優しいクロスの光が誘う世界 〜 Kenko「ナチュラルクロス」で描く日常写真〜

櫻子
優しいクロスの光が誘う世界 〜 Kenko「ナチュラルクロス」で描く日常写真〜

はじめに

水面の反射、ガラスのきらめき、木漏れ日や街灯の光…。
日常に潜む小さな「光」は撮影する上でも、つい惹かれてしまう存在です。

そんなときに欠かせないのが、クロスフィルター。
使用すると、4本の光線が現れ、写真にちょっとしたアクセントを加えることができます。シーンの雰囲気を大きく変えることができるため、私自身も日頃から持ち歩くことが多いです。

身近な光の煌めきを、より鮮やかに引き立ててくれるのが魅力のクロスフィルターですが、その表現をより自然に、やわらかく引き立ててくれる新しいフィルターが2026年6月19日発売になります。

それが、Kenkoの「PRO1D R-ナチュラルクロス」です。

R-クロススクリーンを使用
ナチュラルクロスを使用


フィルター径は、49mm、52mm、55mm、58mm、62mm、67mm、72mm、77mm、82mmを取り揃えています。フィルター径毎の商品価格は記事末尾をご覧ください。

ナチュラルクロスの特徴

従来のクロスフィルターといえば、光線にある程度の太さがあり、はっきりとしたクロスの形を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

一方でナチュラルクロスは、光線が細めなので描写も控えめ。そのため、「ソフトで上品な作風」に仕上がり、より自然なクロスの表現を取り入れることが可能です。

光線が短く控えめなクロスが特徴。
■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2.5 1/4000秒 -1EV ISO200

実際に使用してみると、光線は短く控えめに現れることが多く、全体として落ち着いた印象にまとまるところに感動しました…!

一方で、強い光を捉えた際には長めのラインが現れ、華やかな表情を見せる場面もあります。

■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2.5 1/125秒 -0.7EV ISO1250

夜景の作例では、街明かりに反応して長めの線が描かれていますが、光源自体は細いため、従来のクロスフィルター(R-クロススクリーン)と比べても、主張しすぎないバランスに収まります。

同じシチュエーションで光のあたり具合が変わる時の作例。ガラス玉に反射した光にクロスが反応している。左が強めの光、右が弱めの光。

この2枚を見ると、光の強さによってクロスの大きさが変化することがわかります。
強い光に反応すると、その光を大胆に表現してくれるのが従来のクロスフィルターの特徴ですが、ナチュラルクロスは大きく華やかなクロスの中に、どこかしなやかさのある繊細な描写も持ち合わせています。

やわらかな雰囲気を保ちながらも、幅広いバリエーションで楽しめるところ。
このフィルターの最大の魅力なのではないでしょうか。

効果を引き出すシチュエーション

R-クロススクリーンは光への反応が強く、日常のさまざまな光に対してクロスが現れやすいのが特徴です。小さな光ややわらかい光でも反応しやすく、比較的気軽にクロスを取り入れることができます。

一方でナチュラルクロスは、より繊細で控えめな描写である分、光の強さによってはクロスが現れにくい場面もあります。実際に撮影してみると、光源が弱かったり、面積が広いものに関しては思ったように効果が出ないこともありました。

R-クロススクリーンを使用

ナチュラルクロスを使用

ナチュラルクロスの写真をみてみると、少しだけ柔らかいクロスが見える。
太陽光と被写体を一緒に写すとき、R-クロススクリーンは太陽光にも反応するのに対し、ナチュラルクロスはあまり反応していない。

このように、光源が弱かったり、光がぼんやりと広がっている場合は、クロスの効果が出にくく、意図した描写にならないこともあります。

カフェで撮影した電球の反射光。ダイレクトに当たる小さめの光に綺麗に反応する。
■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2 1/500秒 -2.3EV ISO320

こうした特性を踏まえると、綺麗なクロスを演出するには、「強めの一点の光」を見つけることがポイントになると考えます。ここでいう「強めの光」とは、面積が広い光ではなく、ある程度まとまりがあり、少し硬さを感じる光のことを指します。例えば、電球など小さな光源からダイレクトに当たる光は、クロスの効果を出しやすく、特に相性の良い光と言えます。R-クロススクリーンではやや強く出てしまうようなシーンでも、より自然な雰囲気に仕上げることができるのがこのフィルターならではだと思います。

同時に、背景選びも重要で、被写体の背後が暗めの色になる場所を選ぶと、クロスのきらめきがより際立ちます。例えば、山の稜線から光が差し込む場所を使って逆光で撮影し、被写体の背景は暗い山肌を選ぶ、といったイメージです。

ホログラム製の花に、自然光を当てて逆光で撮影。
あえて自然光の方向に光を当てず、上から撮影し、背景が暗くなる場所を選んだ。
■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2.8 1/4000秒 -2EV ISO100
小さめの強い光といえば、夕日が沈む(あるいは朝日が昇る)瞬間。 太陽光がわずかに覗くタイミングを捉えることで、繊細な光線を引き出すことができる。
■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2.5 1/4000秒 -2EV ISO100

【おすすめの使い方・その1】小さな光の点をつくる

「強めの一点の光」を見つけるのも良いですが、あえてそのようなシチュエーションを作るのもおすすめしたいです。

その方法が、光源とカメラの間に手や木、人物などを挟み、小さな光の点をつくる撮り方です。直射光をそのまま捉えるのではなく、指の隙間や被写体の端から光がこぼれるような状態をつくることで、このフィルターの魅力を引き出すことができます。

例えば、木と木の間から差し込む木漏れ日の中で撮影する場合。木漏れ日は細かく小さな点のような光が集まっている状態なので、そこに反応して綺麗なクロスを作ることができます。

木漏れ日を捉えてみる。カメラを動かしながらちょうど良いポイントを探していく。
■撮影機材:ソニー α7 III + FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 ISO320

今度は、手元を加え、光が指の間からわずかにこぼれる状態を作ってみました。
光の粒が細かくなればなるほど、より小さめで微かな煌めきを演出することができるので、手元からあふれる光を微調整しながら撮影していきます。

指の間から溢れる光を捉える。ピントは手元に合わせた。
■撮影機材:ソニー α7 III + FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境:F2.8 1/500秒 ISO320

水辺の反射光でも同様に、試してみました。
光源に向かって手元を重ねると、大きな反射光が分断されて、複数の小さなクロスが描かれているのがわかります。

■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2 1/8000秒 -2.3EV ISO125

さらに、今度は人物のシルエットを取り入れてみます。シルエットがあることによって光の範囲を狭めることができ、クロスのきらめきをより細かく写すことができました。

このようなシチュエーションは水辺に限らず、西陽やイルミネーションなど強い光源があるところにも合いそうです。

■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2.8 1/2000秒 -2.3EV ISO100

水辺の反射光を撮影する時は、波紋にも注目したいところ。
特に風のある日には水面に揺らぎが生まれるので狙い目です。波があると光が分散されている状態になるので、細かなクロスが浮かび上がります。

■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2 1/8000秒 -2.3EV ISO125

風だけでなく、水鳥が池を通り過ぎたあとに生じる波紋も印象的でした。
シャッターチャンスは、思いがけないところに潜んでいるものです。

■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2.5 1/8000秒 -2.3EV ISO100

このような撮影方法は光の強い晴天の日中に取り入れやすい撮り方なので、ぜひ試してみてください。

【おすすめの使い方・その2】反射光とも、相性抜群

ナチュラルクロスは反射光との相性も良く、撮影の中でも取り入れやすい要素のひとつです。

例えば、金属やガラス、水の入った容器に反射した光など。
指輪とカトラリー、ガラスの入れ物に自然光を当てて、ナチュラルクロスに反応させてみました。

斜め前から差し込む自然光に、指輪を向けてみる。
金属に反応した強い光が、ナチュラルクロスに反応して柔らかい印象に仕上げている。
■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2 1/2000秒 -2.3EV ISO100
金属といえば、カトラリーもおすすめ。カフェテラス席にて撮影。
自然光たっぷりな空間で、フォークに光を反射させてみた。
■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2.2 1/4000秒 -2.3EV ISO160
ガラスの入れ物を自然光に当てて撮影。
背景を新緑の玉ボケにすることで、よりクロスが目立つ1枚に。
■撮影機材:ニコン Zf + NIKKOR Z 40mm f/2 SE
■撮影環境:F2 1/8000秒 -2EV ISO160

このような反射光は、硬さと強さがある上に面積が小さいため、光線が現れやすいです。今度は水の入っているペットボトルに光を反射させてみました。

新緑の綺麗な公園で撮影。ペットボトルに自然光を反射させて逆光の状態で撮影。
水の入っている部分が光るのはもちろん、さりげないクロスも現れ、爽快感のある1枚になった。
■撮影機材:ソニー α7 III + FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 -1EV ISO320
ペットボトルの反射光。ちょうど中央の位置にクロスが重なるよう、光源が反射する部分を探った。
■撮影機材:ソニー α7 III + FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 -1EV ISO320

大切なワンシーンに、さりげない煌めきをプラスさせて

ナチュラルクロスは、光の描写を華やかにするだけでなく、作品にさりげなくニュアンスを添えてくれるフィルターです。繊細で控えめでありながら、光の強さによって表情を変える一面も持ち合わせているところも魅力です。

実際に撮影してみて気づいたのは、反射光や遮られた光など、さまざまな光の表情があるということ。今後も出会うシーンごとにクロスの美しさを取り入れながら、その表現の可能性をさらに広げていきたいと感じています。

ナチュラルクロスは2026年6月、発売予定。

クロスのある写真を撮ってみたいけれど光線が強すぎる演出は避けたい方や、被写体の魅力を大切にしたいシーンにおいて、特に活躍してくれるフィルターなので、気になる方は、ぜひ試してみてくださいね。

 

 

■写真家:櫻子
1996年生まれ。埼玉県本庄市出身のフリーランスフォトグラファー。透明感のある作風で写真を撮影することが得意で、多重露光作品などの作品制作を行う傍ら地元である埼玉北部周辺及び旅した地域の魅力を発信する活動を行っている。2025年度埼玉県広報アンバサダー。

 

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