野鳥撮影に適した三脚選び|戸塚学

戸塚学
野鳥撮影に適した三脚選び|戸塚学

はじめに

フィルム時代の野鳥写真では三脚が必須でした。理由は野鳥を撮影するには超望遠レンズを支える三脚と雲台が必要だからです。しかし、当時のカメラ機材+大型三脚は非常に重く取り回しが大変でした。現在はフィルムカメラからデジタルカメラ、ミラーレスカメラへと変わり続け、手ブレ補正機能も進化して「手持ち撮影」が普通になりました。

ではもう三脚は必要がないかといえば、私は必要だと思います。その理由は私のように動画も撮る人間には絶対に必須だし、手持ちが難しい暗い場所での撮影にも必要になるからです。また体勢が悪かったり、ローアングルや見上げての状態だったりなど、長時間同じ姿勢が続く場合は三脚があるとずいぶん楽に撮影ができます。野鳥撮影はまず観察が重要なので、撮影をしない時に「機材を安心して設置しながら、撮影時にすぐ対応ができる」などの利点もあります。

今回は私が気に入っている、野鳥撮影にもおすすめしたい軽くてコンパクトな三脚と使い方を紹介したいと思います。

カワセミ
ヒレンジャクが桜の花が咲く枝にとまる姿を探して堤防を歩いているとき、「チー」という声がしたかと思うと私を追い越してカワセミが桜の枝にとまった!重い機材を積んでいるというのにAZ-235C+BV-10のセットは滑らかな動きでカワセミを捉えてくれた!
■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + EF500mm F4L IS II USM + EF1.4xIII
■撮影環境:FVモード F5.6 1/800秒 ISO320 WB 太陽光

「軽くて持ち運びがしやすい三脚」が一番

レオフォトのAZURE AZ-235C + BV-10
手に持った状態でこの大きさ!とても小さい。楕円形の脚はたたむとコンパクトで実に握りやすい。
AZURE AZ-235C + BV-10 + EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
筆者が愛用するお手軽セット。特に撮影ツアーでは軽量コンパクトでとても重宝している。

私が野鳥撮影を始めたころは「ジッツオ」の一番大きなアルミ三脚(5型)を使っていました。当時はまだカーボン製の商品がなく選択の余地がありませんでした。とはいえあまりにも重くてごついので国産で対応できるものはないかと探して使ってみましたが、ろくなものがなく結局ジッツオに戻るしかありませんでした。その後国産のカーボン三脚を使ってみましたが、これも「納得できる」物はなかったため、ジッツオの3型カーボン三脚(5型よりも脚の径が細く軽量)を長らく使っていました。「もっと軽くて使いやすい」物には出会えないままカメラの手ブレ補正の進化で手持ちでの撮影回数が増えていきました。

そんな時出会ったのがレオフォトのカーボン三脚、LS-284CEXでした。特に気に入ったのは、レベリングが最初から付いているので水平出しが簡単ということでした。まぁ超望遠レンズの場合、レンズの三脚座でレンズを回転させることで水平を出すことができます。いらないといえばそれまでですが、私は動画も撮るので実にありがたかったです。

愛用しているビデオ雲台「BV-10」
レオフォトの三脚類は常にマイナーチェンジが行われており、私が使うのは初期タイプで現行の物とは若干違いがあるが人気が高いのだろう、いまだに現役だ!

合わせてBV-10というビデオ雲台も実に私との相性がいいです。フリーや3Wayではなくビデオ用の2Wayなので野鳥撮影には便利です。重たい機材を載せて肩に担いで移動する時に、機材の重さで雲台が傾いて苦労したり、指を挟み痛い思いをしたりしました。しかし2Wayならそんな心配をしなくていいのです。

耐荷重量が5Kgの割には5Kg以上でもそれほど動きにビビりを感じないので、キヤノンのEOS R5 Mark II(746g)と超望遠レンズEF500mm F4 L IS II USM(3190g)、エクステンダーEF1.4×III(225g)の合計4161gでもスムーズな動きを実現してくれます。ただ、長時間三脚に据えて置く場合はちょっと不安になるので下ろすようにしていますが、今まで一度も自重での転倒はありません。もっぱらメインで使っているのはRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM(1370g)なので全く問題はないし、この場合は長時間三脚に据えて置いても転倒は一度もありません。

LS-284CEXとBV-10のセットはツアーガイドで海外や離島へ行く際にとても重宝しています。他にも気に入っているのはローアングルで撮影がスムーズにできることです。高さを変えられるエレベーターが付いている物は便利ではあるものの、野鳥撮影ではローアングル撮影がすぐにできないので論外となります。

■機材スペック
カーボン三脚「LS-284CEX」
重量1330g 耐荷重10Kg 全伸長1475mm 最低高85mm 段数4

ビデオ雲台「BV-10」
重量700g 耐荷重5Kg 

新たな相棒AZURE AZ-235C

LS-284CEXとBV-10のセットについて書いてきましたが、人間やはり欲望というものがあります。それはもっと軽くてコンパクトが好ましいという事。先にも書きましたが、このセットは海外や離島向けであります。その際一番の問題は「スーツケースへの収納」になります。ケースに斜めに入れると荷物の据わりが悪くなりますし、収納も悪くなります。荷物が少なめの時などはもう少し小さめのスーツケースでもいいのに、この三脚の収納が頭を悩ませます。なのでスーツケースを購入する際には実際に三脚を持っていき、真っ直ぐ入るものを選ぶようにしています。

この悩ましい問題を抱えたまま、たまたま打ち合わせで訪れたレオフォトショールームで勧められたのがAZURE AZ-235Cでした。三脚の足は円形だと信じてきましたが、これはまさかの楕円形。本当に大丈夫か?と思いましたが、この形状が実に収納に適しているし移動時にも担ぎやすい。収納高が405mmと短い事でスーツケースに入れても余裕しゃくしゃくです。重量的にもLS-284CEXに比べて120g軽い1210gとなっています。

AZ-235Cはレバーロック式。脚の長さの調整や伸長もワンタッチで楽ちん。

レオフォトのすごいところは毎回多機能であるという事。野鳥撮影ではエレベーターは不要と書きましたがAZURE AZ-235Cには付いています。ダメじゃんと思いましたが、これが簡単に脱着可能なのです!これによりローアングル撮影が可能になります。野鳥撮影でエレベーターはあまり使いませんが、あったら便利な機能でもあります。

また、石突キャップを外す事でスパイク石突が使用可能になったり、1/4インチネジによるアクセサリーの取り付けも可能だったりと使いやすい機能が多数搭載されています。

■機材スペック
カーボン三脚「AZ-235C」
重量1210g 耐荷重10Kg 全伸長1530mm 最低高89mm 段数5

いやらしいセッティングではどうだ?

せっかくなのでAZURE AZ-235C+BV-10の組み合わせで、EOS R5 Mark II(746g)+EF500mmF4 L IS II USM(3190g)+EF1.4×III(225g)の合計4161gを装着して使ってみました。

せっかくなのでエレベーターを使ってみる。
かなり無理があるなと思いながらも上記のカメラとレンズをセットしてみると……あれま、思った以上に普通に使える!いやこの細いエレベーターを考えれば信じられない。ただし上の機材が重いのでエレベーターを伸ばすのにはちと苦労をした。
エレベーター部分は簡単に外すことができるので、ローアングル撮影が可能になる。「使わない」という方は常に外した状態でもOKだ。ただ、あると意外と便利なのでケースバイケースで脱着できるのはありがたい。
エレベーター部分を外してローアングル撮影スタイル。この時はバリアングルモニターを活用すると撮影しやすい。
ヒレンジャク
エレベーターを少し伸ばした状態で、見上げてヒレンジャクを撮影してみるが、思いのほか安定をしていて驚いた!SSが速くないか?と思うだろうがプリ連続撮影なので仕方ない(笑)
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + EF500mm F4L IS II USM + EF1.4×III
■撮影環境:F5.6 1/800秒 ISO250 WB 太陽光

まずレオフォトの雲台はすべてアルカスイス互換式で、すべてのレオフォトのシュープレートがどの雲台にも使えます。BV-10専用ではない長いタイプも装着できるので苦労知らずなのがいいです。他社では雲台ごとにプレート形状が異なるものもあり、非常に困ったことが思い出されます。

AZURE AZ-235C自体が耐荷重10キロなのでまだ余裕がありますし、BV-10に関しては今までもこのセットで使用をしてきたので動きに関して全く問題がありません。さて、ここでエレベーターを伸ばして使用してみました。機材自体が重いのでエレベーターを伸ばすのに苦労しましたが、伸ばした状態で使用してみるがとやはり多少ブレが生じるものの一脚だと思えば問題ありません。私は通常エレベーターを使いませんが、簡単にエレベーターを脱着できるので、これは「あれば便利な機能」だと思います。

キャリーケースに2種類の三脚のみを入れてみた。AZ-235C(下)は脚が楕円形なのでより省スペース、いかに全長が短いかがわかるはずだ!

戸塚的AZURE AZ-235C三脚の使い方

大昔、三脚の使い方は脚の太い部分から伸ばすと言われてきました。なので細い脚を伸ばすのは一番最後と考えている人も多いと思います。しかし実際の撮影現場ではそれだと不都合なこともあります。

太い脚から伸ばすのは理にかなっていますが、三脚を立てる地面がまっ平らなところはほとんどなく、野鳥撮影では斜面や凸凹のフィールドが圧倒的に多いです。したがって重たい機材を載せた状態での最終調整で、手元から遠い下側にある細い脚で調整するのはかなり無理があります。

しかし現代は違う!三脚も大きく進化したのです。合わせてカメラ機材も「手ブレ補正」が当たり前となっています。セオリーを考え直してもいい時期に来ています。そこで私は細い脚から伸ばし、一番太い脚は最後に伸ばすようにしています。こうすることで手元で伸長ができるので便利なのです。

また、AZURE AZ-235Cは開脚角度が4段階の23度、42度、62度、82度と広がるため、ほぼどんな場所でも安定した設置が可能になります。石突キャップを外せばスパイク石突も使用可能になります。

変則開脚
脚の開脚角度は4段階でアングルを変えることができる。これによって斜面や足場の悪い場所において、角度+脚の伸長で安定した撮影が可能になる。
アカヒゲ
かなり暗い森の中なので手持ちではなくAZURE AZ-235C+BV-10で狙ってみた。かなり斜面ではあったが、手元に近いレバーロックで高さを手早く調節できたことでチャンスを逃さず撮影ができた。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:F7.1 1/160秒 ISO16000 AWB
リュウキュウサンショウクイ
ほぼ真上を見上げた状態でもBV-10は無理なく対応可能。風に揺れるのは三脚では対応できないので葉に隠れない状態で撮影。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:F7.1 1/125秒 ISO500 AWB
ルリカケス
ルリカケスが枝にとまった!かなり暗い森なのでISO感度を3200まで上げてもSSは1/125秒!呼吸を整えて静かに狙った。
■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:F7.1 1/125秒 ISO3200 AWB

手ブレ補正はON!

カメラやレンズの手ブレ補正機能は、メーカーによっては「三脚に固定する場合はOFFにすること」が勧められています。実際にそうしている人も多いことと思います。しかし、超望遠レンズを使う野鳥撮影の場合は違います。

どんな大きな三脚や雲台に機材をつけてもある程度はブレや風による揺れを起こすので、ブレが起きるのだから手ブレ補正機能はONのままでいいです。というよりも手持ちも三脚撮影も手ブレ補正は常にONにしておくといいです。

ただし、超望遠レンズをつけていても長秒で撮影する場合は、やはり手ブレ補正はOFFにして2秒タイマーか電子レリーズで撮影したいです。もしONのままだと不意に手ブレ補正が働いて、逆にブレが発生することにも繋がるので注意が必要です。手ブレ補正機能を正しく活用して撮影をしましょう。

まとめ

三脚はあれば便利ですが、手ブレ補正がここまで進化すると「いらない」と持たない方も多いと思います。しかし、野鳥撮影においては冒頭で説明した通り必要なシーンも多くあります。今回紹介したAZURE AZ-235Cもそうですが、軽くてコンパクトで信頼できて、かつリーズナブルなレオフォトの三脚をぜひチェックしてみてください。

 

 

■野鳥写真家:戸塚学
幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから野鳥の撮影にのめり込む。「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどに多数発表。
・日本野鳥の会 会員
・西三河野鳥の会 会員
・日本自然科学写真協会(SSP)会員

 

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