天体用カメラ『OM SYSTEM OM-3 ASTRO』で撮る近赤外線写真が楽しい|飯島 裕
はじめに
星雲や星空撮影の天体用カメラ、OM SYSTEM 「OM-3 ASTRO」。通常のモデルではよく写らない波長656.3nmの輝線「Hα線」を100%透過するようにイメージセンサー前の赤外線カットフィルターを換装し、赤い星雲を鮮やかに捉えられるように操作系までカスタマイズされた特別なカメラだ。
とはいえ、ベースとなったOM-3の撮影機能は全てそのまま備えられているわけで、OM SYSTEMのフラッグシップ機同等のスペックと言われるカメラを天体撮影だけに使うのではもったいない。そこで今回は、このカメラならではの特徴を利用した写真表現を提案してみたいと思う。
可視光線をカットする

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO(35mm判換算50mm)
■撮影環境:絞り優先オート(-0.3EV)1/100秒 F1.2 ISO200 R72フィルター使用
OM WorkspaceでRAW現像
ホワイトバランス:RAW現像時にグレー点指定
人の目が見える光の波長は約400nm~700nmで、これが「可視光」だ。それよりも波長の長い光は人の目では見えない「赤外線」となり、その中で可視光に続く約700nm〜2500nmの波長を「近赤外線」という。
通常のカメラは可視光にだけ感度があり、撮れる写真が人の目と同じような色になるように作られている。しかし、OM-3 ASTROは星雲の光を撮るために赤外域に届くまで感度が広くなっている。そこから可視光部分をカットして撮影すれば、通常のモデルでは撮れない近赤外線の写真が撮れるわけだ。
その可視光をカットするには濃い赤フィルターを使う。今回は赤外線写真用として販売されているケンコー・トキナーの「PRO1D R72 N」を使用した。「R72」とは「赤色・720nm以下の波長をカット」という意味だ。
じつは通常モデルでも近赤外域の感度があるのだが、ほんのわずか。R72フィルターを装着して手元の通常機とASTROの適正露出を比べてみると、露出にしておよそ4.5段分(約20倍)もの感度の差があった。
つまり、通常モデルでも近赤外写真は全く不可能ではないけれど、とても感度が低いので、日中でも超高感度や三脚がどうしても必要になる。それがASTROモデルでは強力な手ぶれ補正が搭載されていることもあり、基準感度でも手持ち撮影がラクラクと可能になるわけだ。少し感度を上げれば、通常モデルではまず不可能な速いシャッター速度で近赤外スナップ写真も撮ることだって出来る。これはOM-3 ASTROの『天体撮影だけではない!』大きな魅力だ。


濃い青の実線が天体用にフィルターを換装したOM-3 ASTROの分光感度を模式的に表したものだ。破線が通常モデルの分光感度で、人の目の感度(山形の緑線)に合わせている。矢印で示したグレー部分がR72フィルターでカットされる可視光になる。通常モデルではほとんど感度が無いところにASTROモデルは感度を持っているので、近赤外写真ではそこを使う。「Hα」「SII」は、ASTROモデルで写そうとしている星雲の輝線スペクトルだ。
まず最初に、通常モデルの写真と、ASTROで撮影した近赤外線写真の違いを見てみよう。
通常のOM-3で撮影した写真がこちら。左がカメラ生成のJPEG。それをモノクロ化し、RAW現像で赤フィルター効果を与えたのが右の写真だ。まあ、いたって普通の写真である。

■撮影環境:絞り優先オート 焦点距離12mm(35mm判換算24mm)1/500秒 F5.6 ISO200
カメラ生成JPEG(仕上がり:Natural)
続いて、OM-3 ASTROで撮影した近赤外線写真がこれ。OM-3 ASTROでは720nmあたりから長波長の近赤外線がカットされるので、R72フィルターで可視光をカットすると、720nm付近だけの光で見るほとんど単色光の写真(モノクロ写真)になる。
そこで面白いのが、植物の葉が白く輝いて写ることだ。これが近赤外線写真独特の描写である。植物の葉の可視光反射率は5%程度だが、光合成の効率を良くするために近赤外の700nm付近では50%近くに急上昇するという。それで白く輝いて写るわけだ。景色が人の目と違う眺めになって、これはとても面白い。

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:絞り優先オート 焦点距離12mm(35mm判換算24mm)1/8秒 F5.6 ISO800 R72フィルター使用
ハイライト&シャドウコントロール(Highlight:+5/Midtone:0/Shadow:-5)
Lightroom ClassicでRAW現像
ホワイトバランス:RAW現像時にグレー点指定
また、波長の長い近赤外線は、大気のヘイズ(モヤ・霞)の影響が少なく、ほとんど散乱しないという特徴がある。それで遠くまでよく見通せるクリアな描写の風景写真になる。そして晴れた青い空からは近赤外線が来ないので、ほとんど真っ黒になり、白い雲がクッキリと浮かび上がって写る。
ASTROの近赤外線写真は、通常モデルに比べるとじつにドラマチックな描写である。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0(35mm判換算24mm)
■撮影環境:絞り優先オート 1/1600秒 F4.5 ISO200
カメラ生成JPEG(仕上がり:Natural)

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:絞り優先オート 焦点距離12mm(35mm判換算24mm)1/25秒 F4.5 ISO800 R72フィルター使用
カメラ生成JPEG(モノクロプロファイル MONO1/調色 セピア)
ハイライト&シャドウコントロール(Highlight:+6/Midtone:0/Shadow:-6)
モノクロプロファイルを使う
OM-3には、作品の仕上がりをコントロールする「クリエイティブダイヤル」が備えられている。
ASTROモデルでは、天体用(星雲・星景写真)に合わせた仕上がりのプリセットがここに用意されている。R72フィルター使用の近赤外線写真では、単色光のほぼモノクロ写真になるので、クリエイティブダイヤルの「モノクロプロファイルコントロール」機能を積極的に使ってみたい。

まず、ボディ前面のクリエイティブダイヤルを「MONO」にセット。代表的なモノクロフィルムの特徴が再現されたという4つの基本プリセット(MONO1~4)を選べるようになっている。
「MONO 1」は『標準(モノトーン)』のプリセット。設定が±0のデフォルトだ。
「MONO 2」は『クラシックフィルム モノクロ』。「ハイライト&シャドウコントロール」を高コントラストな諧調にプリセット、「粒状フィルム効果:強」となっている。ザラっとした描写で、高感度フィルムを増感現像したような仕上がりだ。
「MONO 3」は『クラッシックフィルム IR』というプリセット。赤フィルター効果がセットされているが、これはR72フィルターを使っているので関係ない。階調は通常、「粒状フィルム効果:弱」となっていて、標準感度のフィルム的な感じ。
「mono 4」は『クラシックフィルム ローコントラスト』。ハイライトを下げシャドウを持ち上げた軟調仕上げだ。このプリセットは「粒状フィルム効果:弱」で、柔らかい感じに仕上がる。
モノクロプロファイルでは、画面周辺の明るさを上げ下げする「シェーディング効果」、「シャープネス」、「コントラスト」、そして「セピア・青・紫・緑」の調色仕上げを選ぶことができる。基本プリセットからそれぞれ好みの値に調整することができるので、色々と試してみたくなる。
次の写真はノーマルOM-3で撮影した日本的な風景だ。長野県にある豪商屋敷の外塀から大きな樹木の屋敷林が聳えて、じつに青々と茂っている。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0(35mm判換算24mm)
■撮影環境:絞り優先オート 1/1000秒 F4.5 ISO200
カメラ生成JPEG(仕上がり:Natural)
この光景を近赤外で撮影すると、このような描写に。
モノクロプロファイルでコントラストを高め、和の雰囲気に合わせてセピアに調色してみた。

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:絞り優先オート 焦点距離12mm(35mm判換算24mm)1/25秒 F4.5 ISO800 R72フィルター使用
カメラ生成JPEG(モノクロプロファイル MONO1:調色 セピア)
ハイライト&シャドウコントロール(Highlight:+6/Midtone:0/Shadow:-6)
青空は暗くなり、木や草の緑が白く輝く。通常カメラのモノクロだと緑は暗く写るのだが、近赤外線写真だと、新緑が鮮やかに燃え上がっているようだ。初夏の眩しい日差しと、植物の旺盛なエネルギーを感じる。
ついで、同じく長野県の有名な棚田だ。田植えが終わったばかりの眺め。
畦道がリズミカルな曲線を描き、平地につながる。遠方の山々は水蒸気の多い大気で霞がち。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0(35mm判換算24mm)
■撮影環境:絞り優先オート 1/1250秒 F4.5 ISO200
カメラ生成JPEG(仕上がり:Natural)
同時にOM-3 ASTROのモノクロプロファイルで撮影してみた。「ハイライト&シャドウコントロール」でコントラストを高く調整し、調色で「緑」を選択してみた。

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:絞り優先オート 焦点距離12mm(35mm判換算24mm)1/30秒 F4.5 ISO800 R72フィルター使用
カメラ生成JPEG(モノクロプロファイル MONO1:調色 緑)
ハイライト&シャドウコントロール(Highlight:+5/Midtone:0/Shadow:-5)
水の張られた田圃が暗く見え、畦道の草が明るく輝いている。
通常モデルの写真に比べ、ASTROの近赤外写真は、遠方の山々までクッキリ写っているところにも注目してほしい。
OM-3のコンピュテーショナルフォト
OM SYSTEMのカメラでは、カメラ内でデジタル合成を行うコンピュテーショナルフォトグラフィが様々搭載されている。もちろん近赤外線写真でも活用が可能で、表現の幅を大きく広げてくれる。
これまでの作例も、手持ち連続撮影した12枚の画像から5000万画素の高解精細写真を構築する「手持ちハイレゾショット」を使っていた(サイトの都合により大きく拡大してお見せできないのが残念)が、三脚固定撮影でさらに高精細な8000万画素を得られる「三脚ハイレゾショット」も出来ることは言うまでもない。
他にも、NDフィルターを使わずにスローシャッター効果を得られる「ライブND」、明暗差の大きな場面で便利なハーフND効果の「ライブGND」、レンズを絞らずに深い被写界深度を得る「深度合成」、輝度差の大きな被写体に使いたい「HDR撮影」、画像を重ね合わせることのできる「多重露出撮影」などの機能が、ボディ背面の「CP」ボタンから簡単な操作でセレクトできる。
また、夜景撮影で使いたい「ライブBulb/Time」、明るい軌跡を残して撮影する「ライブコンポジット」も、通常のOM-3と同様に使えるので、近赤外写真でも楽しんでみたい。
次の写真は、パースペクティブを自在に調整できる「デジタルシフト撮影」機能を使ったものだ。この機能はメニューからセレクトするが、よく使う場合にはあらかじめ好みのボタンに機能呼び出しをセットしておくことができる。
次の写真は、東京駅から皇居に向かう並木の行幸通りを撮影したものだ。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:絞り優先オート 焦点距離12mm(35mm判換算24mm)1/2000秒 F4.0 ISO200
カメラ生成JPEG(仕上がり:Natural)
近赤外写真では、ビル群がキッチリ見えるように、デジタルシフトで垂直・水平線をコントロールしてみた。
ビルのラインがきっちり揃うと、大都会らしさが気持ちよく表現できるように思う。

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:絞り優先オート 焦点距離12mm(35mm判換算24mm)1/25秒 F4.0 ISO800 R72フィルター使用
カメラ生成JPEG(仕上がり:モノトーン)
ハイライト&シャドウコントロール(Highlight:+5/Midtone:0/Shadow:-5)
これは、東京都府中市にあった米軍基地跡地のパラボラアンテナと鉄塔だ。戦後まもなくに建造された巨大構造物で、基地の返還後使われなくなってから50年以上もそのまま放置されてきた。一般人立ち入り禁止区域で、長い時間をかけて深い自然林となった面白い眺めだったのだが、残念ながら今年1月末に全て解体されてしまった。
今後、この広大な敷地は公園として整備されるとのことだが、オオタカやフクロウなどの希少生物の生息が多数確認されて(じつは私が生物調査を進言したのだった)森の一部は現状のまま保存されることになった。開発後も生息していてほしいのだが、どうなることか。
この写真ではライブGND機能を使用して、空部分と地上部分の明るさを揃えて撮影した。ライブGNDのセッティングは「GND2(1EV)/フィルタータイプ:ソフト」。ライブGNDは、NDの濃度・グラデーションの強さ・位置が自由に調整できる。レンズを選ばないので、光学グラデーションNDでは使えない望遠レンズや魚眼レンズでも使うことができる便利機能だ。もちろん近赤外線写真でも同じように使える。

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:絞り優先オート 焦点距離12mm(35mm判換算24mm)1/6秒 F4.0 ISO200 R72フィルター使用
カメラ生成JPEG(モノクロプロファイル MONO1/調色 青/粒状フィルム効果 弱)
ハイライト&シャドウコントロール(Highlight:+3/Midtone:0/Shadow:-3)
次の写真はスローシャッター効果の得られる「ライブND」撮影をしたものだ。1/2秒というスローシャッターだが、強力な手ぶれ補正が素晴らしくサポートしてくれる。近赤外線写真では可視光をカットするR72フィルターが必須で、できるだけフィルターの重ねがけはしたくない。そういうわけで、光学フィルターなしでND効果の得られるライブNDはありがたい。
ここでは画面のアスペクトを3:2にし、アートフィルターの「ラフモノクロームII」にフィルム写真のような「フレーム効果」をかけてみた。近赤外線写真独特の描写とラフモノクロームの効果は、とても相性が良いと思う。OM-3 ASTROならではの、独特な都市風景が楽しい。

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離12mm(35mm判換算24mm)1/2秒 F4.0 ISO800 R72フィルター使用
ハイライト&シャドウコントロール(Highlight:+0/Midtone:-3/Shadow:-3)
OM Workspaceでアートフィルター適用(ラフモノクロームII/フレーム効果/調色 青/シェーディング補正)
近赤外写真+アートフィルター
OM-3に搭載されたアートフィルターは全部で16種類。近赤外線写真でも色々な表現を試してみたくなる。
クリエイティブダイヤルを「ART」にセットし、撮影の現場で各種アートフィルターを選んでみると、その場で効果の出方が確認出来て、撮影のイメージがどんどんと膨らんでいって楽しい。
次の写真も「ラフモノクロームII」だ。これは通常撮影したRAWをOM SYSTEMの現像ソフト「OM Workspace」で適用している。私的には、OM-3 ASTRO研究中の習作という感じではある。
実際には、自分で好みのアートフィルターをカメラにあらかじめセットし、イメージ通りに世界を切り取っていくのがアートフィルター本来の撮影手法かもしれない。ただ、撮影後にRAW現像で様々なフィルター効果を試しながら絵作りを構築していくのも面白いのだ。そうすることでまた新たな視点や表現のアイディアが得られるように思う。
このように、デジタル的な手法で多様な写真表現が楽しめるのがデジタルカメラの撮影で、そこに肉眼では見えない近赤外という視覚を与えてくれるのがOM-3 ASTROなのだ。
私は25mmという焦点距離(35mm判換算50mmレンズ相当)の画角が好きである。この画角で光景を切り取っていくのが私の視角に一致して楽しいから。
ここでは、F1.2という明るいレンズを使用している。それでOM-3 ASTROでは近赤外撮影でも速いシャッターが可能になり、普通の機種では不可能なストリートスナップ表現ができる。ASTROだけの世界表現と言っても言い過ぎでもないだろう。

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO(35mm判換算50mm)
■撮影環境:絞り優先オート 1/80秒 F1.2 ISO400 R72フィルター使用
OM Workspaceでアートフィルター適用(ラフモノクロームII/フレーム効果/シェーディング補正)

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO(35mm判換算50mm)
■撮影環境:絞り優先オート 1/80秒 F1.2 ISO800 R72フィルター使用
OM Workspaceでアートフィルター適用(ラフモノクロームII/フレーム効果/調色 セピア/シェーディング補正)
何度か書いたように、OM-3 ASTROにR72フィルターを使用した写真は、ほとんど単色光のモノクロ写真になる。ただ、アートフィルターの種類によっては、思いもよらない素敵な色彩効果が得られることもある。何事も試してみることだと思う。
これは「ネオノスタルジー」というアートフィルター。ほぼ単色光のモノクロ写真なのに、ちょっと面白い発色になった。夏雲を前方に見ながらの高速道ドライブに合っているような気がして、このフィルターを使ってみた。いかがだろう。

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:絞り優先オート 焦点距離40mm(35mm判換算80mm)1/80秒 F2.8 ISO800 R72フィルター使用
OM Workspaceでアートフィルター適用(ネオノスタルジー/シェーディング補正)
OM-3 ASTROの眼で世界を楽しみたい
天体撮影のために開発されたOM-3 ASTRO。このカメラによって、Hα線という人の目では見えない光が見えるようになる。普通のカメラでは写せない宇宙の姿を、天体用の「眼」を使って私たちが知ることが出来るわけだ。そこが天体用カメラで撮る星空撮影の大きな魅力。
その「眼」を、あえて地上にも向けてみたら想像以上に面白いぞ、というのか今回のレポートだ。星雲を撮ってみたいけど、そのためだけに高価なカメラを購入するのは、実際のところ非常にハードルが高い話だ。それでも、星雲だけじゃないところにもOM-3 ASTROの魅力・面白さがあることを知ってもらえたら、私としてもうれしい。

■撮影機材:OM-3 ASTRO + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO(35mm判換算50mm)
■撮影環境:絞り優先オート 1/60秒 F1.2 ISO200 R72フィルター使用
Lightroom ClassicでRAW現像
ホワイトバランス:RAW現像時にグレー点指定
道具はとことん使って楽しまなければ、もったいない。なにしろフラッグシップ機同等の機能を備えたスタイリッシュなカメラなのだから。じつは私は、クリエイティブダイヤルを駆使した「近赤外線ストリートスナップ」こそがOM-3 ASTROの真骨頂なのではないかと思っているところ。ぜひ多くの人に近赤外線写真も楽しんでもらいたい。もちろん、星空も。
ちなみに、普通に使えば赤みがかった写真になってしまうASTROモデルだが、ホワイトボードでワンタッチホワイトバランスを取れば、思いのほか普通の色に写ってくれる。メーカーは通常撮影を推奨していないけれど、密かに覚えておいてもいい裏ワザだ。何なら、レンズに装着する赤外カットフィルターも販売されているので、それを使えば通常機と同じように使えることを知っておいて損はない。
■写真家:飯島裕
埼玉県生まれ。1969年アポロ月着陸の頃から宇宙に興味を持ち、星の写真を撮り始めたのが始まり。広告制作会社に勤務後、ハレー彗星が回帰した1986年からフリー写真家として独立する。企業・大学・研究機関などの広報写真、書籍・雑誌・WEB記事等の取材写真撮影を幅広く担当。個人的には、科学的な天体写真をベースに表現性を付加した、いわゆる星景写真に早くから取り組む。
2003年より月刊天文情報誌『星ナビ』に銀塩フィルムによる星景写真+短文『銀ノ星』を現在も連載中。天文・カメラ系出版物などに星空撮影や解説の執筆、写真撮影講座や講演なども多数。
双眼鏡で見る星が大好き。ホンネはいつも「星は撮るより眺めたい」。















