ケンコー ZXII プロテクター|超高解像を実現したレンズ保護フィルター

三井公一

00_ZXII プロテクター.jpg

進化し続けるデジタルカメラと交換レンズ

 新モデルが登場するたびに進化するデジタルカメラ。高画素・高画質化が図られ、撮影体験もグンと向上し続けています。それに呼応するように交換レンズも劇的に進化してきました。大口径化と特殊硝材の採用など、フォトグラファーが求める画質を、よりシャープに、よりクリアに実現してくれる、精密で高度な光学技術と設計が採用されています。

 そんな交換レンズですが、高性能化すると同時に高価格化しているのも事実です。ようやく手に入れた憧れの一本は大切に使っていきたいものでしょう。撮影や携行時に一番気をつけたいのが「前玉」と呼ばれるレンズ最前面の部分です。なぜならこの前玉は一般的に一番大きなレンズが使われ、もし傷などがつくと画質に大きな影響を与えると同時に、修理するのにも高いコストが必要となるからです。高額な超望遠レンズなどはなおさらです(保護ガラスが前玉に採用されている場合もあります)。

 つい「うっかり触ってしまった」「尖ったものに前玉をぶつけてしまった」などは絶対に避けたいものです。そこで登場するのが前玉を保護する「プロテクトフィルター」です。

交換レンズにプロテクトフィルターは必須

01_製品画像.JPG

 前玉にねじこんで装着するプロテクトフィルターは、交換レンズの性能に見合った高品質なものを使用するのがオススメです。それはなぜでしょうか。ちょっと考えてみてください。前玉にフィルターを装着する、ということは言わば室内からガラス越しに外の景色を撮影するようなものだからです。

 室内から外を眺めると、ガラスの内側に自分が反射して写り込んでしまうことは皆さんも経験があると思います。また、降雨時に窓の外側に雨粒が水滴として付着することもあるでしょう。プロテクトフィルターはこれらの「害」に強く、なおかつ丈夫なものでなくてはなりません。

進化したケンコー ZXII プロテクター

 今回試したケンコー・トキナー社の「ZXII プロテクター」は、上記の現象に対して高い効果を示す製品です。このZX(ゼクロス)シリーズの誕生は2016年にさかのぼり、「フローティングフレームシステム」というガラスに負荷を与えない画期的な技術を採用して多くの支持を得ました。そして、それを改良した「進化版フローティングフレームシステム」を取り入れたのがZXII プロテクターなのです。

02_比較画像.JPG
左:ZXII プロテクター 右:PRO1D plus プロテクター

 さてこのシステムはどのようなものなのでしょうか。一般的なフィルターは金属製の円形リングでガラス面を押さえて保持するため、圧力が加わってガラスがごくわずかに歪んでたわんでしまいます。ZXII プロテクターの「進化版フローティングフレームシステム」は特殊弾性緩衝剤を用いることでガラス面に非接触としているため、歪まずに平面性が保たれるのです。文字どおり「フローティング」なワケですね。

 また面精度も高くなっています。ニュートンリングの発生を1本以下に抑え(ZXではガラス単体で4本程度)、フィルター枠に入った状態でも高い平面性を維持しています。

zxii_system.jpg
フローティングフレームシステムの解説

メンテナンスが楽な撥水・撥油コート

 ZXII プロテクターは水や油分を強力に弾く「撥水・撥油コート」が施されています。これによって雨粒や汚れがつきにくく、もし付着してもカンタンに吹き飛ばしたり拭き取ることが可能です。これは撮影の現場でとても心強い性能ですね。

 フィルターに霧吹きで水を吹きかけてみました。左が「ZXII プロテクター」、右は「PRO1D plus プロテクター」です。ZXII プロテクターの方は撥水・撥油コートに弾かれて水滴状になっていますが、PRO1D plus プロテクターでは水が滲んでフィルターの面に広がってしまっています。

03_撥水性.JPG
左:ZXII プロテクター 右:PRO1D plus プロテクター

 少し上方から見たカットです。「撥水・撥油コート」の効果がよく分かりますね。このあとブロワーで両方のフィルターを吹いたところ、PRO1D plus プロテクターは水分が広がったまま残ってしまい、クロスで拭き取ってもなかなか乾きませんでした。しかし、ZXII プロテクターの方はブロワーでほとんどの水分が吹き飛び、クロスで軽く拭くだけでフィルター面が乾いた状態となりました。雨天時の撮影でこれは頼りになるな、と感じました。

04_撥水性2.JPG
左:ZXII プロテクター 右:PRO1D plus プロテクター

クリアな描写を実現、新開発ZR01コート

 写真の出来映えに影響を与える、フレアやゴーストもZXII プロテクターは抑えてくれます。新開発「ZR01コート」は面反射0.1%という超低反射を実現しており、フィルター装着時のクリアな描写を達成しています。画質的にはフィルターを装着しないのが一番ですが、このような低反射ならレンズの前玉保護のため、過酷な条件での撮影時には積極的にプロテクトフィルターを装着したくなりますね。

逆光シーン

 建物の向こうから昇ってくる朝日を、ニコン Z 6IIにNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sを装着して撮影しました。レンズが優秀なため、目立ったフレアやゴーストは出ていません。

05_逆光作例1.JPG
■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 上記のセットにZXII プロテクターを装着しました。やや光条がふくらみましたが、オリジナルレンズの描写をキープしていますね。画面中央部そして周辺部の歪みもないようです。

06_逆光作例2.JPG
■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S + ZXII プロテクター

 フィルターをZXII プロテクターからPRO1D plus プロテクターにチェンジしてみました。さらに光条が太くはっきりとしてしまいました。また建物のコントラストがやや低下しているように見えます。

07_逆光作例3.JPG
■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S + PRO1D plus プロテクター

夜景シーン

 夜の街をニコン Z 6IIにNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRを装着して捉えました。フードを外して撮影したので、画面右側の光を拾って、左側隅にゴーストが出現しています。強力な光源がある場合、本来はフードを装着して撮影することをオススメします。

08_夜景作例1.JPG
■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 ZXII プロテクターをNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRにつけて撮影してみました。画面左に現れたゴーストがやや増えていますが、その他の描写は問題ないように感じられます。歪みも認められません。

09_夜景作例2.JPG
■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR + ZXII プロテクター

 今度はNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRにPRO1D plus プロテクターを装着して撮影しました。画面左のゴーストがさらに強く出現しました。また画面上部にまで反射が現れてしまいました。

10_夜景作例3.JPG
■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR + PRO1D plus プロテクター

 このようにフィルター装着の有無、そして使用フィルターによってかなり描写が変わってくることがわかりました。もちろん光源や状況によって差が出るものですが、高い品質のフィルターを交換レンズに装着することは、描写をある程度キープしながらレンズ前玉を保護するうえで大切なことになるでしょう。

ZXII プロテクターの豊富なラインナップ

 高品質を誇る「ZXII プロテクター」ですが、さまざまな交換レンズに対応するように豊富なラインナップを取りそろえています。37mm径から95mm径までと、実に多くの種類が用意されています。詳しくは公式サイトを参照してください。

メイドインジャパンの高品質フィルター

 このように愛着のある交換レンズ保護のために、プロテクトフィルターは必須と言えるでしょう。雨天時、砂浜やホコリが舞う過酷な環境での撮影時などには特に必要だと感じます。このZXII プロテクターを装着すれば安心感が高まるに違いありません。

 撮影でフィルターの脱着を何回も繰り返したのですが、ZXII プロテクターはその動作が実にスムーズでした。交換レンズのねじ山にスッと入り、わずかな力でキュッと固定でき、こういうところにも製品の精度が現れていると感じました。さすがメイドインジャパンと思わせる品質です。あなたの愛用レンズにもぜひ装着してみてはいかがでしょうか。

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。

その他の商品はこちらから

関連記事

人気記事