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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2015.06.19【Vol.223】

レフボックスの話

ビゾフレックス

最近では見かけなくなった写真アクセサリーの一つにレフボックスがあります。主にレンジファインダーカメラ用に特別に設計された一眼撮影装置のことを呼びます。今ではすっかり主流になった一眼レフにはミラーボックスがすでに備わっているので必要の無いアクセサリーです。

使用する目的は主に2つ。接写性能が弱いレンジファインダーカメラでも近接、マクロ撮影を可能にするため。もう一つが超望遠撮影を可能にするということです。有名なものにライカのビゾフレックスというものがあります。専用のレンズが設計されるなど今でも最新のM型ライカへの使用が可能です。

高倍率の接写撮影を行うのに手っ取り早いのは、レフボックスとベローズユニットを併用することで、近接性能に優れたレンズを使用しなくとも高倍率撮影が可能になるためです。直接被写体を確認して撮影できる一眼レフ装置はピント合わせがシビアになる接写に便利です。ただしカメラに露出計が入っていない場合はベローズユニットの蛇腹の繰り出し量に応じた露出倍数を計算しなければならず撮影は少々面倒。昔は今のように高性能のマクロレンズも無く手軽に花の接写などはできなかったのです。ですが、一眼レフが普及することでそれらの悩みは一気に解決されたためベローズユニットやレフボックスも市場から姿を消していきます。

それともう一点、望遠レンズでの撮影についてです。レンジファインダーカメラには単体の距離計が備わっており、レンズの繰り出し量と連動してピントを合わせます。ですが焦点距離の長いレンズ、特に100mm を越える望遠になってくると測距の精度が徐々に悪くなってきます。これは距離計を大型化すれば解決できるのですが、せいぜいレンジファインダーカメラの距離計は大きくても7~8センチ程度です。そのため実際のレンズからの像を確認できるレフボックスのほうが正確で素早くピントを合わすことが可能になるわけです。

特にスポーツの分野では望遠レンズが欠かせません。当時のカメラマンは限られた機材を駆使して一瞬を狙っていたことを考えると、今ではどれだけ楽に撮影が行えているかがわかるでしょう。ある技術が確立されたためにそのかわりを担っていたシステムが消えていくというのは写真の世界だけの話ではありません。便利なものに慣れそれが当たり前になってしまえばそれまでですが。ちょっと昔の機材に触れてみるのもまた面白いのではないでしょうか。


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