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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2015.08.14【Vol.231】

クラシックカメラ話「Ricohl」

Ricohl mod,I

今回ご紹介のカメラは理研光学KKより戦前の1940年ごろ発売された「Ricohl」(リコール)です。ちょっと不思議なネーミングです。戦前のカメラのネーミングには時代をうかがわせる、金鵄、凱歌、忠魂といったようなネーミングのカメラが存在し、リコールの前身にはGokoku(護国)というカメラが生産されています。実際には予告販売を取り止めるなど、トラブルで販売が遅れたゴコクをリニューアルした製品=リコールという意味も含めて発売されたのではと考えられます。

使用レンズにはGokokuから引き継がれた3群3枚のGokoku Anastigmat 50mmF3.5が使用されています。RicohlⅠ型はレンズ固定式、ⅡB型になると40mm径専用マウントでのレンズ交換可能ということになっています。使用フィルムは当時主流であった127フィルムで、画面サイズはベスト半裁3x4cm 12枚撮り。フィルムを入れて赤窓で1をだしてしまえば、後は自動巻き止めが働きます。シャッター速度はB、1/20~1/500までの7段です。ライカやコンタックスのようなドイツ製超高級レンジファインダーカメラを意識して試行錯誤を繰り返した戦前の国産35mmレンジファインダーカメラですが、リコールに関してはロールフィルム使用、自動巻き止め、直進ヘリコイド、1/500までのフォーカルプレーンシャッターと独自の路線でかつ非常にシンプルな設計により完成されたカメラと言えます。

ゴコクなどを含めリコールが実際に何台生産されたかはわかりませんが、中古店で目にすることも多いカメラですので、比較的多く発売できたのではと想像できます。むしろ外付けの専用距離計がリコール本体よりも珍しいのではないでしょうか。

また偶然かもしれませんが、所有しているカメラの状態を見るかぎりメッキの状態は非常によく、錆びている部分が見当たりません。時代的にカメラのような民生品に優先的に物資が回ることは少ないと考えられますが、当時の工業製品が備えていた高いクオリティーを今に見ることができます。シャッター、レンズ含め機械的な故障もなく完璧に動くので是非一度撮影してみたいものです。


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