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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2017.09.08【Vol.338】

クラシックカメラ話「Super Kodak Six-20(スーパーコダック620)」

Super Kodak Six-20

今回ご紹介のカメラ、Super Kodak Six-20はアメリカ イーストマンコダック社が1938年から1944年まで生産した620フィルム使用、6x9判フォールディングカメラです。

世界で初めて市販されたAE(自動露出)カメラとして有名なカメラです。総生産台数は715台~750台程度とカメラとしては少量の生産にとどまりました。ハッキリした理由はわかりませんが、操作がわかりづらいとか、本体が大きいだけで8枚しか撮影できないなど、さまざまな理由でそれほ売れ行きは良くなかったのかもしれません。フィルムメーカーとしても35mmフィルム、それに伴うプリントやムービーフィルムのほうが利益は良かったでしょうから、積極的に販売されなかったのかもしれません。

僕個人としては近未来的な1930年代を象徴するモダンなデザインが素敵だと思います。実際に使用してみると非常に使いづらい(カメラをどのように保持していいかわからない、シャッターが切りにくいなど)ことがわかります。簡単にいえば撮影に専念するのが嫌になるカメラということでしょう。仕事で使えといわれても嫌ですね。カメラの設計というのはいろいろな考え方があるのでしょうけど、このカメラの場合、斬新なデザインの中に機会を押し込んだという言い方が適切かもしれません。

シャッターは上蓋に独立して配置し、折りたたんだ際のレンズ部分との切り離しを容易にし、レンズ周辺部一体はセレン光式露出計の要ともいえる磁石で取り囲んでいます。大ぶりな本体ですが、ラウンドデザインですっきり見えるのは不思議です。また外側から見えない機械部分は細かな部品を上手く使いながら合理的な部品点数で上手くまとめています。

「アメリカ製は大雑把なつくりだから」と揶揄されることもありますが、このSuper Kodak Six-20に関しいえばとても繊細に造りこまれた高級感ある、時代を代表する製品だと思います。そんなカメラが沢山生産されなかったことは残念ですが、程度のいいものが見つかればもう一台ぐらいほしいものです。所有する写真の2台は幸運なことに露出計共々実際の使用がいまのところ適っています。


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