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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2014.01.24【Vol.151】

クラシックカメラ話「Druopta VEGA(フェガ)」

Druopta VEGA(フェガ)

今回ご紹介するカメラはチェコスロバキア製の35mmカメラDruopta VEGA(フェガ)です。ロシア製のカメラは有名ですが、東欧諸国にもいくつか光学メーカーがあり、プラハを拠点としていたDruopta社もそんなカメラメーカーの一つです。Pionyr、Efekta、Rixなどベークライト製のロールフィルム使用の簡素なカメラをいくつか生産する大衆向けメーカーであるDruopta社でしたが、このフェガは一部の部品を除き金属でできています。

1949年~1951年ごろに生産されたとされるVEGA(フェガ)は、背面に被写界深度一覧表がついていて、レンズがDruoptar50mm F4.5のモデルがⅡ型、アクセサリーシューが付き、レンズがDruoptar50mm F3.5と明るくなりシャッターにシンクロ接点が設けられたⅢ型の2種類を見ることができます。レンズシャッター部は沈胴式でF4.5付きとF3.5付きではその繰り出し量は異なります。レンズの構成は3群3枚ということですが、開放F値の違いとフィルム面までの距離から写りは異なるのではないでしょうか。仕様はChrontaxシャッターやEtaxaシャッター付きなどまちまちであったり、またⅡ型にアクセサリーシューを設けたものやⅢ型に被写界深度表が付いていたりとあまり統一感がありません。レンズはETAR銘の付いたものもありチェコ国内にあるカメラメーカーで部品を共有もしくは共通化していたのかもしれません。

そして、このカメラの特徴として35mmフィルム使用にもかかわらず巻き戻しノブ、及び巻き上げ側のスプールが備わっていません。空のパトローネもしくはマガジンを用意してそこに巻き込む仕様と考えられます。そして撮影後はフィルムをカットするか、フィルムの装てんを逆さまにセットし直して巻き戻しを行う必要があります。このように巻き戻し機構を装備せずカラのパトローネに巻き込んでいく一方通行式のカメラはいくつかありますが、初めて見たときには戸惑ってしまいます。セット式のシャッターですが、スプリングの力が強く、そしてレバーと内部の係りの機構上テンションがかかって、強くシャッターを押す必要があります。また、二重写し防止もないので撮影には注意が必要です。ストラップ取り付け用のアイレットが無い点も使い難いカメラです。

日本の中古店でもまれに見かけることがあるVEGA(フェガ)ですが、ヨーロッパのカメラ店や蚤の市で見かける頻度が高く、簡易タイプのカメラといった点で大量に生産されたのではないかと想像できます。


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