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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2014.06.20【Vol.172】

クラシックカメラ話「コンテッサ35(フォールディング)」

「コンテッサ35」

西ドイツ、ZEISS Ikon社が1950年に発売した35mmカメラContessa(コンテッサ)。
コンテッサとはイタリア語で伯爵夫人という意味だそうで、銀色のメッキが随所に光るその姿は、華麗で繊細、数多くあるカメラの中でも1、2を争うほど美しいといわれています。左右シンメトリー、12角形の均整のとれたボディーは飾っておくだけでも十分に楽しめます。そして、ネーミングだけでなく、カメラの説明書内では女性が使用しているイメージ写真が使われていることから、女性をターゲットにしたカメラ、もしくは女性にも手軽に扱えるといった狙いがあった可能性もあります。

搭載されるレンズはZeisss Opton Tessar45mm F2.8、発売から1953年頃まで搭載されるシャッターはCompur Rapid、それ以降1955年まではSynchro Compurに変更されます。
大きな特徴は、Zeiss Ikon社が戦前から多くのフォールディングカメラに採用してきた距離計連動方式である、Drehkeil(ドレーカイル)式をコンテッサにも採用している点です。正確で狂いの少ないドレーカイル式ですが、小さなギアをいくつか組み合わせているので、スムーズな動きを生み出すための設計など当時としては大変なコストがかかっているカメラの一つです。

1950年代はドイツだけでなく世界中のカメラにとって変革の時代だったようです。M型ライカの登場、露出計との連動、一眼レフの台頭など、昔ながらの一台一台個性的なカメラが徐々に減っていき、システマチックなカメラが増えていきました。Zeiss Ikonも世界初のレンズシャッター一眼レフを世に登場させました。コンテッサは約5年にわたって輸出も含めたくさん生産されましたが、しかし1960年に改めて登場したコンテッサはかつてのコンテッサ35からは想像できない無骨なつくりになってしまい、カメラとしての美しさは失われてしまいました。質感や個性よりも、便利で多機能に進んでいくカメラ。決して今後作られることのない、そんなカメラの歴史の変革期を代表する一台でしょう。


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