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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2015.12.11【Vol.248】

クラシックカメラ話「ニコマートFT」

ニコマートボディー

開放F値連動指標

1959年発売のニコンFによって本格的なプロユースの一眼レフシステムを完成したニコンが中級クラス一眼レフとして登場させてカメラがニコマートFTです。1965年に登場したニコマートFTは以来最終モデル1977年のニコマートFT3に至るまでニコン中級クラス一眼レフとして製造が続けられました(1972からは電子シャッター式のニコマートELシリーズも発売されていました)。

シャッターは1/1000秒まで、自社製ではなくコパルスクエアSという縦走り金属シャッターを採用、本体部品に一部分にプラスチックを使用していますが、基本的には総金属製で、コストダウンモデルでありながらも堅牢性の高いモデルです。露出計が内蔵されていないニコンFに対しニコマートFTは全面平均測光のCdS露出計を搭載している点が特徴で、当時プロのサブ機としても使われた大変よく売れたシリーズになりました。マウント部には露出計連動ピンが搭載され、レンズ側の通称カニの爪と呼ばれる絞り環連動爪とをかみ合わせることでTTL開放測光を行います。なお、レンズの開放F値を正確にボディー側に伝えるための連動操作をレンズ交換のたびに行うという手間が必要ですが、2年後に発売されるニコマートFTNでその操作は簡略化されて一層使いやすくなります。露出計はシャッターレバーを少し引き出すところでON、レバーをしまうとOFFにな

デザインはニコンFのような八角形の金属ボディーで、軍艦部にはシャッターダイヤルが搭載されずレンズマウント部でシャッター速度が変更できるようになっています。また、ミラーショックを抑えるために使用するミラーアップ機能も搭載されていますが、当時ニコンより発売されていた、ミラーアップしなければ取り付けができないレンズへの対策としても考えられます。

「ニコンのフラッグシップモデルが高くてニコマートしか買えなかったよ」という年配の方の話を聞いたことがあります。今と昔では貨幣価値が異なるの詳しくはわかりませんが、初任給の数か月分ときくと当時の一眼レフカメラ以下に高嶺の花だったかということです。露出計も付いてNikon Fよりは安い。たとえネームプレートが「Nikon」ではなく「Nikomat」だったとしても、ニコン製の一眼レフは多くの人にとって憧れの的であったには違いありません。


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