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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

撮影やカメラの機能、設定についてやアクセサリーなど、写真に関することを
簡単ではありますがお話しできればと考えております。
毎週更新していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

種清 豊(たねきよ ゆたか)

1982年大阪生まれ。京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、
写真家竹内敏信氏のもとで約3年間のアシスタントを経て、2007年よりフリーランスに。
主に、昭和の街並みや現代の街のスナップを撮影中。
カメラ専門誌、WEBなどに写真関連記事を掲載している。

キヤノンEOS学園講師 NPO法人フォトカルチャー倶楽部講師

2016.09.30【Vol.289】

クラシックカメラ話「ADOX300」

ADOX300

ADOX300フィルムマガジン

今回ご紹介のADOX300は1957年ごろ発売された35mmレンズシャッターカメラです。ADOXはドイツ フランクフルト アム マインで1860年に創業した写真薬品メーカーです。1880年ごろより感光材料を生産するようになりカメラの販売を1930年ごろから1960年代初頭まで続けました。創業時の会社は1960年代に消滅していますが、近年ADOXの商標を使ったフィルムが復活し生産されています。

ADOX300の最大の特徴は交換式フィルムマガジンを採用したところです。フィルムマガジンのメリットは、あらかじめ複数のマガジンを持つことで、フィルム交換の時間が短縮できる、撮影途中のフィルムを交換可能で、違う種類のフィルムに変更(カラーからモノクロなど)できることが挙げられます。フィルムフォーマットの大きなカメラでは極一般的なことですが、35mmカメラだとスペースの兼ね合いなどで、どうしてもカメラが大型化してしまったり、複雑な機構を余計に追加しなければならないので、マガジン交換式のカメラはそれほど多くありません。日本でのマガジン交換式カメラとしてはマミヤマガジン35というカメラが非常に有名です。なお、ADOX300の専用マガジンは後にライツ社が製造設備を買い取り、自社の顕微鏡撮影用品に採用しています(マガジンは当初からライツが生産していたとする説もあるようです)。

フィルム送りはレバー式となっていて、シャッターコッキングと巻き上げをワンレバーで行います。マガジン式で余計なギアが入り負荷がかかるはずですが、内部のフィルム巻き上げとマガジンを連動するギアが大型なので巻き上げは思いのほかスムーズです。レンズは3群3枚構成のSteinheil Cassar 45mm f2.8 もしくは3群4枚構成のSchneider Xenar 45mmf2,8が採用されています。本体左肩には当時の幾つかの小型カメラに採用されていたE&W Bertram社の露出計が内蔵されています。軍艦部は余裕のある設計ですが連動距離計は採用されていないのが少々残念なところです。

マガジン採用のメリットは先に述べた通りですが、交換式にしていなければもっと小型で機能的なカメラになったでしょう。ADOX500というレンズ交換式モデルも試作されたようですが、ADOX社が作ったマガジン交換式カメラは結果として後にも先にもこの1機種のみです。フィルムメーカーとして自社のフィルムを消費してもらうためにマガジン交換式カメラを作ったわけですが、実情はあまり普及しなかったようです。

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