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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2014.12.12【Vol.197】

クラシックカメラ話「Kodak Suprema コダックスプリーマ」

Kodak Suprema コダックスプリーマ

今回ご紹介するクラシックカメラは、ドイツコダック社で、1938年~1939年にかけておよそ1年間生産されたKodak Supremaというカメラです。同社35mmカメラであるKodak Retinaをそのまま大きくしたようなスタイルからガリバーレチナとも呼ばれています。

フィルムは620という現在の120フィルムとスプール違いのものを使い撮影サイズは6x6、12枚撮りになります。なおフィルムの自動巻き止め機構と二重写し防止機構、ポップアップ式ガリレオファインダーが特徴です。

このカメラ、わずか1年間の生産ですので、資料によるとその台数はおよそ2000台弱となっています。ただし、生産台数が多くないためか、それ以上について知るための詳しい資料がないのも事実です。そのため、カメラのシリアル番号などで正確な台数が特定できれば良いのですが、手持ちのカメラの番号から特定するしかありません。シリアル番号の末尾にKの刻印があるので、戦前のドイツコダック社の製品であることがうかがえること。搭載されているレンズはシュナイダー Xenar 8cmF3.5で、レンズ番号で調べると1937年製、搭載シャッターのCompur Rapidは1939年以降製となっています。この点をみると生産が1938年から1939年ごろとされているのと一致します。また、時代的に第二次世界大戦が勃発する直前のカメラですが輸出は行われたようで、それはカメラの仕様から読み取れます。ドイツ国内向けの製品は距離調節機構の表記がメートル表記なのに対し英語圏向けのものはfeet表記になっています。またドイツ語の取扱説明書ではなく、英語表記ものも存在し、そして本体にMade in Germanyの刻印があることで輸出モデルの存在がわかります。手元にあるカメラはそれらの仕様に当てはまります。英文の説明書もあるので確かだと考えられます。ただし、手許の資料ではアメリカへの輸出はなかったとするものもあります。事実、手持ちのカメラはもともとオーストラリアの個人ユーザーのものを売ってもらった経緯があり、付属していた専用革ケースにもKodakの刻印とともにmade in Australiaの刻印がありました。Kodak 本家であるアメリカへは輸出されずにその他の国への輸出というかたちにとどまったのかもしれません。

このカメラのように詳しい資料が少ないカメラはたくさんあります。こういったカメラを手にしたときに、限られた資料や現物の状態などから考えられる限りの想像を行うのもカメラを集める一つの楽しみなのかもしれません。


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