~ 寄り道で見つけたマイペンライ ~ ソニー FE 24-105mm F4 G OSS レンズと共に タイ前編|平野はじめ
はじめに
相変わらず、突然飛行機のチケットを押さえてしまう私ですが、出発前は現地での撮影地や移動距離を計算し、タイムスケジュールを組み立てています。
今回はタイということで、公共交通機関も盛りだくさんですね!運転することを視野に入れながら、数週間の滞在で100ヶ所以上の撮影地を予定しました。
私は、訪れたい場所にGoogleマップでピンを置き、保存先メモに参考URLや詳細を書き込んで、日付ごとに効率の良い回り方を整えています。 ピンの場所を見返した時に、「なんだここは?」とならないためです。
とはいえ、目的地へ向かう途中での出会いや交流も大切で、のちにヒントになることも。
私はこれを、「寄り道の数だけの物語」—— “旅の副産物” と言っています。
今回は、その道中で出会った人々を ソニー FE 24-105mm F4 G OSS レンズを使って撮ってみましょう。
「ぼったくりタクシー」

■撮影環境:焦点距離 24mm SS 1/400 F5.0 ISO800 WBマニュアル
空港の到着ロビーを出れば、じめっとした熱気と、鼻をつく排気ガスの匂い。
営業上手な客引きタクシー運転手たちをかき分けながら、目的地へのバス停を探します。
都合のいいバスがなく、私はやむなくタクシードライバーへ声をかけました。
エアコンの効きが悪い車窓から外を眺め、ほっとしたのも束の間、運転手は突然メーターを止め、不自然な遠回りをしながら料金交渉をしてきました。タイには、ぼったくりタクシーが多数存在すると聞いていたので、特に驚くこともなく、その場でタクシーを降りました。

■撮影環境:焦点距離 34mm SS 1/320 F6.3 ISO250 WBマニュアル
スーツケースを片手に、タクシーを拾い直すまでの数十分、慣れない暑さで体力がどっと削られていきました。
それもそのはず、3月のバンコクは「暑季(しょき)」の入り口にあたり、1年で最も暑さが厳しくなる時期だといいます。
「ノイズ」

■撮影環境:焦点距離 56mm SS 1/250 F7.1 ISO500 WBマニュアル
市街地に向かうにつれ、トゥクトゥクの破裂するマフラー音が街中に響き渡り、人々のにぎやかな声があちこちから聞こえてきます。
ようやくタイの活気が見えてきました。
「もの珍しいと思うのは私だけじゃなかった」


■撮影環境:焦点距離 66mm SS 1/200 F5.0 ISO4000 WBマニュアル
他国へ行くと、すべてのものが目新しく映ると思うのは私だけでしょうか。
屋台の活気の中で、ファインダーを向けた先が、偶然にも重なり合う。これもまた、旅の面白さのひとつです。多言語看板と交差する多国籍。
私たちはそれぞれに、「ここにいた証」を描写しているのかもしれないですね。
「目覚めても、やっぱりそこはタイだった」

■撮影環境:焦点距離 105mm SS 1/500 F5.0 ISO200 WBマニュアル
バンコクで迎えた初めての朝。
実をいうと、朝活はあまり得意ではありません。にもかかわらず、海外での撮影となると、ねぼけまなこでもカメラを構えてしまう勢いに、我ながら驚いてしまいます。
いつも見守っているかのような仏様は、タイの人々の生活の中で、何の違和感もなくそこに存在していました。
「手のひらの意味」

■撮影環境:焦点距離 52mm SS 1/400 F6.3 ISO640 WBマニュアル
ふらっと立ち寄った川沿いのマーケット。
悟りを開いたかのような、優しい笑みの少年を撮影しました。彼の家は家族みんなでお店をしていて、お礼にと、少年のお母さんが「何かお店の商品を私にプレゼントしたい」と言ってくれました。私はキラキラした象のマグネットを選びました。
それは自宅の冷蔵庫に貼ってあり、見るたびに彼らの笑顔を思い出します。
ですが、少年の手のひらに書かれていた ‘’ Sale 50’’の意味は、いまだ解決していません。
「カラーズ」

■撮影環境:焦点距離 34mm SS 1/160 F5.0 ISO160 WBマニュアル
水たまりを涙にみたて、カラフルな色合いを閉じこめました。
この国には、涙の後も「マイペンライ(気にしない、どうにかなる)」という姿が、街のいたるところに投影されているように感じました。
その色を視界の奥に滲ませたまま、私は次の街へ向かいました。
「Home away from Home」

■撮影環境:写真左 焦点距離 71mm SS 1/40 F16 ISO64 WBマニュアル
チェンマイへ向かう飛行機の中、隣に座ったのはタイ人の女性でした。
彼女は毎年、チェンマイを訪れていると話してくれました。
バンコクのような慌ただしさは抜けて、時間がゆっくりと流れていました。
後日、街を案内してもらいながら、歴史的な城壁「ターペー門(Tha Phae Gate)」で撮影をしました。
この場所は「ハト(鳩)」がたくさんいる所として世界的に有名で、 “ハトマフィア”に遭遇する日本人も少なくないといいます。気になる方は調べてみてください。
「Chill out」

■撮影環境:焦点距離 29mm SS 1/400 F9.0 ISO250 WBマニュアル
バンコクから車で2時間ほどの場所にあるパタヤ。
珍しい寺院を探している途中で見つけた「Ocean Sanctuary」。桟橋を渡った先には、小さな仏様が静かに納められていました。

■撮影環境:焦点距離 62mm SS 1/80 F8 ISO250 WBマニュアル
ここで出会った一人の青年は、将来MCになることを目指して、毎日ここでラップの練習をしているそうです。
清められた場所で歌うと「覚醒されて物事がうまく動いていく」と伝えてくれました。
彼にとってここは、本当の意味でChill outできる場所ではないでしょうか。
日本で例えると、神社でラップをしているような事だから、なんだか不思議ですね。
「うし使いの少女」

■撮影環境:焦点距離 74mm SS 1/320 F7.1 ISO125 WBマニュアル
麦畑を探している道中、牛を連れていた少女に話しかけました。ですが、彼女はどこか空(くう)をみていました。駆け寄ってきた男性は警戒しながらも、妹は話せないと教えてくれました。
別れ際、彼女はポケットから小さな飴を差しだしてくれました。

■撮影環境:焦点距離 93mm SS 1/640 F5.0 ISO125 WBマニュアル
「タイランドマジック」

■撮影環境:焦点距離 24mm SS 1/60 F7.1 ISO200 WBマニュアル
‘’微笑みの国’’と言われるタイ。
それは人々が微笑んでいるというだけではありません。
人と人との絶妙な距離感の中で、訪れる人の心を柔らかく(柔軟に)してくれることかもしれません。
カメラを向け、ファインダーをのぞいていたのは、口角をあげ、夢中に撮っていた自分自身。
鍵がかかっていた引き出し(撮影スタイル)がスッと開いた気がしました。
どうやら私は、’’タイランドマジック’’にかかったみたいだ。
その奥には、タイならではの仏教が関係しているのでしょうか。
次回は、生活の隣にある...を私の視点を通してみていこうと思います。
■写真家:平野はじめ
日本有数の麦の生産地佐賀市で育つ。その生命力に魅了され、商標登録を取得。自分探しの渡米で写真に目覚め、帰国後舞台撮影などを経て独立。「廃にでさえ美は存在し、目に見えるものがすべてではない」という視点をもとに、ドローンでも一瞬を切り取る。新聞・ラジオ・TV出演・業界誌執筆や個展開催など、フォトアーティストとしてだけではなく、モデル・タレントとしても活動の幅を広げている。
現在、佐賀市公認観光アンバサダーリーダーも務める。ニコンHPで「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S×平野 はじめ」を公開中。
ソニー ワールドフォトグラフィーアワード 2023年 日本部門賞 第1位 2024年 同部門賞 第2位 2025年 一般公募部門 ライフスタイルカテゴリー 世界第1位 2026年 プロフェッショナル部門 日本部門賞 入賞
他、PX3やIPAなど世界的フォトコンテストでも受賞多数。













