲルツフロンターF11が採用されていて、開放のF11とF22の絞りが選べます。焦点調節は∞~3m 3~1mの切り替え可能な点も他のボックステンゴール同様です。

二重撮影防止機能については戦時中のボックステンゴール同様です。なお、このカメラの最大の特徴とも言える単玉(二枚ガラス)の描写は素晴らしく、コーティングが無いとはいえそのシャープさには定評があります。また、厚紙と革を張り合わせて黄土色に塗った専用ケースは70年前の製品とは思えないほどしっかりできています。

もともとボックスカメラは写真の入門機種としての位置づけが強く、子供でも扱える簡便さが売りでした。特にボックステンゴールをはじめドイツのボックスカメラは学校に納入されるなど、国民カメラのような存在でもありました。

しかし、このテンゴフレックスに関しては1944頃スウェーデンにのみ輸出されたという不思議な経緯があります。第二次大戦時は中立な立場をとったスウェーデンですが鉄鋼など含めてドイツとの貿易は行っていたはずです。そのうちの一つがこのカメラだったと思われますが、なぜ二眼タイプのこのモデルを輸出したのか謎です。ちなみに発売当時の価格は73スウェーデンクローネという記録があります。


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