シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS Contemporary Xマウントレビュー|日常も旅も、一本で視点が広がるレンズ
はじめに
広角から超望遠まで一本で撮れると、カメラを向ける対象はぐっと広がる。
広い空を撮りたいと思った次の瞬間、遠くの船に気づく。
足元の小さな花に目が留まり、さらに街の一部を切り撮りたくなる。
そんなふうに、撮りたいと思ったものへ自然にレンズを向けられるのが、シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS | Contemporaryの魅力だ。

シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS | Contemporaryは、APS-C用の高倍率ズームレンズ。16mmから300mmまで、35mm判換算で約24-450mm相当を一本でカバーする。
利用可能なマウントは、Lマウント、キヤノンRFマウント、富士フイルムXマウント、ソニーEマウント。なお筆者は富士フイルムXマウントを使用している。マウントによって質量、長さ、画角など違いがあるので、本記事では筆者が使用する富士フイルムXマウントを前提に紹介する。
筆者は実際に発売前から現在までこのレンズで撮影を続けてきた。今回は日常から旅先までいろいろな場面で撮影した写真とともに、シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS |Contemporaryの魅力を紹介したい。
16mmと300mmで、見える世界が変わる
まずは、16mmと300mmでどのくらい印象が変わるのか見てみよう。

■撮影環境:16mm 1/850秒 f/6.3 ISO640
広角端16mmで港から向こう岸にむかって撮影した。
海の広がりや雲のたなびき、奥の山並みまでしっかりと捉えられる。右側には停泊する船があり、その奥には小さく帆船が見える。
そこで、望遠端300mmにし、帆船にぐっと寄ってみた。

■撮影環境:300mm 1/500秒 f/6.7 ISO640
どうだろう。広角端16mmでは豆粒ほどの存在だった帆船が、望遠端300mmにすることで主役に変わった。
同じ場所に立っていても、焦点距離を変えるだけで、何を見せるのかが大きく変わる。
シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS | Contemporaryの面白さは、広く見る視点と、遠くを見つめる視点を、一本のレンズで行き来できることにある。
朝の光も、突然の出会いも

ここまで高倍率なのに、富士フイルムXマウントで重さは615g、長さ123.7mm。
16mmから300mmまでをカバーするレンズとしては、持ち歩きやすい軽量・コンパクトな設計。しかも広角端で6段、望遠端で4.5段の手ブレ補正を搭載しているので、手持ちでいろいろなシーンを撮ることができる。さらに、防塵防滴構造に加え、レンズ最前面には撥水・防汚コートも採用されている。旅先や屋外で撮り歩くときにも心強い。

■撮影環境:16mm 1/500秒 f/11 ISO500
朝の時間。16mmで日の出を待ち構える。
明るくなるにつれ変化する空のグラデーション。水面に映り込む光が印象的だ。

■撮影環境:300mm 1/1900秒 f/6.7 ISO500
急に飛んできた海鳥。さっと300mmにして撮影した。
AFはリニアモーターHLA(High-response Linear Actuator)が採用されている。
動きのある被写体など、シャッターチャンスを逃したくない場面でも心強い。

■撮影環境:300mm 1/500秒 f/6.7 ISO500

■撮影環境:300mm 1/1900秒 f/6.7 ISO800
ちなみに、この2枚はそれぞれ別の日に撮影した。
こうして並べてみると、意味を持ち始めるのが、写真の面白いところだ。
近づくことで見えてくるもの
シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS |Contemporaryには、もうひとつ特筆したいことがある。
それは焦点距離70mmのとき最大撮影倍率が1:2、つまり、ハーフマクロ撮影が楽しめるということだ。

■撮影環境:71mm 1/200秒 f/7.1 ISO500
春先のシーン。ズームリングを「70」まで回して、70mmにセットする。
菜の花にぐっと寄って撮影した。
つぼみから枯れかけの花まで、いろいろな物語が同時に起こっている。
ハーフマクロで撮影することで、細かなところまでよくわかる。
広い風景や遠くの被写体はもちろん、花や日常の中でふと目に留まる細部にも自然にレンズを向けたくなる。ハーフマクロで「寄る」という視点の切り替えができるところも、このレンズの大きな魅力だ。
300mmで見慣れた風景を切り撮る
超望遠は遠くの被写体を捉えるためだけにあるわけではない。
圧縮感を活かし、まちを撮影しても面白い。
ふだん歩いている場所でも、300mmでのぞいてみると、肉眼で見ているときとは違う重なりが見えてくる。手前と奥の建物、看板、街灯、人の動き。距離のあるもの同士が画面の中で近づき、いつもの街に少し違うリズムが生まれる。広角では整理しきれない情報も、望遠で切り撮ることで、かえってその場所らしさが感じられることもある。

■撮影環境:300mm 1/500秒 f/6.7 ISO800
まあるい街灯や看板が重なり、少し賑やかに見えてくる。

■撮影環境:300mm 1/1500秒 f/10 ISO500
建物の一部を切り撮ると、新しい建物と古い建物の対比がはっきりと見え、変わり続ける都市の様子が浮かび上がる。
見慣れた風景でも、300mmで切り撮ると、普段とは違う見え方になる。
シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS | Contemporaryと一緒だと、いつもの景色を新しい視点で見直すことができるかもしれない。
おわりに

■撮影環境:67mm 1/80秒 f/8 ISO1600

■撮影環境:16mm 1/150秒 f/11 ISO800

■撮影環境:43mm 1/640秒 f/5 ISO500
旅先の朝食。
ふと見上げた木の雄大さ。
生活と積み重ねた時間を感じる街の風景。
すべて、シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS | Contemporary、この1本で撮影した。

シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS | Contemporaryは、ただ焦点距離の幅が広いだけのレンズではない。広く見る、遠くを見る、近づいて見る。その視点の切り替えを、レンズ交換なしに続けられるところに魅力がある。
旅先で荷物を軽くしたいとき。
日常の散歩で、何に出会うかわからないとき。
風景も、遠くの被写体も、足元の小さなものも撮りたいとき。
撮るものをあらかじめ決めすぎず、出会ったものにその場で反応できる。
その自由さは、撮り歩く時間そのものを軽やかにしてくれる。
この一本があることで、カメラを向ける対象は大きく広がる。
日常にも旅にも、きっと出番の多い一本になるだろう。

■撮影環境:128mm 1/1100秒 f/7.1 ISO800
■写真家:渡邉真弓
札幌在住。日常をモチーフに「時の有限性」「薄れゆく記憶」について考察する作品を制作。「写真と一緒にくらしを楽しむ」をキーワードに、写真教室、写真にまつわる執筆・企画提案、撮影など幅広く活動している。北海道カメラ女子の会代表、フォトフェスCuiCui 事務局代表、京都芸術大学通信教育部美術科写真コース非常勤講師。地方自治体と地域振興プロジェクトも展開中。
















