写真家 木村琢磨がOMシリーズと巡る胡椒の聖地カンボジア ~再び訪れる乾季の胡椒畑~【中編】

木村琢磨
写真家 木村琢磨がOMシリーズと巡る胡椒の聖地カンボジア ~再び訪れる乾季の胡椒畑~【中編】

はじめに

乾季のカンボジア滞在記、 第2回目は港町の市場と胡椒畑に一泊した体験を作品と共に紹介します。前回の記事と合わせてお楽しみください。

カンポット~港町ケップ

胡椒畑から戻ると、 この日は私の大好きな、 カンポットの胡椒料理のレストランへ向かいました。 日本ではなかなか見かけないコンセプトの店ですが、 胡椒の本場では胡椒を主役にした料理がごく自然に並びます。 生胡椒を使った料理も多く、 ここへ来ると「ああ、 カンボジアに来たな」と実感します。このレストランでは、 各テーブルにブランド違いの胡椒がセットされていて、 自分の好きな胡椒を自分で挽いて楽しむことができます。 日本の食卓にあるようなミルではなく、 カンボジアではパームツリーを使った杵と臼で叩き潰して使います。 その叩き潰すことを、 カンボジアでは「ボック / Bok」と呼びます。胡椒は「マレッ / Mrech」。 なので、 胡椒を叩き潰すことは「ボック・マレッ / Bok Mrech」と言ってよさそうです。

そして、 胡椒料理にはやはりビールが合います。 カンボジアの国産ビール「CANBODIA」はあっさりとしていて苦味も穏やかで、 水のようにぐびぐび飲めてしまいます。 この日に食べた料理では、 4種の胡椒を使ったピザ、「Bo Tree Pepper Pizza」がとても美味しかったです。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/100秒 F1.8 ISO200
カンポットにある胡椒レストラン「KAMPOT SEAFOOD & PEPPER」。 カンポットに来るたび、 必ず立ち寄りたくなるお気に入りの店。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/50秒 F1.8 ISO3200
テーブルには、 さまざまなブランドのホール胡椒が並んでいます。 専用の臼と杵で、 好みの大きさに砕いて風味を楽しみます。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/160秒 F1.8 ISO6400
4種の胡椒を使ったピザは絶品でした。 胡椒は単なるアクセントではなく、 しっかりとメイン食材として存在感を放っています。 白胡椒、 黒胡椒、 塩漬けの生胡椒があれば、 日本でもかなり近い味を再現できそうなので、 一度試してみたいです。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/50秒 F1.8 ISO3200
胡椒レストランでは、 カンボジアのビール「CAMBODIA」が欠かせません。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/60秒 F1.8 ISO6400
胡椒ソムリエの木下レイナさんは、 常に“マイ胡椒”を持ち歩いています。 さすが、 胡椒のプロフェッショナルです。 胡椒の可能性や味への探究心にはいつも見習わなければと思わされます。

滞在三日目の朝、 少し早く目が覚めたので、 宿の近くを散策してみることにしました。
宿のそばにはプリーエック・タエック・チュー川が流れていて、 対岸へ渡るには橋を使う必要があります。 近くには「カンポンベイ橋」と呼ばれる大きな橋が架かっているので、 この橋を渡って向こう岸へ向かいました。大きな橋だけあって交通量も多く、 バイクや車、 トゥクトゥクが次々と走り抜けていきます。橋の上からの眺めも素晴らしく、 思わず足を止めてシャッターを切りました。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/1250秒 F4.0 ISO200
カンポンベイ橋を撮影しながら歩いて渡ります。 朝の光があたたかくて気持ちいい。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/1250秒 F4.0 ISO200
橋を渡ると、 町の表情ががらりと変わります。 早朝でも交通量は多く、 しかもカンポットには信号がほとんどありません。 
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/1600秒 F5.6 ISO400
橋を渡って宿へ戻る途中、 川の上を一隻の船が進んでいきます。 水面には青空が映り込み、 とても綺麗でした。

この日の朝食は、 カンボジアの伝統料理「バイサイチュルーク」をいただくことにしました。バイサイチュルークは豚肉ご飯のことで、「バイ 米」「サイ 肉」「チュルーク 豚」という3つの言葉を並べた名前です。カンボジアは、 何といってもお米が美味しい。 私はお米をおかずにお米が食べられるほどのお米好きなので、 お米にスパイスにと、 大好物ばかりが並ぶカンボジアの食はたまりません。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/400秒 F1.8 ISO200
カンボジアを代表する朝食のひとつ、 バイサイチュルーク。 滞在中は、 これを必ず一度は食べるようにしています。

カンボジアといえば胡椒……もちろんそれも外せないのですが、 ぜひ訪れてほしいのが「市場」です。 カンボジアのあちこちに市場はありますが、 なかでもカンポットと港町ケップの市場は規模が大きく、 さまざまなお店がひしめき合っていて歩いているだけでも楽しいです。 市場では食事もできるので、 現地のローカルフードを味わうのもいいです。 前回はカンポットの市場の様子をお伝えしましたが、今回は港町ケップの市場をご紹介したいと思います。 カンポットの市場も新たに撮り下ろしたので、 そちらは後ほどご紹介します。

ケップは港町ということもあって、 海鮮の多さがまず目を引きます。 市場の入り口から魚介がずらりと並び、 カンポットの市場とはまた少し違った空気が流れています。 そして海鮮の串焼きを売る店が多いため、 あたりには煙が立ちこめています。 その煙が光をやわらかく受け止めて、 なんとも幻想的な雰囲気をつくり出していました。カンボジアの市場は天井に穴がいくつも開いていることが多く、 そこからトップライトのように光が差し込んできます。 もっとも、 その光は局所的なので、 市場の中は基本的に暗いです。 明るい場所と暗い場所が入り混じる、 この独特のコントラストもまた市場の魅力だと思います。

市場の中は通路も狭いため、 撮影にはOM-5 Mark IIに8-25mm PROを組み合わせた、 コンパクトな装備で臨みました。 店の人にアイコンタクトや身振りで「写真を撮らせてね」と合図を送ると、 気さくにポーズをとってくれたり、笑顔を向けてくれたりする人もいます。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/200秒 F4.0 ISO800
ケップの市場の入り口。 港町らしく、 入り口からたくさんの海産物が並んでいます。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/320秒 F2.8 ISO800
市場の人たちはみんな生き生きとしています。 カンボジアの市場を訪れると、「食=エンターテインメント」だと実感します。 視覚、 聴覚、 嗅覚、 触覚、 味覚。 すべてが刺激され、 満たされていきます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/250秒 F4.0 ISO3200
ケップの市場では、 あちらこちらで海産物が焼かれていて、 煙がものすごい。 その煙がまた食欲をそそる、 強烈な販促になっています。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/500秒 F4.0 ISO1600
誘惑に負けて、 イカの串焼きを買ってしまいました。 食べた感想は、 もう「美味い」のひと言に尽きます。 カンボジアに来ると、 いつも以上によく食べてしまいます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/250秒 F4.0 ISO3200
市場は通路が狭く、 被写体との距離も近いので、 広角レンズがおすすめです。市場での撮影は、 OM-5 Mark IIと8-25mm PROの組み合わせがお気に入りです。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/250秒 F4.5 ISO3200
マイクロフォーサーズは高感度が苦手、 というのはもう過去の話だと感じます。 AIノイズリダクションもあり、 被写界深度の深さや機材のコンパクトさも含めて、 取材で使うには非常に頼もしいです。 カンボジアでもその強みを存分に発揮してくれました。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/320秒 F4.5 ISO3200
市場を歩いていると、 どこまでが売り物なのだろう……と思うことがよくあります。 値段がついていないものも多いので、 まずは値段を尋ねるところから始まります。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/200秒|F4.5 ISO 800
ケップの市場には、 エビの加工品がたくさん並んでいます。 この豪快な売り方が、 なんとも美味しそうに見えてきます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/200秒 F4.0 ISO1600
これはバナナの葉で包んで蒸したもので、 日本でいうちまきのような食べもの。 もち米とバナナの組み合わせが新鮮で、 驚くほど美味しいです。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/200秒 F4.0 ISO1600
包み焼きの中身はこんな感じ。 直火で焼いているのでかなり熱く、 食べるときは火傷に注意が必要です。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離25mm (35mm換算50mm) Mマニュアル 1/125秒 F1.8 ISO800
市場のコーヒー屋さん。 カンボジアはコーヒーも美味しいです。 独特の風味があって、 ブラックを頼んでも、 甘くはないのにどこか微糖のようなやさしい甘みを感じます。 不思議な味だけれどとても美味しいです。 バナナの葉の包み焼きにもぴったりだと思い、 一緒に注文しました。

市場の雑多な空気感は、 きっと好きな人が多いと思います。 とくに広角レンズで大胆に撮ると、 画面いっぱいにディテールを写し込むことができて気持ちがいい。市場の中は暗いこともあり、 感度は基本的にISO1600~3200を常用してシャッタースピードを稼ぎます。 人の動きを止めるなら、 シャッタースピードは最低でも1/60秒、 できれば1/125秒は確保したい。 そう考えながら露出を決めていきます。

マイクロフォーサーズはピントの合う範囲が広く、 広角レンズを使えば、 開放でも画面全体にピントの合ったパンフォーカス気味の撮影がしやすいです。8-25mm PROなら、 8~10mm(35mm換算16~20mm)あたりで撮ることで被写体ブレも抑えやすく、 こうした市場の撮影にはとても相性がいいです。一方で、 商品や手元にぐっと寄りたいときには25mmまで伸ばせるのも便利です。 私にとってOM-5 Mark IIと8-25mm PROの組み合わせは、 いまや市場撮影の定番セットになっています。

胡椒畑2日目~胡椒畑の星空

この日の職人さんたちの仕事は、 畑を耕すことと収穫の続きでした。 私はまず、 収穫作業の続きを撮影させていただくことにしました。収穫作業を見ていると、 職人さんごとにそれぞれ癖があるように感じます。 実の摘み方、 手を伸ばす位置、 作業のペース。 ひとつとして同じではないのです。

胡椒の実は、 ただ引っ張ってちぎるわけではありません。 親指と中指を実に添え、人差し指で軸の根元を手前に引くようにすると、 自然と実が切り離されます。いかに実を傷つけずに摘み取るかが、 大切なポイントなのです。胡椒の実の大きさは、 中指の先ほど。 カンポットで育てられている胡椒は「クメール種」と呼ばれる品種で、 ほかの品種に比べるとやや小ぶりです。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離9mm(35mm換算18mm) Mマニュアル 1/1000秒 F5.6 ISO400
収穫へ向かう職人さんたち。 笑顔のあふれる胡椒畑に、 こちらまで癒やされます。 常夏の気候が、 そんな笑顔を生むのかもしれません。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/2000秒 F5.6 ISO1600
迅速かつ丁寧に、 胡椒の実を次々と摘み取っていく職人さん。 私も少しずつ、 その動きについていけるようになってきました。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/1000秒 F4.0 ISO1600
次に摘まれる胡椒を先回りして捉え、 その実を軸にフレーミングして撮影します。 自分の思い描いていたイメージが、 少しずつ形になってきました。 けれどそれは、 職人さんがこちらに少し気を遣ってくれていたからかもしれない……。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/800秒 F4.0 ISO1600
職人さんの胡椒の摘み方を観察していると、 ただ引っ張ってちぎっているわけではありません。 人差し指で軸の部分にそっと力を加え、 実を外すように摘み取っています。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/125秒 F4.0 ISO800
ペッパーキャビアになる生胡椒は、 まだ成長の途中にある若い実です。 若い胡椒は核がやわらかく、 口にするとプチッとした食感があります。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/400秒 F5.6 ISO200
収穫の時期を迎えた広大な胡椒畑。 ここカンボジアで育った胡椒が世界へ向けて旅立っていきます。

胡椒畑の土を耕すのも、 基本的には手作業です。 職人さんたちは皆、 鍬を手にして、 畑の端から端まで順に耕していきます。 男性も女性も関係なく、 一緒になって畑を耕しています。 職人さんの仕事は、 基本的に力仕事が多いです。赤道に近い、 ほぼ常夏のこの国で、 多くの職人さんたちが胡椒を育て、 収穫し、 加工してくれています。 そうしてはじめて、 私たちの手元に美味しい胡椒が届くのです。

職人さんたちは黙々と仕事をこなし、 畑はあっという間に耕されていきます。乾季の日差しは強く、 撮影している私も汗だくになります。 12月末の日本は冬の気候です。 そんな「冬仕様」の体のまま常夏のカンボジアに来ているのだから、なおさら暑く感じるのも当然かもしれません。やがて日が暮れ、 職人さんたちの仕事も終わります。 今日も夕焼けが美しい。 みんなが家の前に集まり、 晩ご飯の準備が始まりました。 胡椒畑での夜は、 ビールを飲みながらテーブルを囲み、 みんなでわいわいと過ごす楽しい時間です。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/2500秒 F4.0 ISO800
胡椒畑を耕す作業も、 もちろんすべて手作業で行われます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/1250秒 F4.0 ISO400
この広大な胡椒畑を、 炎天下のもと職人さんたちが総出で耕していきます。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
■撮影環境:焦点距離200mm(35mm換算400mm) Mマニュアル 1/1600秒 F2.8 ISO400
50-200mm PROの200mmで、 職人さんをアップで撮影しました。 前回は広角から標準域の画角で撮ることが多かったので、 望遠で切り取ると、 同じ場所でも写真の印象ががらりと変わります。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/1000秒 F4.0 ISO400
人力で畑を耕すのは重労働ですが、 女性の職人さんたちも一緒になって畑を耕しています。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
■撮影環境:焦点距離200mm(35mm換算400mm) Mマニュアル 1/2000秒 F2.8 ISO400
常夏の日差しを浴びながら、 懸命に畑を耕していきます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 1/400秒 F5.6 ISO400
職人さんたちの手によって、 畑はあっという間に耕されていきます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離12mm(35mm換算24mm) Mマニュアル 1/500秒 F5.6 ISO400
働くときはしっかり働き、 休むときはしっかり休む。 いい仕事をするにはそうしたメリハリが大切なのだと思います。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
■撮影環境:焦点距離200mm(35mm換算400mm) Mマニュアル 1/6400秒 F2.8 ISO400
仕事を終え、 バイクで戻ってくる職人さん。 50-200mm PROの俊敏なAFと被写体認識がその動きをしっかりと捉えてくれました。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
■撮影環境:焦点距離200mm(35mm換算400mm) Mマニュアル 1/2000秒 F2.8 ISO400
胡椒畑では鶏も暮らしています。 もちろん放し飼いです。 茂みに潜む野性味のある鶏を撮る機会は、 そう多くないかもしれません。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離25mm(35mm換算50mm) Mマニュアル 1/40秒 F4.0 ISO 400
晩ご飯に備えて、 クーラーボックスでビールを冷やしておきます。 今夜のビールはGANZBERGガンツバーグ 。 カンボジアで高い人気を誇るビールのひとつです。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/640秒 F1.8 ISO1600
ビールも冷え、 ご飯も並び、 晩ご飯の準備が整ってきました。

私はほとんど現地のクメール語がわからないので、お酒でコミュニケーションというわけです。お酒は万国共通の言葉のようなもの。 言葉は通じなくても気持ちは伝わります。 綺麗な夕焼けを見ながら晩御飯をいただきました。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/500秒 F1.8 ISO1600
全員にGANZBERGが行き渡ると、 いよいよ乾杯。 クメール語で乾杯は「チョルモイ/Chol Moy」と言います。 誰かが一本飲み干し、 新しい缶が開くたびに、「チョルモーーイ!」の声が何度も飛び交います。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/20秒 F1.8 ISO6400
みんなで食卓を囲む。 その光景は、 まさに家族の団欒そのものでした。 言葉も通じない、 外国人の部外者である私のことも快く受け入れてくれるこの場所は、 もうひとつの故郷だと言っても過言ではありません。

この日は、 職人さんの家に泊めていただいて夜を過ごすことにしていました。 理由はふたつあります。 ひとつは、 職人さんたちの暮らしにより近い時間を体験してみたかったこと。 もうひとつは、 胡椒畑の星空を撮影してみたかったことです。晩ご飯をいただいたあと、 持参した小型の三脚とOM-1 Mark II、 そしてOM-3を持って、 星空の撮影に出かけました。

OM-1 Mark IIには12mm F2.0を組み合わせ、 手持ちハイレゾショットで点の星景を狙います。 OM-3には8-25mm PROを組み合わせ、 ライブコンポジットで星の軌跡を狙いました。予想はしていましたが、 やはり胡椒畑の星空は美しかったです。 町明かりがほとんどないので、 肉眼でもさまざまな星が見えます。 いや、「見える」というより「見えすぎる」と言ったほうが近いかもしれません。 星の数があまりにも多く、 少し怖いと感じてしまうほどでした。 日本で見た星空でいえば、 北海道や長野県で見た景色が近いかもしれません。

OMのカメラには、 複数枚の写真を合成することで画素数を高め、 あわせてノイズも低減できる「ハイレゾショット」という機能があります。 この機能を使うことで、 擬似的に赤道儀のような効果を得ることができます。 特にノイズ低減の効果は大きく、 体感としてはおよそ2EV分ほどノイズが減る印象で、 状況によってはそれ以上に効いているように感じることもあります。

今回、 OM-1 Mark IIで撮影した星景写真はISO25600で撮っています。 数字だけ見るとぞっとするような感度ですが、 ハイレゾショットの効果によってノイズはISO6400相当まで抑えられ、 画素数も2000万画素から5000万画素へと向上しています。 シャッタースピードは10秒。 通常であれば三脚が必須の条件ですが、 OM SYSTEMのカメラには「超」がつくほど強力な手ぶれ補正があるので、 今回は手持ちで撮影しました。

手持ちハイレゾショットは、 12枚の写真を合成して1枚の高画素データを生成する機能。 つまり、 シャッタースピード10秒の撮影を12回、 合計120秒ぶん手持ちで行っていることになります。 それでも、 仕上がりは見ての通り、星がしっかり止まった星景写真になりました。 地上の胡椒の木のシルエットがわずかにブレているのは地球の自転の影響で、 星を止めれば地上がブレ、 地上を止めれば星は流れて軌跡になります。

一方、 OM-3で撮影していたライブコンポジットの写真は、 トータルで60分ほど露光しました。 畑の小屋の明かりが少しあるくらいで、 それ以外はほとんど真っ暗闇です。 せっかくコンポジットで撮るなら、 北極星を中心に円を描くような軌跡にしたいと思い、 構図を決めました。

■撮影機材:OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:焦点距離12mm(35mm換算24mm) Mマニュアル 10.0秒 F2.0 ISO25600
手持ちハイレゾショットで撮影した、 カンボジアの星空。 肉眼でも怖いほど星が見えるます、 写真になるとその何倍もの星が写ります。 手持ちハイレゾショットは、 星のディテールをしっかり描き出しつつ、 高感度ノイズも抑えられるので、 おすすめの撮影方法です。
■撮影機材:OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:焦点距離12mm(35mm換算24mm) Mマニュアル 10.0秒 F2.0 ISO25600
胡椒畑の中に入り手前に胡椒の木をシルエットとして配置して星空を撮影しました。

カンボジアでは、 日本に比べて北極星の位置が低いです。 北極星の高さは、 その土地の北緯とほぼ一致するため、 東京北緯35.5度前後では約36度の高さに見え、 カンポット北緯10.5度前後では約10~11度の高さに見えます。 つまり、 北極星がかなり低い位置にあるぶん、 星の軌跡が円を描く位置もぐっと低くなります。

1枚あたりのシャッタースピードは60秒に設定し、 60枚のコンポジットを狙います。 F値は開放のF4.0、 ISOは1600。 とはいえ、 町明かりがほとんどないので地上はほぼ真っ暗で、 最終的には胡椒畑のシルエットと、 低い位置に円を描く星の軌跡が印象的な一枚になりました。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 60.0秒 比較明合成 94コマ F4.0 ISO1600
胡椒の木のシルエットと、 東の空に描かれる星の軌跡を捉えました。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:焦点距離8mm(35mm換算16mm) Mマニュアル 60.0秒 比較明合成 59コマ F4.0 ISO1600
こちらは北向きに構え、 北極星を中心とした星の軌跡を撮影しました。 およそ60 分にわたる星の動きを写し取りました。

星空の撮影を終えて小屋に戻ったのは、 午前2時頃でした。 職人さんが用意してくれた小屋は、 言ってしまえばプレハブのような簡素な建物でしたが、想像していた以上に快適でした。電気もちゃんと通っています。いくつかタップがショートしていたけれど……、 蚊よけ代わりの扇風機もあって、 不便さはあまり感じません。ただ、 ひとつだけ気になることがありました。でっかいカエルやカブトムシがごく当たり前のように共同生活をしていること、 そして、 ずっと何かが鳴いていることです。
「……ケイ……」
「トッ……」
ベッドの近くで何かが鳴き始めたかと思うと、 しばらくして
「トッケイ……! トッケイ……! トッケイ……!」と、 びっくりするくらいの大音量で鳴き始めました。その声は朝日が昇るまで止むことがなく、 いったい何が鳴いているのかと思ってあちこち探してみると、 ようやく声の主を見つけました。

職人さんたちが暮らしている胡椒畑の家。 言ってしまえばプレハブ小屋なのですが、 想像していた以上に快適でした。 iPhone 16 Pro MAXで撮影。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:焦点距離17mm(35mm換算34mm) Mマニュアル 1/100秒 F1.8 ISO1600
こいつが鳴き声の主、「トッケイ」。 私が見かけたのは20cmほどの小さな個体でしたが、 どうやらもっと大きくなるらしい。

この青い体に赤いまだら模様のトカゲ。 こいつが、 夜通しずっと鳴いていたのです。名前は「トッケイ」というらしいです。 話によると、「7回以上続けて鳴くと幸運が訪れる」のだといいます。ですが、 私の小屋にいたトッケイは、 どう考えても7回どころではない。 何十回、 いや何百回という勢いで鳴いていた気がします。 あれだけ鳴いていたのだから、 とんでもない幸運が訪れてもおかしくないのかもしれません。

乾季のカンボジア滞在記、 次回が最終回となります。最終回は前回も訪れたカンポットの市場の様子やパワースポット、 寺院など胡椒畑以外のスポットも多く紹介します。

 

カンボジア写真集「Letter from Pepper Farm」をしまうまマルシェでつくりました!良かったら手にとってご覧ください。
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Letter from Pepper Farm

 

■写真家:木村琢磨
1984年生まれ。岡山県在住のフリーランスフォト&ビデオグラファー。広告写真スタジオに12年勤務したのち独立。主に風景・料理・建築・ポートレートなどの広告写真の撮影や日本各地を車で巡って撮影。ライフワーク・作家活動として地元岡山県の風景を撮影し続けている。12mのロング一脚(Bi Rod)やドローンを使った空撮も手がけ、カメラメーカー主催のイベントやセミナーで講師を務める。

 

 

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