20mmスタートの新標準レンズ!旅のおともに最適「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」

坂井田富三
20mmスタートの新標準レンズ!旅のおともに最適「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」

はじめに

 今回紹介するのは、タムロンから2022年10月27日に新発売になった、20mmスタートの新標準レンズ「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)」。このクラスのズームレンズは16-35mmが一般的である中、20mmからの領域スタートの新しいズームレンズです。

 最近のタムロンのレンズは、他社のレンズと少し違った画角のズームレンズを世に送り込んできています。「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD 」の写りがどんなものなのか、使い勝手はどんな感じなのかをフィールドに持ち出して撮影してみました。

タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXDの魅力

 初めて「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」を手にした時、広角レンズ絞り開放値F2.8のイメージからは想像できない小型・軽量の筐体に少し驚きました。ボディに装着してみると非常にバランスも良く、標準のキットレンズを装着しているような感じを受けるくらいのサイズ感です。

 開放値F2.8の大口径のズームレンズは全体的に大きく重いレンズが多いのですが、最近は小型軽量化が進んできているのが非常にありがたいです。もちろん小型化するにあたって、何か犠牲になっているものがあるのではないかと感じてしまいますが、実際に撮影してみて大きな不満を感じる事はなく、小型軽量の使いやすさのメリットを大きく感じるレンズです。

 実際に20mmスタートの広角ズームは、旅行などで風景や建物などを撮る際に魅力的な画角です。ちょうど手元にソニー純正の「FE 20mm F1.8 G」のレンズがあったので、大きさを比較してみました。単純に20mmというところしか共通点はありませんが、実際に並べてみるとほぼ同じ大きさなのでちょっとビックリしました。

 そこで、少しスペックを比較してみました。

タムロン
20-40mm F/2.8 Di III VXD
ソニー
FE 20mm F1.8 G
焦点距離 20-40mm 20mm
レンズ構成 11群12枚 12群14枚
開放絞り 2.8 1.8
最小絞り 22 22
フィルター径 67mm 67mm
絞り羽根枚数 9枚 9枚
最近接距離 0.17m (WIDE) / 0.29m (TELE) 0.19m (AF時) 0.18(MF時)
最大撮影倍率 0.38倍 (WIDE) / 0.51倍 (TELE) 0.20倍 (AF時) 0.22(MF時)
全長×最大径 86.5×74.4mm 84.7×73.5mm
重量 365g 373g

 もちろん、この2つを比べても性格が違うレンズなのであまり意味がありませんが、単焦点20mmのレンズの使用頻度を考えると、「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」の魅力がとても大きくなってきます。実際に今回ちょっとした旅行に持ち出して撮影してみましたが、機材も軽く大きなカメラバックを持たないで済み、このレンズ一本でとても楽しく、いろいろと撮影をする事ができました。

フィルター径は67mm
20mm側は少しレンズが繰り出します
レンズをカスタマイズできるコネクターポート(端子形状:USB Type-C)

 カスタムに機能を割り当てるには、パソコンソフト「TAMRON Lens Utility」を使ってレンズとケーブルで接続しカスタム機能を追加します。カスタマイズできる機能は下記の項目になります。一度自分なりに設定してしまえば、使う頻度も少ないと思いますが、自分が使いやすいようにカスタムができるのは魅力ポイントです。

 「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」で撮影していて気になったポイントは、20mm側で樽型の歪曲が目立つこと。おそらくボディ側による歪曲収差補正が前提になっていると思います。下の写真はカメラ側で歪曲収差補正をOFFにした状態で撮影したものです。このレンズは、カメラ側で歪曲収差補正をONにした状態で撮影する事をお勧めします。ソニーαのボディは、歪曲収差補正はデフォルトではOFFになっているので、JPEGで撮影する方でこのレンズを購入した際には、カメラボディ側の設定確認をしたほうが良いでしょう。

■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF8 ISO400 焦点距離20mm ※レンズ補正(歪曲補正OFF)
RAWデータからレンズ補正(歪曲補正ON)にした場合

タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXDで広島・宮島スナップ撮影

■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF11 ISO100 焦点距離40mm

 今回は広島でお仕事があったので、仕事の空いた時間を使って宮島の厳島神社へ「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」を持って小旅行を楽しんでみました。厳島神社は筆者が行った直前まで大規模な保存修理工事(令和元年6月17日~)が行われていて、大鳥居が足場とシートで覆われていたのですが、修理工事も終わり撤去作業が進んでいたタイミングでした。

■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/250 絞りF2.8 ISO400 焦点距離20mm
■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/50 絞りF2.8 ISO400 焦点距離40mm
■撮影機材:SONY α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF2.8 ISO100 焦点距離21mm
■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF2.8 ISO800 焦点距離20mm
■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/200 絞りF11 ISO100 焦点距離30mm

タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXDで岩国・錦帯橋スナップ撮影

 宮島での撮影旅行を楽しんだ後、少し足を延ばして山口県岩国市にある錦帯橋に行ってみました。錦帯橋での撮影では20mm~40mmの画角が構図を決めるのに非常に便利でした。実際に撮影したデータを振り返ってみると、効率よく20-40mmの領域を使っていました。

■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF5 ISO100 焦点距離34mm
■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/4 絞りF16 ISO100 焦点距離20mm
■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/13 絞りF16 ISO800 焦点距離34mm
■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/20 絞りF4 ISO800 焦点距離28mm
■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/15 絞りF2.8 ISO800 焦点距離40mm

 軽量なレンズで、F値も2.8と明るいので日没以降のライトアップされた錦帯橋を、手持ちでブレることなく撮影することができました。ちょっとした旅行であれば、荷物になる三脚は持っていきたくないので「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」はこの様なシーンでも大活躍です。

タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXDで花の撮影

■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離20mm

 「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」の魅力は、寄れる広角レンズという点です。20mm側の最短撮影距離は17cm。あまりにも寄れるので、撮影する時に被写体にぶつからないように注意が必要です。被写体や撮影ポジションによっては、フードの影が被写体に影響してしまう事もあるぐらい寄ることができます。

 20mmの広角レンズとは思えないほどのボケを生かす事ができ、撮影した写真を見てみるとマクロレンズで撮影したかのような写真も撮れました。広い風景だけでなく、お花なども大胆に寄って撮影できる「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」はオールマイティーに使える標準レンズと言ってもいいでしょう。

最短撮影距離が短いので、撮影する時は被写体との距離に注意が必要
※撮影の様子をスマホで撮影
■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF5.6 ISO800 焦点距離20mm
■撮影機材:ソニー α7 IV + タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD
■撮影環境:シャッター速度1/4000 絞りF2.8 ISO250 焦点距離20mm

まとめ

 今回は旅のお供に「タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD」を持って撮影をしてみましたが、とにかく絞り開放値F2.8のズームレンズとは思えない「軽い・小さい」レンズは、旅行には最適のレンズでした。広い建築物をカバーする画角、夜のライトアップでも明るいF値のおかげで手持ち撮影もできるメリットを感じました。旅行だけでなく、普段使いの標準レンズとしてカメラに装着しておくにもいいレンズではないでしょうか。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

 

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