シグマ Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS レビュー|あらゆるシーンに応える驚異の18.8倍高倍率ズーム

- はじめに
- シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」の基本スペックと魅力
- シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」とタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」のスペック比較
- シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」でスナップ撮影
- シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」でウィンドサーフィン撮影
- シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」で花撮影
- まとめ
- この記事に使用した機材
はじめに
今回紹介するレンズは2025年4月24日に発売された18.8倍の高倍率ズーム、シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」です。35mm換算で焦点距離24-450mmなので、このレンズ一本でほとんどの撮影に対応できそうな便利なズームレンズです。ここまで高倍率のズームレンズだと、描写やAFの速度などが非常に気になってくるところです。実際にシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」を使って様々なシーンで撮影、その使い勝手や描写などをご紹介します。
シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」の基本スペックと魅力

18.8倍の高倍率ズームのシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」は使ってみると本当に便利なレンズで、これ一本でどんなシーンでも対応できるレンズです。高倍率レンズ故に開放F値はやや暗めですが、光学手ブレ補正も搭載しているので35mm換算で焦点距離450mmの撮影でも安心して使用できます。レンズの長さは標準のズームレンズよりもやや長いのですが、レンズ重量は約615gと軽量なので、一日持ち歩いても苦にならないレンズです。また小型のカメラバックにも収納できるサイズなので、これ一本で旅行やお子様のイベント撮影など何処にでも持って行ける万能性が大きな魅力です。
実際に、筆者がソニーα6700でよく使っている純正レンズ2本「E 18-135mm F3.5-5.6 OSS」・「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」と大きさ比較をしてみました。高倍率のキットレンズ「E 18-135mm F3.5-5.6 OSS」よりは少し長くなりますが、望遠ズームの「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」よりは少し短く、丁度中間ぐらいのサイズ感でこの2本の焦点距離をほぼ一本で網羅できるシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」の凄さを並べてみて改めて感じました。

中:シグマ Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS
右:ソニー E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS
実際にはシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」のライバルとなるレンズは、ほぼ同スペックになるタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」になると思います。APS-Cの高倍率ズームの先駆者として人気のレンズですが、ここにきてワイド側が有利になったシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」は、気になる方も多いのではないでしょうか。
シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」とタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」のスペック比較
シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」 | タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」 | |
焦点距離 | 16-300mm ※35mm換算:24-450mm相当 |
18-300mm ※35mm換算:27-450mm相当 |
最近接距離 | 0.17m(WIDE)/1.05m(TELE) | 0.15m(WIDE)/0.99m(TELE) |
最大撮影倍率 | 1:2 (焦点距離70mm時) | 1:2 (WIDE) / 1:4 (TELE) |
絞り開放 | F3.5-6.7 | F3.5-6.3 |
最小絞り | F22-45 | F22-40 |
レンズ構成 | 14群20枚 | 15群19枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 | 7枚 |
フィルター径 | 67mm | 67mm |
大きさ(最大径x長さ) | 73.8×123.4mm | 75.5×125.6mm(ソニー用) |
重量 | 約615g | 約620g |
手ブレ補正 | 有 | 有 |
発売 | 2025年4月 | 2021年9月 |
発売が新しいこともあって、シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」がスペック的にはタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」よりも魅力的にみえます。レンズの大きさもほぼ同じですが、ワイド側の焦点距離が35mm換算で24mmスタートになっているのは、大きなアドバンテージです。



焦点距離16mm側でレンズが一番短く、望遠側300mmになると鏡筒がおおよそ10cmぐらい伸びる感じになります。元のサイズが123.4mmなので体感的には2倍ぐらい伸びる感じです。

シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」の18.8倍のズーム比は、実際にファインダーを覗いて撮影してみると、その凄さが良く分かります。下の2枚の写真は、ワイド側16mm(35mm換算24mm)と望遠側300mm(35mm換算450mm)で同じ場所から撮影したものになります。同じ場所から1本のレンズでこの2枚が撮れるのは驚異的ですね。

■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF11 ISO800 焦点距離300mm(35mm換算450mm)

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF11 ISO800 焦点距離16mm(35mm換算24mm)
下の写真は上の写真と同じ場所から撮影したもので、焦点距離18mm(35mm換算27mm)で撮影したものになります。一番の競合となるタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」のワイド側のスタートの焦点距離です。スペック上では16mmと18mmのわずか2mmの焦点距離の差ですが、こうやって撮影してみるとワイド側の2mmの差はとても大きい事が分かると思います。

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF11 ISO800 焦点距離18mm(35mm換算27mm)
シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」は、絞り羽根枚数が9枚あるので背景に中心部に発生する玉ボケもまずまずの描写です。しかし周辺では「口径食」の影響が大きくレモン型ボケになります。

■撮影環境:シャッター速度1/80 絞りF6.7 ISO800 焦点距離300mm(35mm換算450mm)
前ボケに関しては周辺で大きく流れる感じになり状況によっては少々うるさく感じます。

■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF6.3 ISO200 焦点距離245mm(35mm換算367mm)

全体的な使い勝手は非常に良く、描写も悪くないレンズです。18.8倍ものズーム比率を持ちながらコンパクトで軽量なシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」は、これ一本でほとんどの撮影シーンに対応できる機動性を考えると非常にコストパフォーマンスの優れたレンズと言えるでしょう。
シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」でスナップ撮影

■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF6.7 ISO800 焦点距離300mm(35mm換算450mm)
シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」を持って、ツーリングやプチ旅行に出かけてみました。普段ですと標準レンズ以外にもう一本レンズを持ち出すところですが、18.8倍のズームレンズであればこれ一本で様々な撮影ができるので、荷物を少なくすることができ手軽で快適な撮影を楽しむ事ができました。ワイド側16mm(35mm換算24mm)が、レンズ一本でも大丈夫と感じさせてくれたのが大きなポイントです。

■撮影環境:シャッター速度1/250 絞りF6.7 ISO800 焦点距離300mm(35mm換算450mm)

■撮影環境:シャッター速度1/2500 絞りF6.3 ISO200 焦点距離171mm(35mm換算257mm)

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF6.3 ISO400 焦点距離35mm(35mm換算53mm)

■撮影環境:シャッター速度1/4000 絞りF8 ISO800 焦点距離16mm(35mm換算24mm)

■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF6.3 ISO200 焦点距離16mm(35mm換算24mm)
「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」は、高倍率ズームレンズでありながら軽量コンパクト。結果、一日中カメラにセットして持ち歩いていても、まったく苦にならない重量で旅行やイベントを軽快に楽しみながら撮影する事ができます。
シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」でウィンドサーフィン撮影

■撮影環境:シャッター速度1/1250 絞りF9 ISO400 焦点距離300mm(35mm換算450mm)
次に海に行ってウィンドサーフィンの動体撮影にチャレンジしてみました。35mm換算450mmの焦点距離が活躍するようなシーンです。焦点距離450mmもあると、風に乗って疾走するウィンドサーフィンの様子を砂浜からでも十分に迫力のある写真を撮ることができます。
オートフォーカスの速度に関しては、リニアモーターHLA(High-response Linear Actuator)を採用していることもあり、オートフォーカス速度には不満はなく快適に撮影することができました。

■撮影環境:シャッター速度1/2500 絞りF6.7 ISO400 焦点距離300mm(35mm換算450mm)

■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF6.7 ISO100 焦点距離300mm(35mm換算450mm)

■撮影環境:シャッター速度1/50 絞りF22 ISO100 焦点距離169mm(35mm換算253mm)

■撮影環境:シャッター速度1/15 絞りF45 ISO100 焦点距離300mm(35mm換算450mm)
今回の撮影時は流し撮りなどは難しいほどの晴天でしたが、シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」の望遠側では絞りがF45まで絞る事もできるので、NDフィルターを使用しなくてもスローシャッターで流し撮りをする事ができました。こういったダイナミックな表現も、アクセサリーの準備なしの状態でもとっさに撮影できるのが魅力のポイントの一つだと思います。
シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」で花撮影

■撮影環境:シャッター速度1/50 絞りF6.3 ISO400 焦点距離96mm(35mm換算143mm)
18.8倍の高倍率ズームが魅力のシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」ですが、便利な高倍率以外にも、焦点距離70mmで最大撮影倍率1:2のハーフマクロとして使えるのも魅力のポイントです。高倍率ズームで様々なシーンの撮影の他、本格的なマクロ撮影も楽しめる万能レンズです。実際にフィールドに持ち出して花のクローズアップ撮影をしてみました。
ズームの焦点距離によって最短撮影距離が変化するので、クローズアップ撮影の際には少しコツがいりますが、マクロ撮影も楽しめるのは大きな魅力です。実際に撮影していると、最短撮影距離の短さからフードをつけていると被写体に当たってしまうぐらいまで寄ってしまうので、被写体との距離に気を付けないといけないシーンが多く発生します。フードによる影の影響なども考えて筆者の場合は、焦点距離をやや望遠側の100mm前後(35mm換算150mm前後)あたりにセットしてから被写体に寄って、焦点距離を微調整して構図を決めて撮影する方法が一番スムーズに撮影ができた感じです。

■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF6.3 ISO800 焦点距離96mm(35mm換算144mm)

■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF10 ISO800 焦点距離98mm(35mm換算147mm)

■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF6.3 ISO800 焦点距離101mm(35mm換算151mm)

■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF6.3 ISO200 焦点距離212mm(35mm換算318mm)
寄れるシーンでは被写体に思いっきり寄ってマクロ撮影、寄れない場合でも望遠にして背景を大きくボカして被写体を印象的に撮影する事もでき、お花撮影などもバリエーション豊かな撮影方法が楽しめるレンズです。
まとめ
シグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」を様々なシーンに持ち出して撮影してみましたが、非常に快適に撮影をすることができました。このレンズ1本でほとんどの撮影がこなせる事もあって、余分なものを持たない身軽なスタイルで気楽に撮影できる事がとても快適に感じました。
このレンズがあることで、筆者所有のソニー純正の高倍率ズーム「E 18-135mm F3.5-5.6 OSS」と望遠レンズのソニー「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」の出番が無くなりそうな感じです。レンズ交換しなくてもあらゆるシーンに対応できるシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」は、本当に魅力的でコストパフォーマンスが高いレンズです。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師