掌にのる600mm超望遠、1インチセンサーの高倍率ズーム機 ソニー「RX10 V」

坂井田富三
掌にのる600mm超望遠、1インチセンサーの高倍率ズーム機 ソニー「RX10 V」

はじめに

今回紹介するのは2026年7月末に発売になったソニー「RX10 V」です。前のモデルの「RX10 IV」は発売から約9年を経過したロングランモデルになっていて、もう後継機の登場は無いのではないかと思っていたところのリニューアルモデル登場で、大幅な機能アップに期待が膨らみます。
新しくなった1インチセンサーの高倍率ズーム機「RX10 V」の使い勝手とその描写性能などをご紹介します。

RX10 Vの基本スペック・変化と進化のポイント

RX10 Vは前モデルからボディデザインも変更され、外観の雰囲気は「α」のイメージに近いデザインになっています。特にグリップ部がαシリーズと同等の形状になっているので、αを使用しているユーザーが持ってもとてもなじむデザインと持ちやすさになっています。

また、グリップ部分に収まるバッテリーもα7系などで使用されている「NP-FZ100」タイプに変更されており、前モデルに採用されていた「NP-FW50」より容量が約2倍となったのも使い勝手が非常によくなったポイントとなります。

グリップ部分に収まるバッテリーは、α7系などでも使用されている「NP-FZ100」

レンズは前モデルの「RX10 IV」と仕様が同じ、35mm判換算で24-600mm相当になる「ZEISS Vario-Sonnar T* 24-600mm F2.4-4.0」を搭載。このカメラ1台で様々な撮影に対応できる超高倍率ズームはこの上なく便利です。実際に様々なシーンを撮影してみましたが、超望遠の600mm相当(35mm判換算)でも開放値F4という明るさもあって、夜のイベントなどでも安心して撮影することができました。

24-600mm相当(35mm判換算)になる「ZEISS Vario-Sonnar T* 24-600mm F2.4-4.0」を搭載
電源を入れてスタンバイの状態(焦点距離24mm相当/35mm判換算)
焦点距離600mm相当(35mm判換算)の状態

焦点距離24mmから600mmのズーム比は、強烈な画角の変化を生みます。広角側の24mmは日常的な風景などを撮るのに十分なワイド領域を持ち、そのまま超望遠600mmまでスムーズにズームができ、迫力ある超望遠の撮影がいとも簡単にできてしまうので本当に便利なカメラなのだと実感させられます。

下の2枚の写真は、同じ場所から広角側の24mmと望遠側600nnで撮影した写真になります。

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF8 ISO200 焦点距離9mm(35mm判換算24mm)
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/640秒 絞りF8 ISO200 焦点距離210mm(35mm判換算600mm)
約162万ドット高精細3.0型可動式液晶モニター
αと同様の幅広い被写体を認識するリアルタイム認識AF搭載
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/2500秒 絞りF8 ISO800 焦点距離210mm(35mm判換算600mm)
※被写体認識(昆虫)

オートフォーカスの性能に関しては前モデルから9年もの年月が経過しているので、格段の性能アップを実感できます。αと同様の多くの被写体認識オートフォーカスを使用する事ができます。被写体認識に関してはオートのモードも搭載されているので、普段使いではオートで使用し、決まった被写体を撮影する時にその被写体にあったモードを選択する事で、より快適で精度の高い撮影が可能です。また、位相差検出方式の測距点も前モデルの315点から575点へと大幅にアップしています。

RX10 VとRX10 IVのスペック比較一覧

RX10 V RX10 IV
撮像素子 1.0型(13.2 mm x 8.8 mm)Exmor RS CMOSセンサー 1.0型(13.2mm x 8.8mm) Exmor RS CMOSセンサー
カメラ有効画素数静止画時: 最大約2010万画素
約2010万画素
約2010万画素
総画素数 約2090万画素 約2100万画素
高速画像処理エンジン BIONZ XR BIONZ X
画角(35mm判相当)静止画 24-600mm 24-600mm
F値 F2.4-F4.0 F2.4-4.0
スロット SD(UHS-I/II対応)カード用スロット メモリースティック デュオ、メモリースティック PRO デュオ、メモリースティックPROデュオ(High Speed)、メモリースティック PRO-HG デュオ、メモリースティック マイクロ、メモリースティック マイクロ (Mark2) 、SDメモリーカード、SDHCメモリーカード(UHS-I対応)、SDXCメモリーカード(UHS-I対応)、microSDメモリーカード、microSDHCメモリーカード、microSDXCメモリーカード
検出方式 ファストハイブリッドAF(位相差検出方式 / コントラスト検出方式) ファストハイブリッドAF(位相差検出方式 / コントラスト検出方式)
測距点数 静止画時
575点 (位相差検出方式)
315点(位相差検出方式)
25点(コントラスト検出方式)
クリエイティブルック ST, PT, NT, VV, VV2, FL, FL2, FL3, IN, SH, BW, SE, カスタムルック1-6 スタンダード / ビビッド / ニュートラル / クリア / ディープ / ライト / ポートレート / 風景 / 夕景 / 夜景 / 紅葉 / 白黒 / セピア / Style Box
検出輝度範囲 EV-2 – EV20(ISO 100相当、AF-S時)
認識対象 (静止画時) オート、人物、動物/鳥、動物、鳥、昆虫、車/列車、飛行機 人物、動物
シャッター速度範囲 静止画撮影時
(電子シャッター): 1/16000-30 秒
(メカシャッター): 1/1000-30 秒、バルブ
※F8以上に絞った場合1/2000秒
(電子シャッター): 1/32000-30 秒
アンチディストーションシャッター
(メカシャッター): 1/2000-30 秒
※F8以上に絞った場合。開放時の上限は1/1000秒
フラッシュ同調速度 1/2000秒
手ブレ補正機能 光学式 光学式
補正効果 (静止画時) 最大4.5段
連続撮影速度 電子シャッター時: Hi+時: 最高約30コマ/秒 Hi: 最高約24コマ/秒
Mid: 最高約10コマ/秒
Low: 最高約3.5コマ/秒
連続撮影可能枚数 JPEG Lサイズ ファイン: 546枚
RAW: 156枚
RAW+JPEG: 141枚
RAW(ロスレス圧縮): 162枚
JPEG Lサイズ ファイン: 249枚
ファインダー 1.3 cm(0.5型)電子式ビューファインダー(Quad-VGA OLED) 0.39型 電子式ビューファインダー(OLED)
総ドット数 3,686,400 ドット 2,359,296ドット
倍率 約0.78倍 約0.70倍
液晶モニター 7.5 cm(3.0型)TFT駆動 3.0型(4:3) TFT LCD
ドット数 1,620,000 ドット 1,440,000ドット
角度調整機能 上に約78度、下約に48度 上に約109度、下に約41度
USB 端子 USB Type-C端子
SuperSpeed USB 10 Gbps (USB 3.2)に準拠
マルチ/マイクロUSB端子
Hi-Speed USB(USB2.0対応)
使用電池 NP-FZ100 NP-FW50
静止画撮影可能枚数 ファインダー使用時: 約570枚
液晶モニター使用時: 約630枚 (CIPA規格準拠)
ファインダー使用時: 約370枚
液晶モニター使用時: 約400枚
(CIPA規格準拠)
質量(本体のみ) 約1,026 g 約1,050 g
外形寸法 (幅 x 高さ x 奥行) 約136.4 x 94.5 x 151.3 mm
(レンズ先端からファインダーまで )
約132.5 x 94 x 145.0 mm
(レンズ先端からファインダーまで )
発売日 2026年7月 2017年10月
搭載された画像処理エンジンは、α7 IVなどに採用されている「BIONZ XR」
操作ダイヤル類はαシリーズに近い操作系へ一新。αユーザーが併用して使用する場合のメリットは大きい
モードダイヤルは「AUTO/P/A/S/M/1/2/*」仕様

RX10 Vは最新のαと同じモードダイヤルの仕様になっており、「AUTO/P/A/S/M/1/2/*」表示になり、カメラ設定をすぐに呼び出せる「登録呼び出し(MR)」機能の向上が図られています。よく使うモードや設定をカメラ本体に最大10個まで保存が可能になり、モードダイヤルを[*]に設定することですばやく呼び出すことができます。

「ZEISS Vario-Sonnar T* 24-600mm F2.4-4.0」は絞りリング搭載。超望遠を使用する際に便利なフォーカスリミッター機能も搭載

「ZEISS Vario-Sonnar T* 24-600mm F2.4-4.0」を搭載した「RX10 V」は、重量も約1026g(バッテリー・メディア除く)と約1kgの重量と、ボディの大きさもαシリーズに標準ズームレンズを装着したものに近いレベルに収まっているので、小型のカメラバッグにも収納が可能。超望遠600mm相当を手軽に持ち運び出来るとあって、一度使用すると手放せなくなるカメラです。

RX10 Vで楽しむ動物園での超望遠撮影

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF4 ISO100 焦点距離210mm(35mm判換算600mm)

最初に「RX10 V」を持ち出して撮影したのは動物園。超望遠レンズの機能を実感するには手頃な撮影場所です。「ZEISS Vario-Sonnar T* 24-600mm F2.4-4.0」の超望遠を活かすことで動物たちの表情をアップで撮影する事が可能です。

600mmの超望遠レンズが使用できる「RX10 V」ですが、超望遠撮影ができるカメラを持っている実感はなく、持ち運びの負担も少なくすみます。首からカメラをストラップでぶら下げながら歩き回っても、快適に移動ができ撮影がとても楽にできました。

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF4 ISO100 焦点距離210mm(35mm判換算600mm)
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF4 ISO2500 焦点距離169mm(35mm判換算495mm)
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF5.6 ISO640 焦点距離210mm(35mm判換算600mm)
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF4 ISO2000 焦点距離183mm(35mm判換算525mm)
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/1000秒 絞りF5 ISO800 焦点距離210mm(35mm判換算600mm)

超望遠600mm相当で撮影する動物たちのアクションは、とても迫力ある構図で撮影が可能になります。また、アップで撮影することで動物たちの表情までもしっかりと表現することも可能になります。今回は動物園での撮影でしたが、野鳥や野生動物の撮影でもその性能を遺憾なく発揮することができるカメラです。

超高倍率ズームが便利、RX10 Vでイベントお祭り撮影

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/400秒 絞りF4 ISO100 焦点距離186mm(35mm判換算533mm)

お祭りなどの撮影は、撮影場所の制限や動ける範囲の規制があることが多いので、高倍率ズームのレンズを使用することが多いのですが、それでも望遠側は200mm~300mmぐらいまでです。RX10 Vの超望遠600mmは、撮影のスタイルが大きく変わるほどの魅力を感じました。

超望遠のよる大きな圧縮効果による奥行き感の演出や、大きなボケによる被写体の強調などより幅広い表現が可能です。
少し気になった点であるとすれば、日中の明るい状態での撮影で絞りを開けた状態で撮影したい時に、メカシャッターの上限が1/1000秒なのが少し不満な点です。絞りをF8以上に絞った場合には、上限値が1/2000秒に上がる仕様になっています。この点に関しては、絞りを絞るか電子シャッターを使用することで回避することが可能で、日中で絞りを開けて撮影する際には考慮が必要な点です。

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/1000秒 絞りF4 ISO100 焦点距離181mm(35mm判換算517mm)
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/320秒 絞りF3.5 ISO400 焦点距離25mm(35mm判換算72mm)

RX10 Vは重量が約1kgほどなので、チルト式モニターを使用して頭上からのハイアングルの撮影も苦にならず撮影することができました。人の多いイベントで高い位置からの撮影で威力を発揮すると思います。

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/40秒 絞りF2.5 ISO100 焦点距離9mm(35mm判換算24mm)

夜の撮影でもRX10 Vは手ブレ補正効果を十分に発揮し、快適に撮影することができました。カタログ等には手ブレ補正効果の数値等の記載はありませんが、センサーサイズが1インチという事もあり、補正効果を大きく出しやすいという物理的なメリットがあると考えられます。

低速シャッターの使用もかなりの安心感があり、後で撮影したデータを見ても手ブレ補正効果を実感できました。お祭りなどのシーンでは、少しシャッタースピードを落として被写体ブレで躍動感を演出する撮影を実施したりします。積極的なスローシャッターを使って表現力を上げることも可能です。

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/25秒 絞りF3.5 ISO1600 焦点距離25mm(35mm判換算72mm)
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/30秒 絞りF2.8 ISO1600 焦点距離11mm(35mm判換算30mm)
※フラッシュHVL-F60RM2使用
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/30秒 絞りF4 ISO1600 焦点距離77mm(35mm判換算221mm)
※フラッシュHVL-F60RM2使用

RX10 Vでフラッシュ撮影

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/1000秒 絞りF4 ISO800 焦点距離55mm(35mm判換算158mm)
※フラッシュHVL-F60RM2使用

前モデルのRX10 IVはポップアップ式のフラッシュを内蔵していましたが、RX10 Vは内蔵フラッシュが廃止されました。しかしRX10Vは、外付フラッシュを使用する事で一眼レフやミラーレスカメラのような、高速同期のためのHSS(ハイスピードシンクロ)設定を行わなくても、通常のフラッシュ発光のまま高速シャッターで同調させることができます。

一般的なミラーレスカメラでは1/250秒ぐらいがフラッシュ同調速度ですが、「RX10 V」はレンズ内にシャッター羽根を持つ構造のため、構造上シャッター速度が全開になるタイミングを気にする必要がなく、1/2000秒までの高速同調が可能(メカシャッター時のみ)になっています。

RX10 Vのフラッシュ同調速度は1/2000秒まで

カタログ等では同調速度の大きな訴求等はありませんが、日中シンクロやフラッシュを多用するような撮影をする方には大きなメリットのある性能です。

RX10 Vにソニーフラッシュ「HVL-F60RM2」を装着した状態
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/1000秒 絞りF4 ISO800 焦点距離53mm(35mm判換算153mm)
※フラッシュHVL-F60RM2使用

室内で我が家の猫を撮影してみました。前モデルの「RX10 IV」の内蔵フラッシュではバウンス撮影はできませんでしたが、RX10 Vでは外付けフラッシュを使用することでバウンス撮影も可能で、フラッシュを使用した撮影の幅が広がりました。

■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/1000秒 絞りF4 ISO800 焦点距離122mm(35mm判換算350mm)
※フラッシュHVL-F60RM2使用
■撮影機材:SONY RX10 V
■撮影環境:シャッター速度1/1000秒 絞りF4 ISO800 焦点距離193mm(35mm判換算554mm)
※フラッシュHVL-F60RM2使用

まとめ

RX10 Vはレンズ一体型のカメラですが、レンズ交換式のミラーレスカメラと同等の操作性能を持っています。実際に様々なシーンを撮影してみましたが、プライベートの撮影であればRX10 V一台でほとんどこなせています。正直に言うとこれ一台であれば十分だなと感じています。ただ価格が大幅に上昇したため、ミラーレスカメラα7 IVの標準ズームレンズキットに近い価格になっていて、なかなか手の出しにくい価格帯になってしまった点は痛いところです。

しかし、これ一台で撮影できる範囲はとても広く、オールマイティに使用できる点においては既存のレンズ交換式のミラーレスカメラαをしのぐ圧倒的に便利なカメラと言えます。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

関連記事

人気記事