ニコン NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VRで描く旅のスナップ

ニコン NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VRで描く旅のスナップ

はじめに

2025年10月に登場したニコンの標準ズームレンズ「NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR」。ズーム全域で絞りの開放値にF2.8が使えるという画期的なレンズです。

同じDX(APS-C)規格用には全く同じ焦点距離を持つレンズ、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRもありますが、これとは開放F値が異なるために下の画像の通りレンズ本体の大きさにかなりの差があります。NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRが沈胴式で非常に小型、かつ約135gと超軽量なのに対して、本レンズは約330gと約2.4倍の重さがあります。

とはいえ、「2.8通しの標準ズームレンズ」としてはフルサイズ規格のFX用レンズ、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sの675gと比較すると半分以下の重さという軽量ぶりで、今回撮影に使用したボディ(Z50II)の約550gと合わせても900g以下と非常にコンパクトな印象です。

今回は2026年5月に初めて訪れたイギリスでの写真を中心に、旅のスナップ撮影を通してこのレンズの特徴と利便性をご紹介します。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/8.0, 1/100秒, +0.3段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

16-50mm(35mm判換算24~75mm相当)の画角とは

本レンズの焦点距離は16mm~50mmです。ただしAPS-C規格のセンサーを持つカメラ、ニコンのDX規格のカメラ用レンズであるため、実際には35mm判換算で24~75mm相当の画角を持つレンズとなります。これは冒頭でも触れたレンズ、初代のZ50と共にDXシリーズ機のキットレンズとして登場したNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRと同じ焦点距離を持ちます。この、35mm判換算で24~75mm相当というレンズは一般的に「標準ズームレンズ」と言われます。広角から中望遠までをカバーし、様々な場面での撮影に適した、多くの人にとって使いやすい画角を持つレンズです。

16mm(35mm判換算24mm相当)と50mm(同75mm相当)、いわゆる(約)3倍ズームとは、どのくらいの画角なのでしょうか。イングランド北部、湖水地方のオレスト・ヘッドから比較作例を撮影してみました。広角側の16mmは遠くまで続く草原と山並みを非常にワイドに捉えています。同じ場所で焦点距離を50mmに合わせると、中央に見えていた山と山に落ちる雲の影、手前に広がる丘陵地隊に築かれたいくつもの石垣、また中央付近に写っていた白い建物も拡大せずとも窓の数などのディテールが見て取れます。

▼16mm

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:16mm, f/11.0, 1/400秒, ±0段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

▼50mm

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/11.0, 1/400秒, ±0段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

16mm(35mm判換算24mm相当)の画角は、標準ズームレンズの中でもワイドな画角を持つレンズであり、被写体に対して広く、迫力のある写真を撮ることができたり、遠近感が強調される特徴があります。

素敵な装飾の手すりを備えた螺旋階段を真下より見上げて撮影しました。24mm相当というワイドな画角と広角による遠近感により、ぐるぐると渦を巻きながら高く昇る螺旋階段の特徴を捉えています。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:16mm, f/2.8, 1/250秒, +1.0段, ISO 640, WB自然光オート, PC:スタンダード

通りすがりの八百屋さんの軒先に、数え切れないほどの種類のトマトが並べられていました。トマトって、こんなにも多くの種類があるとは!すべて同じサイズの陳列箱が並んでいるにも関わらず、ワイド端の16mmで撮影したことで手前の箱は大きく広く、奥の箱は小さく写るという広角レンズの特徴がよくわかる一枚となりました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:16mm, f/2.8, 1/200秒, ±0段, ISO 100, WB自然光オート, PC:スタンダード

望遠側の特徴としては、広角とは逆に手前から奥までが詰まって遠近感を感じにくくなる、「圧縮効果」があります。公道から見えた可愛らしい石造りの家を50mm(35mm判換算75mm相当)で撮影したところ、周囲を囲む木々の緑と季節のツツジがぎゅっと詰まって、生い茂る中に建っているかのような写真になりました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/3.2, 1/1000秒, +0.7段, ISO 100, WBマニュアル, PC:スタンダード

ロンドンではあちこちで野生のリスを見かけました。リスのような小動物は望遠レンズが欲しくなることが多いですが、野生とはいえ人慣れして近くまで寄ってきてくれたリスは本レンズでもこの通りしっかり捉えることができました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/3.2, 1/320秒, +0.3段, ISO 400, WB自然光オート, PC:スタンダード
■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:46mm, f/4.5, 1/80秒, +0.7段, ISO 400, WBオート, PC:スタンダード

一方で、やっぱり望遠側が足りない!という場面もありました。ロンドンにはアーバンフォックスと呼ばれる、街なかに棲むキツネがいます。少し郊外のステイ先の近所を歩いているときに偶然出会ったのですが、レンズ交換をしている間はなく……もっと望遠があれば!と思った瞬間でした。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/4.0, 1/1600秒, ±0段, ISO 200, WBオート1, PC:スタンダード

ロンドンから約80km南の海辺の街、ブライトンへ行きました。カモメの飛び交う姿も、カモメだけではなく桟橋に造られた遊園地を背景に入れての風景スナップでは、カモメが近くに飛んできてくれた際には50mmで十分でした。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/9.0, 1/2500秒, +0.3段, ISO 250, WB自然光オート, PC:スタンダード

ズーム全域開放F2.8と暗所での撮影

本レンズの大きな特徴、同じ画角を持つキットレンズとの違いはなんと言っても開放F値がズーム全域でF2.8であること。絞りを大きく開くことで、より大きなボケ感を得られたり、より多くの光を集められることにより、暗い場所での撮影でもシャッター速度が遅くなりにくく有利となります。

大きなボケを得るには、F値を小さくして絞りを大きく開くことと合わせて、できるだけ被写体に近づき、被写体の背後を空けて背景までの距離を取ることが大切です。本レンズは後述の最短撮影距離の短さもあり、被写体にぐんと近づいて大きなボケを得ることができます。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/2.8, 1/800秒, ±0段, ISO 400, WBオート1, PC:スタンダード
■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/2.8, 1/1250秒, -1.3段, ISO 100, WB自然光オート, PC:スタンダード

ズーム全域で開放F値2.8が使えるということは、光の少ない暗い場所での撮影でもシャッター速度が遅くなってブレやすくなることを防げたり、ISO感度を上げすぎなくてもよいというメリットがあります。また、本レンズは手ブレ補正(VR)機構が内蔵されており、最大5.0段(CIPA2024規格準拠)の手ブレ補正効果があるため、暗所での手持ち撮影を助けてくれます。

北海道の最北端、稚内よりもさらに緯度の高いイギリスの湖水地方は、夏場の日照時間が長い上にいわゆるサマータイムを設けているため、5月半ばでも日没時間が21時半近くでした。そこで夕食後、もう一度散歩に出かけることに。お天気が良ければ見事な夕景が広がるはずでしたが、あいにくと雲の多い空の下、刻一刻と暗くなる中を歩きながらの撮影に本レンズはズーム全域で開放F値F2.8という明るさを備えており、夕景のお散歩レンズとして最適でした。ちなみにこの写真の撮影時刻で21時15分。いかに日没が遅いかがおわかりいただけるかと思います。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:16mm, f/2.8, 1/160秒, -0.3段, ISO 800, WBフラッシュ, PC:スタンダード

ロンドンは世界初のガス灯が誕生した街ですが、今でも約1,500基のガス灯が現役の状態で残されており、その多くがシティーと呼ばれる市内中心部で稼働しています。滞在中、オペラを観に行った帰りに、本物のガス灯の残る小道へ。ガス灯の明かりは、昨今のLEDの街灯と比べると明るさは劣るものの、温かみのあるオレンジ色の光がどこかほわんとやわらかくあたりを照らし、石造りの街並みと相まってとてもノスタルジックな印象です。とにかく非常に暗いため、やはりF値の小さな明るいレンズが役に立ちました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:28mm, f/2.8, 1/13秒, -1.7段, ISO 3200, WBマニュアル, PC:スタンダード

バスの車内でとても可愛らしい乗客に遭遇しました。走るバスの車内で車体の揺れや被写体の動きによるブレが心配でしたが、絞りを開放のF2.8に設定し、ISO感度も1600まで上げて、シャッター速度が遅くなりすぎないように気をつけて撮影しました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:26mm, f/2.8, 1/160秒, ±0段, ISO 1600, WB自然光オート, PC:スタンダード

最短撮影距離の短さを活かした撮影

本レンズの最短撮影距離は、広角端で0.15m、望遠端で0.25m。かなり被写体に寄ってもピントが合うため、近接撮影でありながら背景を広く入れたり、小さな被写体を大きく捉える撮影が可能です。

広角側の特徴は、被写体にかなり近づけるとともに、被写体を大きく捉えても遠近感が強調できることと背景が広く入ること。スレートの石垣にびっしり生えた苔にピントを合わせつつ、広角側で撮影することで遠近感が伝わります。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:16mm, f/2.8, 1/160秒, -1.0段, ISO 400, WB自然光オート, PC:スタンダード

バラの花は小さくはないものの、広角側で花を大きく捉えつつ、背景の建物と青空までを入れることができました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:16mm, f/5.0, 1/1600秒, +0.3段, ISO 100, WB自然光オート, PC:スタンダード

道端の小さな花や水滴は、望遠端で撮影することで被写体を大きく捉えることができました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/2.8, 1/250秒, -1.0段, ISO 100, WB自然光オート, PC:スタンダード
■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/4.0, 1/1000秒, -0.7段, ISO 400, WB自然光オート, PC:スタンダード

旅のスナップあれこれ

最後に旅のスナップなどを焦点距離順にご紹介します。

湖水地方の町、アンブルサイドにて。湖水地方はスレートと呼ばれる石の産地であり、伝統的な建物は皆、このスレートを使った石造りになっています。この石造りの建物が並ぶ様を広角で捉えようとレンズを向けました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:16mm, f/5.6, 1/500秒, -0.7段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

今回、湖水地方では軽いトレッキング(ハイキング?)に連れて行っていただきました。日頃の運動不足の身体には堪えましたが、その先に待っていたこの光景を目にすると、ここまでの疲れも吹き飛んでしまいました。眼下に広がるのはグラスミアと呼ばれる湖と同名の小さな村です。ちなみにこの後、急な天候の変化で大雨に見舞われてずぶ濡れになり、しかしものの30分ほどで再び青空が広がってあっという間に衣類も乾く、というなんともイギリスらしいお天気(?)を経験しました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:16mm, f/9.0, 1/1000秒, -0.3段, ISO 250, WB自然光オート, PC:スタンダード

ロンドンでは見かけなかったブルーベルですが、湖水地方ではあちこちで一面のブルーベルに出会うことができました。急な強雨が止んですぐ、森の中は薄暗くて絞りは開放で撮影していますが、解像度の高さの伝わる一枚です。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:24mm, f/2.8, 1/320秒, -0.7段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

バスで移動中に車窓を撮影しました。どうしても走るバスの車内からのガラス越しでの撮影となるため、ガラスの汚れが極力目立たないよう絞りを開放に設定しました。ここでもF値の小ささのメリットを感じることができました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:31mm, f/2.8, 1/1000秒, +0.7段, ISO 100, WB自然光オート, PC:スタンダード

ロンドン西部の、落ち着いた雰囲気の高級住宅街で道ゆく人や2階建てバスなどを絡めて撮影している中の一枚なのですが……。「ロンドン」「右を向いて並んで歩く4人とそのポーズ」からまるでビートルズを思い出させてくれるような一枚です。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:35mm, f/5.6, 1/320秒, ±0段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

ロンドンから湖水地方へ向かう電車の中での1コマ。車内の人物と窓の外に広がる牧場で草を喰む牛たちを画角に収めるのに、35mm判換算で50mm相当となる35mmがちょうどぴったりでした。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:35mm, f/5.6, 1/250秒, +0.3段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

ブライトンの街をスナップしながら散策中、ふと目に留まった光景にレンズを向けました。まず目を引くのは赤い扉ですが、白い壁、赤い扉、隣の青い外観のパブ……よく考えるとイギリス国旗のユニオンジャックの色彩に似ています。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:35mm, f/4.0, 1/400秒, ±0段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

夕暮れ時のテムズ川沿いを東に向かって散策中、ふと振り返るとちょうど日没前のロンドン橋のシルエットがとても素敵でした。ロンドンならではの2階建てバスが通り過ぎるタイミングを待って撮影しました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:46mm, f/8.0, 1/1600秒, -0.7段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

急に雨が降ったかと思えば晴れる、そんな天気を繰り返した日の午後、バス停でバスを待つ間にもまたひと雨やってきました。本レンズも今回のカメラ(Z50II)も、防塵・防滴に配慮した設計となっているため、急な雨の中でも安心して撮影できました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/2.8, 1/4000秒, -0.3段, ISO 200, WB自然光オート, PC:スタンダード

赤い2階建てバスが通ったタイミングで、こちらに向かって歩いてきた人物はできるだけぼかすために、一番望遠側かつ絞りを開放に設定し、ピントを奥の建物に合わせて撮影しました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:50mm, f/2.8, 1/4000秒, -0.7段, ISO 100, WB自然光オート, PC:スタンダード

まとめ

あとちょっと望遠があったらいいのに……と思う場面がないとはいえないものの、ズーム全域でF2.8が使えるメリットは非常に大きく、手ブレ補正機構や画質面も含め、日常使いから旅レンズとしてまで、幅広く活躍してくれます。思わず欲しくなる、そして持っていても損のない一本だと感じました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR
■撮影環境:22mm, f/4.0, 1/125秒, ±0段, ISO 100, WB自然光オート, PC:スタンダード

 

 

■写真家:クキモトノリコ
学生時代に一眼レフカメラを手に入れて以来、海外ひとり旅を中心に作品撮りをしている。いくつかの職業を経て写真家へ転身。現在はニコンカレッジ、OM SYSTEM ゼミ講師、専門学校講師の他、様々な写真講座やワークショップなどで『たのしく、わかりやすい』をモットーに写真の楽しみを伝えている。神戸出身・在住。晴れ女。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員

 

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