街を時間ごと写す。ソニー α7 V・α7R Vで挑む長時間露光の世界
2026年7月5日(日) にAmatou氏を講師にお迎えし、ソニープロカメラマンセミナー「Amatouが語るソニーの魅力 ~長時間露光で写真を芸術作品に~」を開催します。長時間露光を活かした撮影表現や、ソニー機材の魅力について作例とともに紹介するオンラインセミナーです。普段からαを使って撮影を楽しまれている方をはじめ、SONYのカメラやレンズを使ってみたいと考えている方も奮ってご参加ください。セミナーの詳細は文末に記載しています。
はじめに
長時間露光と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。流れる雲、ガラスのように静まる水面、消え去った人の気配。長秒のシャッターは肉眼で見ている景色から動きを取り去り、画面の中に静けさを残します。記録としての写真から一歩離れ、表現としての写真に近づく不思議な技法です。
そんな長時間露光に欠かせないのは長秒露光のあいだも色と階調を破綻させず、撮影後に整理された画面の質感をどこまで残せるかという機材の地味な実力です。
今回はソニーのフルサイズミラーレスのなかから、長時間露光と相性の良い2台 、6100万画素を擁する高解像モデル「α7R V」と最新ベーシックモデル「α7 V」を取り上げます。それぞれの機能が撮影の現場でどう効くのかを作例とともに紹介します。
<α7R V> 6100万画素で残す長秒の質感と細部
長時間露光が動くものを消し去ったあと画面に残るのは動かないものの質感です。建築のテクスチャ、水の表面が静まったあとの石の肌理、雲が流れ去ったあとに残る空の階調。それらをどこまで残せるかが作品の説得力を決めます。
α7R V は6100万画素という高い解像力でその残ったものを最高密度で記録する一台です。長時間露光は動体というノイズを除去して画面を整理する技法なので、整理された画面と高画素は相性が極めて良い組み合わせとも言えます。残された情報の密度が上がるほど長秒露光の静謐さは作品としての強度を増していきます。

■撮影環境:430秒 f/16 ISO100 焦点距離51mm ND1000とND64を使用

■撮影環境:200秒 f/10 ISO100 焦点距離16mm ND1000とND64を使用
<α7R V> バルブタイマーで実現する再現性のある長秒露光
α7R Vには長時間露光ユーザーにとって極めて実利的な機能が搭載されています。それがバルブタイマーです。これは30秒を超える露光時間をメニューUIで秒単位指定できる機能で、シャッターを押すと指定秒数で自動的に閉じてくれます。
α7R V で初めて搭載され、第5世代の α7 V にも採用されました。
長時間露光を続けてきた方なら、これまで外部レリーズや時計を使ってバルブの時間を測ってきた経験があると思います。
長時間露光は秒数を変えることで雲・水・人の流れの抽象度が変わる技法です。秒数を厳密にコントロールできることは表現の選択肢が広がることに直結します。

■撮影環境:380秒 f/11 ISO100 焦点距離42mm ND1000とND64を使用

■撮影環境:260秒 f/9.0 ISO100 焦点距離24mm ND1000とND64を使用
<α7R V> 雑踏を消し去る長時間露光による都市の再構成
街の長時間露光がもたらす効果のなかで最も劇的なものは、動くものを画面から消し去ることです。観光地の人混み、駅前のスクランブル、交差点を行き交う車など数分の露光をかけるとこれらは画面から消え、無人の街が立ち現れます。普段は雑然として見えていた都市の構造が、長時間露光を通すことで彫刻のような静謐さを帯びて画面に残ります。
この都市の再構成を作品として成立させるためには消えるべきものと、残るべきものの差を最大化することが重要です。α7R V の6100万画素は、残るべきものである建築の質感、構造物の輪郭、空のグラデーションを最高密度で記録します。動体が消えて整理された画面と高解像が組み合わさることで、現実の街並みを撮っているはずなのに現実より構造が明快な画が立ち上がります。
長秒露光に向く街は骨格が美しい街です。輪郭の強い建築、反復のあるファサード、抜けや余白を持つ広場、視線を導く通り。そうした場所を選び、動体を消すための秒数を設計し、高解像でその場の構造を残していく、これが街の長時間露光作品の基本構造です。

■撮影環境:203秒 f/10 ISO100 焦点距離17mm ND1000とND32を使用

■撮影環境:13秒 f/8 ISO100 焦点距離13mm ND1000を使用
<α7 V> AI AWB でNDフィルターの色かぶりを攻略
長時間露光に欠かせないNDフィルターにはひとつ厄介な特性があります。減光のために濃いNDを使うとわずかに色が転ぶことが珍しくありません。ND64とND1000を重ねがけしたときなど、マゼンタやグリーンに振れることがあり空と建築でかぶり方が異なって見えてしまうこともあります。
α7 V に搭載されたAI AWBはこの色かぶりを学習補正で軽減してくれる頼もしい機能です。ND重ねがけ後でも自然な色のままの画を出力してくれるため、RAW現像の前段で色の土台が安定します。長秒撮影は1カットに数分かかることもあり、現場で完成形に近い画が見えることの意味は想像以上に大きいです。

■撮影環境:260秒 f/8 ISO100 焦点距離32mm ND1000とND64を使用
<α7 V> 16ストップのダイナミックレンジでハイライトを救う
長時間露光はシャッターを開けているあいだに光が積算されていくため、街灯・反射・残照といった局所的なハイライトがオーバー気味に転ぶことがあります。
一方でシャドウ側はノイズが整理されてなだらかになりやすい。つまり階調にどれだけ余裕があるかが長秒露光の現像耐性を決めます。
α7 V が誇る16ストップのダイナミックレンジはハイライトが白飛び寸前まで粘る点で、長秒露光に大きな恩恵があります。少しオーバー目に撮って、現像で持ち上げるという運用が現実的に成立するため、現場で露出の判断が一段とラクになります。
夜景や逆光街の照明を含む長秒撮影でこれまで諦めていた光の表情が拾えるのは、第5世代らしい進化のひとつだと感じています。

■撮影環境:180秒 f/8 ISO100 焦点距離24mm ND1000を使用
さいごに
今回は長時間露光におすすめの2台を紹介しました。どちらも優れたフルサイズ機ですが、α7 V は AI AWB と16ストップのダイナミックレンジで色と階調を守ることに長けたベーシック機。α7R V は 6100万画素とバルブタイマーで質感と細部を残す作品制作向けの高解像機です。
カメラを選ぶポイントは長時間露光で何を写したいか、何を残したいかをはっきりさせることです。色と階調を守りたい撮影なら α7 V、質感と細部を残したい撮影なら α7R V。それぞれの軸を意識して選ぶと長時間露光は次の段階へ進めるはずです。
2025/6/28「Amatouが語るソニーの魅力 ~長時間露光で写真を芸術作品に~」セミナーを開催
2026年7月5日(日)はAmatou氏を講師にお迎えし、『Amatouが語るソニーの魅力 ~長時間露光で写真を芸術作品に~』をテーマに、長時間露光を活かした撮影表現や、ソニー機材の魅力について作例とともに紹介するオンラインセミナーを開催します。また、2026年7月18日(土)には山田芳文氏が登壇。『αで撮る 鳥たちの日常』をテーマに、野鳥の撮影テクニックや、ソニーαで鳥たちの姿を切り取る楽しさを、作例とともに分かりやすくお届けします。
本セミナーは全国のカメラのキタムラ50店舗でライブ中継にて開催いたします。参加費は無料!講師への質問もできますので、この機会にぜひお気軽にご参加ください。セミナー終了後、一部の店舗では普段取り扱いのない特別なカメラやレンズの体験ができます。開催店舗をぜひご確認ください!セミナーは両日とも午前・午後の2回開催いたしますので、ご都合の合う方へご参加ください。みなさまのご参加を心よりお待ちしております!
【概要とお申込み】
■開催日:
2026年7月5日(日):Amatou氏『Amatouが語るソニーの魅力 ~長時間露光で写真を芸術作品に~』
2026年7月18日(土):山田芳文氏『αで撮る 鳥たちの日常』
■開催時間:両日共に【第一部】11:00~12:00【第二部】14:00~15:00
■費用:無料
■場所:カメラのキタムラ ライブ中継先店舗(下記店舗一覧よりご確認ください)
■定員&申込み:希望店舗へお問い合わせ、ご連絡ください
■申込み期限:各開催日前日の店舗営業時間内
【店舗一覧】
募集状況や申込み、ご質問などは申込み希望店舗へお電話ください。
★の表記がある店舗では当日限定のラインナップでカメラやレンズの体験ができます。
■北海道:札幌/羊ケ丘通り店★
■北海道:帯広/白樺通り店
■青森県:弘前/高田店
■秋田県:秋田/広面店★
■山形県:山形/馬見ヶ崎店
■宮城県:仙台/泉店
■新潟県:新発田/舟入店
■茨城県:水戸/下市店
■群馬県:太田/太田店
■埼玉県:熊谷/熊谷店
■千葉県:市川/北国分店
■神奈川県:平塚/平塚店★
■神奈川県:藤沢/湘南台店
■東京都:新宿/北村写真機店
■長野県:松本/並柳店
■静岡県:富士/市役所前店★
■静岡県:掛川/中央店
■富山県:富山/掛尾店★
■富山県:高岡/鐘紡町店
■石川県:金沢/有松店★
■石川県:小松/小松店★
■石川県:金沢/浅野本町店
■福井県:福井/バイパス南店★
■福井県:武生/武生店
■滋賀県:草津/野村店
■愛知県:名古屋/天白・植田店
■愛知県:豊橋/牧野店
■三重県:四日市/西浦店★
■三重県:鈴鹿/白子店
■京都府:京都/四条西院店
■大阪府:豊中/豊中店
■大阪府:岸和田/岸和田店
■岡山県:岡山/下中野店★
■岡山県:岡山/青江店
■鳥取県:鳥取/鳥取店
■島根県:松江/学園通り店★
■広島県:広島/祇園店
■山口県:山口/バイパス吉敷店★
■山口県:宇部/南浜町店
■徳島県:徳島/沖浜バイパス店
■香川県:高松/高松南店★
■高知県:高知/土佐道路店
■愛媛県:松山/朝生田店
■福岡県:福岡/ミーナ天神店★
■福岡県:久留米/上津店★
■佐賀県:佐賀/南部バイパス店
■大分県:大分/光吉店
■熊本県:熊本/東バイパス中央店
■熊本県:熊本/くまなん店
■宮崎県:宮崎/中央店★
【講師プロフィール】
Amatou氏
1995年千葉県生まれ。非現実的な都市景観の表現をコンセプトとしたファインアートフォトグラフィーをメインに撮影している。その独特な世界観が評価され、国際的写真コンテストで数多くの上位入賞を果たす。また、YouTubeのチャンネルを運営しており、シチュエーションごとの写真の撮り方や効果的なレタッチ方法などを発信するなど、視覚芸術の可能性を探求し、写真がもつ表現力を視聴者に伝えている。
山田芳文氏
「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。野鳥の周囲の風景も大きく取り入れた鳥がいる風景写真をライフワークとする。『SONY α7 IV 完全活用マニュアル』『技術評論社』、『SONY α6600 基本&応用撮影ガイド』など著書多数。最新刊は『SONY α7C II 完全撮影マニュアル』(技術評論社)。

















