連れ出したくなるカメラ、ニコン Zfcで写す旅と日常

鎌田風花
連れ出したくなるカメラ、ニコン Zfcで写す旅と日常

はじめに

新しいカメラが発売されるたびに、そのカメラがいかに高性能であるか、話題で持ちきりになります。ですが、ニコン Zfcはそれとはまた少し異なる位置にいるカメラではないでしょうか。私自身、今でもZfcは大切な愛機のひとつです。

発売から数年が経った今も、このカメラは選ばれ続けています。ニコンプラザでカメラ初心者の方向けのワークショップを定期的に開催していますが、最終的にZfcを選ばれる方をたくさん見てきました。

選ばれる理由はきっと、スペック表には載っていません。「なんとなく持ち出したくなる。」そう思わせてくれるカメラだからこそ、今なお愛され続けているのだと思います。今一度、このカメラの魅力と向き合ってみることにします。

Zfcが今もなお人気の理由とは?

Zfcのプロモーションに携わったことから、このカメラと出会いました。正直、最初に惹かれたのは見た目でした。FM2にインスパイアされたクラシカルなデザイン、手に持った時のちょうど良いコンパクトなサイズ感。カメラとしてというより、ひとつのプロダクトとして「かわいい!」と思ったのが最初の印象です。
見た目でカメラを選ぶのはどうなの…?と思う方もいるかもしれませんが、私の中で「持ち出したくなる」という気持ちは、写真を撮り続けるうえでとても大切なことだと考えています。

ある日のコーディネート、NIKKOR Z 28mm f/2.8 SEとの組み合わせです。

いつもの持ち物と一緒に、トートバッグに入れて持ち運べます。レザーのストラップとの相性も良く、カメラと一緒に何年も使い込んでいます。

見た目で惹かれ、サイズ感で連れ出しやすくなる。そしてもうひとつ、使うたびに好きになる理由は、ダイヤル操作の心地よさです。

Zfcの特徴的な外観のひとつが、上部のダイヤルになります。シャッタースピード、ISO感度、露出補正ーーそれぞれに独立したダイヤルが割り当てられています。はじめは上手く使いこなせなくても、ダイヤルがあるからこそ、直感的な操作が可能となります。時にはタッチ操作やボタン操作の方が瞬時に切り替えられる場面があるかもしれません。ただこのカメラは、一枚ずつじっくりと向き合いながら撮る、というスタイルがよく似合います。押し心地のあるしっかりとしたシャッターフィーリングは「写真を撮っている」という感覚を自然と後押ししてくれます。

発売当初はシルバーのみでしたが、現在はシルバーとブラックの2色から選ぶことができます。自分のライフスタイルに合わせて、カメラを持つ楽しさがあります。

相性の良いレンズ

レンズを変えるのも、Zfcで写真を撮る楽しみに繋がります。コンパクトなボディだからこそ、レンズとのバランスが見た目にも直結します。(もちろん、持ち心地にも左右します)

NIKKOR Z 28mm f/2.8(SE)

このレンズはZfcの単焦点レンズキットとしてカメラと一緒に選ぶこともできます。換算42mm相当の画角は、風景からスナップ、作品撮りまで幅広いシーンに対応できます。絞り込めば解像感が高く、開放値付近では光の表現がやわらかく優しい印象に仕上がるのもこのレンズの魅力です。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z 28mm f/2.8 (SE)
■撮影環境:1/4000秒 F2.8 ISO100

花畑で、前後のボケを活かして撮影した1枚です。前ボケのやわらかさによって、自然と奥の花へ視線が誘導されるようにしています。

身の回りのものや風景であれば、「これ1本あれば大丈夫」という安心感があるので、基本的に、Zfcには28mmをつけっぱなしにしています。そしてZfcにつけるなら、断然このSpecial Editionがおすすめ。「ボディはかわいいのに、レンズが現代的すぎて…」ということはよくありますが、この組み合わせだと世界観がきちんと確立されます。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z 28mm f/2.8 (SE)
■撮影環境:1/250秒 F2.8 ISO200

テーブルフォトの撮影にも程よい距離感で、ボケ感がやさしいので主役をそっと引き立てるような描写が特徴的です。

NIKKOR Z DX 24mm f/1.7

28mmより少し広い画角になることで、風景ごと広く切り取りたいシーンで重宝します。焦点距離のわずかな違いでも、写真の雰囲気は変わりますよ。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z DX 24mm f/1.7
■撮影環境:1/4000秒 F1.7 ISO100

旅先で出会った風景を、そのままの広がりで残したい時は、この24mmを選びます。快晴での撮影でしたが、1/4000秒にすることでF1.7で撮影することができ、平面的な風景写真でも立体感を表現することができました。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z DX 24mm f/1.7
■撮影環境:1/800秒 F1.8 ISO320

F1.7というかなり明るいレンズなので、光量が少なくなる夕方から夜間のシーンも、手持ちで撮影することができ頼りになります。レンズ自体がコンパクトなサイズなので、他に荷物が多くなってしまうような旅でも負担になりにくいです。

NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR

旅に持って行くことが多いのが、このズームレンズです。単焦点レンズの世界観とはまた異なる、「撮りたいものに自由に向き合える」機動力がこのレンズの魅力です。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:1/1000秒 F3.5 ISO100

広角側では旅先で出会った広い風景を、望遠側では遠くの被写体を引き寄せて、ボケ感を生み出すこともできます。とっさのシャッターチャンスでも迷わず対応できるので、旅先では特に心強い1本です。また、高倍率でありながらも軽量で解像感も高く、長時間持ち歩いても負担になりづらいです。DX用のレンズはこの軽量さが魅力的です。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:1/125秒 F5.3 ISO500

望遠で切り取れば、背景をしっかりぼかしたこんな写真も撮れます。同じ1本のレンズとは思えないような切り取りのバリエーションがあり、撮影していても視野が広がります。

レンズを変えることなく、1本で寄り引きの表現を楽しめる。その安心感が、旅におけるZfcの相棒となります。

色を楽しむ、ピクチャーコントロール

ニコンのZシリーズカメラには31種類の「ピクチャーコントロール」という機能があります。ファインダーを覗きながらリアルタイムで写真の色や雰囲気を変えることができます。撮影後に編集ソフトで調整するのも楽しいですが、カメラ内でその場の空気感に合わせて仕上がりをイメージしながら撮れるのが、この機能の面白さです。

▼ピクチャーコントロール:オート

▼ピクチャーコントロール:ピュア(適用度50)

▼ピクチャーコントロール:トイ(適用度50)

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z DX 24mm f/1.7
■撮影環境:1/2500秒 F1.7 ISO400

オートはカメラが自然な色合いに整えてくれる、最もベーシックな状態です。ピュアは少し彩度が抑えられ、シャドウに青がのることでやわらかく透明感のある描写に。ノスタルジックな雰囲気を出すのが得意です。トイは全体的に彩度が上がり、このシーンでは温かみのある雰囲気になりました。

使うときのポイントは「適用度を調整する」こと。初期設定の100%では雰囲気が変わりすぎてしまうことが多いです。30-50%程度に下げることで、くどくなりすぎず、ナチュラルに雰囲気が変わります。彩度や明瞭度などの基本調整も可能です。「なんとなくいつもの雰囲気を変えたい」「オートだと撮りたいイメージに近づけない」そんなときにぜひ試してみてください。

Zfcが写す日常と旅の風景

Zfcがそばにあることで、日常の何気ないシーンにも、ふとカメラを向けたくなる瞬間が増えました。愛猫がリラックスしている姿、植物、旅の風景。肩肘張らずに、そして特別な場所でなくても、記憶として残したい瞬間が自然と見つかります。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z DX 24mm f/1.7
■撮影環境:1/4000秒 F1.7 ISO400

日向ぼっこ中の愛猫をこっそりと撮った1枚です。ガラスのローテーブル越しに撮影していて、いつもの視点を少し変えるだけでも、日常が違って見えることもあります。明暗差がかなりあるシーンですが、白飛び・黒潰れどちらもなく質感を残せているのは、カメラとレンズの描写力によるものだと思っています。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z 40mm f/2 (SE)
■撮影環境:1/1000秒 F2 ISO100

俯瞰で撮りながらも、前後にボケを作ることで奥行きと立体感を出しています。緑・白・青の3色に絞ることで、写真をすっきりと見せるように意識しました。NIKKOR Z 40mm f/2はZfcに付けると換算60mm相当の画角になるので、見たままをそのままというよりも、被写体をじっくりと見つめて写すという感覚に近くなります。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z DX 24mm f/1.7
■撮影環境:1/320秒 F1.8 ISO100

旅の途中で出会った、まっすぐに木が伸びる場所。その高さと存在感をそのまま残したくて、縦位置で切り取りました。引けば広角として風景ごと写せるのがNIKKOR Z DX 24mm f/1.7です。

■撮影機材:Nikon Zfc + NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
■撮影環境:1/2000秒 F6.3 ISO320

夕暮れのグラデーションがなめらかに描写されていて、目で見たときの感動をそのまま写真に残せたことが嬉しかった一枚です。人物が歩いている雰囲気が良いと感じた瞬間、とっさにシャッターを切りました。その場の空気感ごと切り取れるのは、画角を自在に変えられるズームレンズだからこそだと思っています。

さいごに

機能面で選ぶならZ50IIなど、より最新のカメラを選ぶほうが間違いはありません。ただ、コンパクトなサイズ感で、見た目にもこだわりたいという方なら、Zfcは十分に選択肢に入るカメラだと思っています。

発売から数年が経った今も変わらず選ばれ続けているのは、クラシカルなデザイン、手に馴染むサイズ感、ダイヤルやシャッターボタンを押すたびに感じる撮影の心地よさがあるからです。持ち出すたびに「このカメラで良かった」と思わせてくれる一台です。

DXフォーマットながら、レンズのバリエーションも増えてきたことで、さらに選択肢に入れやすくなりました。レンズを変えるたびに、Zfcが異なる風景を見せてくれます。小さくて、デザインも大切にしたいという方は、ぜひ一度Zfcを手に取ってみてください。

 

 

■フォトグラファー:鎌田風花
兵庫県在住。一般企業への就職を経て2017年よりフォトグラファーとして活動。ナチュラルで透明感のあるポートレートや風景写真を得意とし、家族写真の出張撮影や広告撮影、写真セミナーの講師などを務める。
近畿日本鉄道「わたしは奈良派」広告掲示(2023年春/夏)。その他カメラ、レンズのパンフレット撮影など。Nikon CP+ステージ登壇(2022~2026年)

 

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