キヤノン RF20mm F1.4 L VCM レビュー|広いだけじゃない、寄れる20mm

GOTO AKI
キヤノン RF20mm F1.4 L VCM レビュー|広いだけじゃない、寄れる20mm

はじめに

こんにちは。写真家のGOTO AKIです。 今回レビューする「キヤノン RF20mm F1.4 L VCM」は、風景、建築、星景、動画撮影など幅広いジャンルで、写真も動画も本格的に撮れるレンズです。今回はEOS R5 Mark IIと組み合わせて海岸や森、公園などでロケーションを行いました。実際に使いながら感じた写りの特徴や使い勝手、そしてどのような撮影スタイルに向いている一本なのかを紹介したいと思います。

スペック・操作性

近年の高性能レンズは描写性能と引き換えに大型化する傾向がありますが、本レンズは全長約99mm、質量は約519gでやや小ぶりという印象です。極端に軽量というわけではありませんが、手に馴染みのある標準的な重量感。愛用しているEOS R5 Mark IIとのバランスは良く、首から提げて歩いていても負担が少なく、携帯性と高画質がちょうどいいバランスです。

「RF20mm F1.4 L VCM」は「RF35mm F1.4 L VCM」や「RF50mm F1.4 L VCM」といったRF F1.4 L VCMシリーズとして外観サイズやフィルター径が統一されているため、複数本を組み合わせて運用しやすい点も魅力です。動画撮影でよく利用されるジンバルの再バランスが不要で、マットボックスの位置調整も不要。フィルターの共用が可能、カメラバッグの整理もしやすいなど、写真と動画を両方手がけたい方には心強い一本です。

広角なのに「ぼける」開放F1.4を活かす

風景撮影ではF8~F11を使うことが多いため、20mmにF1.4は必要なのかと思う方もいるかもしれません。「RF20mm F1.4 L VCM」は、開放F1.4と20cmまで寄れる近接性能を活かし、植物や花などに大胆に近づきながら背景を大きくぼかし、被写体を自然に浮かび上がらせるような表現が可能です。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF20mm F1.4 L VCM
■撮影環境:F1.4 1/2500秒 ISO100
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF20mm F1.4 L VCM
■撮影環境:F1.4 1/8000秒 ISO200
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF20mm F1.4 L VCM
■撮影環境:F1.4 1/6400秒 ISO100

一枚目の花のカットでは背景の草木が柔らかく溶け、主題だけが自然に浮かび上がってくれました。若葉のカットでも前ボケと後ボケが画面全体を包み込み、一般的な20mmのイメージを超える豊かなボケを見せてくれました。

風景を撮る方は「RF15-35mm F2.8 L IS USM」など、一本でカバーできる範囲も広いズームレンズを愛用される方も多く、レンズ交換の手間もありませんが、「RF20mm F1.4 L VCM」は、広角ならではの立体感のあるボケ表現を楽しむことができます。F1.4ならではのボケ表現や近接表現に魅力を感じるかどうかで選択するレンズが決まりそうです。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF20mm F1.4 L VCM
■撮影環境:F1.4 1/8000秒 ISO100
広角レンズは構図によっては画面が平板に見えやすいですが、こちらの一枚では左下の木々がやわらかにぼけて立体的な空気感を描いています。プリントするとさらに実感しやすい印象です。

最短撮影距離は20cm

「RF20mm F1.4 L VCM」の最短撮影距離は20cmで、他のRF F1.4 L VCMシリーズよりも被写体にグッと寄れる設計です。作例のように花や葉を画面いっぱいに写しながら背景を大きく入れるなど、メリハリのある一枚が楽しめます。

20cmといってもセンサー面からの距離ですので、実際にはレンズ先端から被写体までは約7cm前後しか離れません。フードをつけるとさらに近くなるため、自分の影が入ったり、被写体への光を遮りやすくなるので、光への意識を持つと撮りやすいでしょう。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF20mm F1.4 L VCM
■撮影環境:F2.8 1/125秒 ISO100

周辺まで安心して使える描写性能

風景の撮影では画面全体を使って構図を組むことが多いため、周辺画質は重要です。 一般的に超広角レンズでは周辺部の流れや甘さが気になることがありますが、今回訪れた海岸のカットでは、岩肌の細かなテクスチャーやディテールが画面の隅々まで丁寧に捉えられていました。細部までシャープで、輪郭の描写にも品が感じられました。

海岸の岩場や潮だまりを写した一枚では、主題となる岩や水面の存在感を保ちながら、その周囲の地形や空間を無理なく画面に収めることができました。 ピクチャースタイルはスタンダードを使用しています。

20mmは16mmほど誇張が強くなく、24mmよりも一歩広く空間を取り込める画角です。風景では遠近感を活かしながらも自然な広がりを表現しやすく、私自身、とても扱いやすい焦点距離だと感じました。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF20mm F1.4 L VCM
■撮影環境:F8 1/160秒 ISO160
20mmならではの遠近感を強調した一枚です。岩肌の細部がしっかりと捉えられています。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF20mm F1.4 L VCM
■撮影環境:F8 1/200秒 ISO200

逆光や高コントラストな場面でも安心

木漏れ日の差し込む森や海岸の洞窟内部など、強い明暗差のある状況で撮影を行いました。「RF20mm F1.4 L VCM」は逆光耐性が優秀で、フレアによるコントラスト低下は少なく、岩肌の質感もクリアに保たれていました。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF20mm F1.4 L VCM
■撮影環境:F1.4 1/500秒 ISO100
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF20mm F1.4 L VCM
■撮影環境:F11 1/400秒 ISO100
洞窟内部の暗部から外の明るい空まで自然な階調が保たれており、岩肌の質感も丁寧に再現されています。風景を撮る場面では輝度差が大きいことも多いため、この安心感は大きなメリットです。

ピントがスムースに移動

レンズ名にもあるVCM(Voice Coil Motor)は、動画撮影を意識した設計です。AFは静かで滑らかに動作し、フォーカス送りでも速度変化が滑らかで、EOS R5 Mark IIとの組み合わせでは、自然で滑らかなピント移動が得られました。さらにアイリスリングを搭載しているため、動画撮影時にはクリックレスで絞りを変更でき、露出変化を自然につなげられます。

近年は写真と動画を同時に制作するクリエイターも増えていますが、このレンズはそうした用途との相性もとても良い感じです。冒頭にも書きましたが、RF F1.4 L VCMシリーズはサイズや重心バランスが統一されているため、ジンバル運用を考えている方にもレンズが交換しやすいのは大きなメリットといえるでしょう。

まとめ

「RF20mm F1.4 L VCM」は、単に広く写る20mmではありません。20mmという画角、F1.4の明るさ、優れた近接性能、周辺まで安定した写り、そして携帯性の高さがポイントです。シリーズ共通設計による運用性の高さ(ジンバルの再バランスが不要なこと、フィルターを共用できること、カメラバッグへ収めやすいこと)も、このレンズならではの魅力です。

風景写真はもちろん、建築、星景、スナップ、動画制作まで幅広い撮影に対応できる一本だと感じました。静止画だけでなく動画も積極的に手がけている方に、おすすめできるレンズです。

 

 

■写真家:GOTO AKI
1972年川崎市生まれ。世界一周の旅(1993~94年)を機に写真と出会う。1999年より写真家として活動を開始。自然風景と旅をモチーフとした写真作家活動の一方、教育活動にも力を注ぐ。写真集・写真展『terra』(赤々舎・キヤノンギャラリーS・2019)にて2020年日本写真協会賞新人賞受賞。新作写真集「terra | Landscape Topologies」(赤々舎)を26年3月出版予定。武蔵野美術大学造形構想学部映像学科(2017~2025年)、日本大学芸術学部写真学科(2021~2023年)にて非常勤講師を務め、2024年より日本大学芸術学部准教授。CANON表現講座・EOS学園講師。

 

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