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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2017.04.07【Vol.316】

クラシックカメラ話「スタート35」

スタート35

果たしてどれほどの台数が作られ、どれだけの子供がこのカメラを使ったのでしょうか。カメラを含むすべての写真機材が現代とは比べられないほどに高価であった時代。親にせがんでようやく買ってもらったという年配の方も多いかもしれません。今回ご紹介のカメラは昭和20年代半ばから一光社より発売されたスタート35です。

1930年代に作られた、ドイツのボルタビットというカメラに端を発するとされる「ボルタ判」フィルムを使用する小さなカメラのスタート35。ベークライト製の本体にレンズ、シャッターが付いただけの本当にシンプルな構造です。金属製フレームにガラスを使用したファインダー搭載のモデルや、本体のベークライトと一体型の素通しファインダーのモデル、絞り切り替えの搭載されるものなど、複数のバリエーションが存在しています。シャッターはBとインスタント(およそ1/25程度)絞りはおよそF5程度とF11程度の2段切り替えです。焦点は固定焦点となっています。僕自身も複数台所有していますが、細かなデザインの違いなどを見ていくと、すべてのバリエーションを集めるのはなかなか難しいかもしれませんね。

カメラで使用するボルタ判フィルムは通常の35mmサイズではあるものの、フィルム端にパーフォレーションのない、いわゆる無孔フィルムです。番号の振られた裏紙が付いていて、カメラの背面にある赤窓(緑窓)で確認しながらフィルム送りを行います。初めて買ってもらったカメラがスタート35だった、という方にお話を聞いたことがあり、その方によると現像のセットもあり、父親の手ほどきを受けながら撮影、現像、密着プリントや引伸しを子供ながらに楽しんだようです。初めてのシャッターはその父親を撮影したそうです。画面サイズは正方形だったと記憶されており、僕の所有するモデルはいずれも24x36サイズなので、24x24と24x36の2タイプがあったようです。日光写真のように撮影したその場で写真を現像するものとは異なり、ちゃんとしたフィルムを装填して、撮影後に本格的な現像作業とプリントができることから、写真趣味の第一歩として盛んに使用されたようです。今ではトイカメラなんていうジャンルもありますが、ちょっと趣が異なります。当時はこんな簡易型のカメラでも、子供にとっては高価なもの。一枚一枚を大事に、丁寧に撮影した記憶が蘇ってくるとも仰っていました。


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