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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2012.10.05【Vol.084】

ロールフィルムの種類の話

デジタルカメラが今では普通に「カメラ」と呼ばれ、フィルムを使用するカメラをわざわざ「フィルムカメラ」と呼ぶようになりました。

それは時代の流れで当然のことではありますが、とはいえフィルムが完全に市場から消えてしまいフィルムで撮影することが皆無になったわけではないようです。フィルムで撮影することもある身として、いまでも空港の荷物検査場でフィルムに関する注意書きがまだ健在なところをみると、なぜだか安心します。

一般にフィルムとわれわれが呼ぶ写真用のものはロールフィルムのことを指し、そのロールフィルムにはいろいろと種類があります。大きく2つに分けてモノクロとカラーがあったり、感度の違いや枚数の違いがあり、そしてフィルムのサイズ=規格に違いがあります。

フィルムイメージ

フィルムイメージ

フィルムメーカーの大手であったコダックがたくさんのフィルムの規格を登場させていくのですが、ある規格のフィルムを使用するためにカメラを作る場合と、カメラに合わせてフィルムを作る場合の2種類に分かれます。多くの場合は特定のフィルムを使用するためにカメラ開発、販売をしていました。消耗品=フィルムを使ってもらうためにカメラが次々と生み出されていったわけです。

コダックが製造販売したフィルムにはそれぞれ番号がふられていて、今なお流通している主なものにNo135、No120といったフィルムがあります。いわゆる35mm判(135)や日本では通称ブローニー判(120)と呼ばれるものです。番号は1895年発表のNo101フィルムからNo130フィルムまで順番にふられ、その他No828、No620、No35などイレギュラーな番号のフィルムがありました。現在でも残っているフィルムは、その規格のフィルムを使うカメラが世の中で一番発展を遂げたと言い換えることが出来ます。

例えばNo120フィルムは1901年発売のNo2ブローニーカメラに使用されたのが初めとされていて、今年で111年の長い歴史をもつフィルムになります。No135フィルムは金属であったりプラスチックで出来た缶のようなもの(パトローネといいます)に規定の長さの35mmロールフィルムを詰めたもので、もっともポピュラーなフィルムになります。1934年発売のコダックレチナというカメラがパトローネ入り35mmフィルムを使用する初めてのカメラということで売り出され、80年近い歴史があります。

一方で短命なものでは市場流通が29年しかなかったフィルムも存在します。最近では1996年に発売が開始されたAPS規格のフィルムがありますが2012年をもってどのメーカーも製造販売を中止してしまいました。デジタルのセンサーサイズにAPS-Cサイズというものがあり、そこに名前を見ることは出来ますが、その歴史はわずか16年と短いものでした。当たり前のことながら、製造が中止になってしまったフィルムを使うカメラは基本的に撮影することが非常に困難になるということになります。カメラが結果としてフィルムを使用せずに写真を記録できるようになったために、新しくフィルムの規格が登場することはおそらく今後はないと考えられますが、今あるフィルムには今後も続けて50年100年と残り続けてもらいたいというのが、個人的な切なる思いです。