#『多重露光を使って表現を高める方法』|フィルムカメラの魅力 国分真央

国分真央
#『多重露光を使って表現を高める方法』|フィルムカメラの魅力 国分真央

はじめに

こんにちは。国分真央です。

気付けば5回目の記事になりますね!いつも楽しみにしていただいている方には感謝です。

今回は「多重露光」での写真について、皆さんにご紹介したいと思います。この記事は大きく分けて、フィルムカメラで多重露光出来ないカメラ・出来るカメラでの作例を振り返り、ご紹介していきます。

多重露光機能がなくてもトライ出来る

■機材:minolta SR101
■フィルム:Lomography Color Negative 400
■モデル:アオイミヅキ
夕暮れの海と風船・横顔の光を多重にした1枚。

フィルム撮影に慣れてきた頃「多重露光にも挑戦したいな」という意欲が湧き、色々と模索していた時期がありました。

デジタルの撮影ではよく多重露光を使っていたので、幻想的な雰囲気に仕上がることがとても嬉しく、やりがいを感じていたからです。しかし、私がよく使っていた『minolta SR101』 というフィルムカメラは多重露光機能が付いていませんでした。

フィルムの撮影の構造についてはある程度認識していたので、多重露光機能が無くても出来るのではないか?と思いつき、セルフフィルムスワップ(多重露光機能を使わない・機能がないカメラ)で挑戦してみることにしました。

私の場合は、フィルムを1本撮り終わってからまた装填し撮り始めるのではなく、その場で1枚撮る→撮った写真の1枚分の幅を感覚で巻き戻す→また撮り重ねる というやり方で撮影をしていました。

下記の写真は、誰にもやり方を教わらず独学で撮影した作例になるので、温かい目で見ていただけますと幸いです(笑)。

■機材:minolta SR101
■フィルム:Lomography Color Negative 400
■モデル:JURI
コマ戻りが足りず、結果的に青空が感光の様になったのですが、今となってはお気に入りの1枚。

ただ、このやり方にはリスクもあります。

多重露光機能が付いているカメラと違い、自分自身で1枚分を勘で巻き戻すので、どれくらい巻き戻すのかもすべて感覚になります。撮った写真の巻き戻りが少し足りないと、上記の写真の様になります(コマの境目が出来て境界線の様になる)。

また前回お伝えした感光写真の様に、コマの境界線が曖昧になることもあるので、ラボでフィルムをカット出来なかったと言われることもしばしば。

ですが、私の場合はそれが逆に面白く、刺激的な「科学反応」でした。今思えば、多重露光が出来るカメラで撮影するよりもリスクがありますが、唯一無二感がとても楽しいと感じています。

リスクより楽しむことを第一にしている方は、ぜひ一度試してみて下さい!

多重露光が出来るカメラでの挑戦

■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:Kodak Ektar 100

しばらくして、多重露光が出来るカメラの一つ『Nikon F3』を購入したので、早速使ってみた1枚です。そもそも多重露光で撮影する際は、機能がある・無いに関わらず、構図についてはよく考えて撮影をします。

まず、この写真の場合はハットの写真を撮り、Nikon F3の多重露光スイッチをONにした後に、シャッターを切る為に一度巻きます(実際には多重露光スイッチをセットしておくと撮ったコマは送られず、次の1枚と重ねる事が出来ます)。そして重ねたい被写体を探し、シャッターを切るといった流れです。

また多重露光をうまく写すには1枚目の写真をきちんと記憶し、暗部(この写真の場合ですと左側半分)に重ねたい写真や、明るい被写体をもってくることで、重ねた写真のピントもくっきり写せます。

露出に関しては、2枚目も変えないことがありますし、被写体によっては1枚目に少し露出を下げて、2枚目を撮影することもあります。

※明るい写真×明るい写真で2枚重ねると白とびしてしまう可能性もあるので、なるべく1枚目と2枚目の被写体の明るさはバランスを保ち、記憶していきましょう。

私の”多重露光写真”の考え方

■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:Kodak PORTRA 400
手と花を重ねた写真で優しい雰囲気に。

多重露光を駆使していくには、インスピレーションも問われると思います。

前述のとおり、技術的な面では1枚目の構図などを記憶したまま2枚目を重ねるのですが、なにより想像力や感性が必要だと考えています。撮る時にイメージを固め「よし、この写真は多重露光にするぞ」とイメージを膨らませ、写真を撮るのです。

普段は心が動く瞬間や、一瞬一瞬を大切に撮ることが多いですが、多重露光での撮影は、そんな衝動を少し立ち止まって考えて撮影するひと時が大切だと感じています。ある意味、今までご紹介してきた撮影の仕方で一番理性的な写真技法かもしれません。

多重露光は、その空間との出会い

■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:Kodak PORTRA 400
■モデル:ayami
横顔に少しかかる様に水滴のついた紫陽花と。しっとりした雰囲気に仕上がりました。

私の多重露光写真は1本撮りきってからの多重ではなく、1枚1枚その場所・空間で写真を完成させていくので、その場の被写体との「出会い」が大切だと思っています。重ねる写真に対して、2枚目の被写体を見つける力も必要です。

慣れてきた頃には、ポートレートでの多重露光も臆せず楽しめる様になりました!私も感覚的なことを含めまだ発展途上です。これからも試行錯誤しながら楽しみたいと思っています。

まとめ

■機材:minolta SR101
■フィルム:Lomography Color Negative 400
■モデル:アオイミヅキ
海と風船を使った日で、モデルさんの笑顔と光の加減がとてもお気に入り。

今回は多重露光が出来ないカメラ・出来るカメラでの撮影の仕方と、考え方をまとめさせていただきました。ある程度フィルム撮影に慣れましたら「多重露光」や前回の記事で書いた「感光」の写真にもトライしてみてください。自分の世界観・想像力を形にすることはとても楽しいです!

ではまた、次回をお楽しみに!

 

 

■写真家:国分真央
東京都出身/写真家。映像制作会社や写真事務所を経て独立。2020年に山梨県に移住し関東を中心に活動。美しい色合いと自然が溶け込む様な写真が特徴的であり、独特な色合いが特徴的な世界観を確立させている。書籍や広告写真、CDジャケット等活動は多岐に渡り、近年はフィルム写真での活動も幅広く活動中。

#『コンパクトフィルムカメラの世界』|フィルムカメラの魅力 国分真央
https://www.kitamura.jp/shasha/article/485456605/

#『試してみたいフィルムの種類』|フィルムカメラの魅力 国分真央
https://www.kitamura.jp/shasha/article/486042701/

#『奥深い一眼フィルムカメラの世界』|フィルムカメラの魅力 国分真央
https://www.kitamura.jp/shasha/article/487179431/

#『感光写真は表現の一部』|フィルムカメラの魅力 国分真央
https://www.kitamura.jp/shasha/article/489086785-20220628/

関連記事

人気記事