新たな視点と出逢う春。シグマ 15mm F1.4 DCで残す、息子とのキロク
あの日の続きを、新しい相棒と
単焦点レンズは撮り手に「どこに立つか」「何を切り取るか」を問いかける。
息子と過ごす日々の中でシャッターを切り続けるうちに、
その「制約」がいつの間にか「眼差し」に変わっていく。
息子が生み出すレゴの世界。
桜の枝に伸ばした指先。
リフトの上から見上げた空の広さ。
その瞬間に向き合って、自分の足で近づいて、一枚を選び取る。
そのプロセスそのものが、写真を撮る喜びになっていきました。
今回お届けするのは、SIGMA 15mm F1.4 DC | Contemporaryと一緒に歩いた、息子との春の記録です。広角ならではの、子どもならではの、スナップ写真をご覧ください。

1mmの差がもたらす「魔法」
旧モデル「16mm F1.4 DC DN」から、その後継機として登場したのが、この15mm F1.4 DC。広角レンズの世界における1mmは、写り込む世界の広さと遠近感に劇的な変化をもたらします。
画角は16mmの79.9°から15mmでは83.6° (富士フィルムXマウント、ソニーEマウント:86.9°)へと広がり、「目の前の景色がさらにひと回り広く」写り込みます。

右:15mm F1.4 DC
そして何より驚いたのが、その軽さ。旧モデルの415gから、なんと240g(富士フィルムXマウント:225g、ソニーEマウント:220g)へとほぼ半分の重さに!
レンズ構成を最適化し、特殊ガラスを効果的に配置することで、光学性能を落とさずに小型・軽量化を実現。F1.4という圧倒的な明るさを持ちながら、子どもと手を繋いで片手で構えられるこの「軽さ」は、親にとって最高のスペックアップです。
2つのレンズを持って、少しだけ春のスナップ撮影へ。
桜の季節、2つのレンズが見た世界
満開の桜が咲き誇る川沿いの道へ、息子とお散歩。
15mmと16mmを持ち替えながら撮影してみると、15mmは視界が一回りグッと広がり、空の余白が心地よく広がります。
画像をクリックいただくと大きく表示できますのでご覧ください。
また色収差を抑えるFLD・SLDガラスと非球面レンズにより、画面の四隅まで均一にシャープな描写を実現。花びらの一枚一枚まで鮮明に記憶に残ります。
そして高い逆光耐性により、美しい半逆光の夕日に照らされた息子の小さな手もクリアで抜けのいい写真に。

■撮影環境:1/1600 f1.4 ISO200
あと一歩、深く、近くへ
春の道端は息子の大好きなたくさんのカラフルなお花たちに出会います。
同じ花を接写すると、15mmと16mmの2枚の写真の違いを発見。
16mmと比べると、「一歩近い」場所から撮れていることがわかります。
16mmの最短撮影距離が25cmなのに対し、15mmでは17.7cmまで近づくことができ、最大撮影倍率も1:9.9から1:7.9へと向上し、花の存在感と背景のボケ感も変化が見られます。一歩寄り添い、写真表現力の幅も深くなり、15mmの進化を実感しました。
さて、ここからは15mmレンズと息子との日々の暮らしに沿ってお話ししたいと思います。
いつもの暮らしを、忘れないストーリーに
息子が散らかしたおもちゃや、片付いていない部屋のあちこちから香ってくる生活感…
背景には息子が遊んだまま取り残された掃除機までも…
でも、このレンズがあれば多少、部屋が荒れてたってへっちゃらです。

■撮影環境:1/250 f1.4 ISO250

■撮影環境:1/250 f1.4 ISO250

■撮影環境:1/250 f2.0 ISO250
息子の顔だけを切り取るのではなく、彼が夢中になっているレゴの作品群、散らかったパーツ、窓からの柔らかい光——その「遊んでいた部屋の空気」まで一枚に収められる。
柔らかなボケ感が周囲のゴタつきもそれとなく打ち消してくれる。
テーブルの端にカメラを置き、レゴに近づくと、手前の作品が大きく奥の息子が小さく写る。この誇張された遠近感が、なんということもない日常でさえ物語に変えてくれます。

■撮影環境:1/250 f1.4 ISO250

■撮影環境:1/250 f1.4 ISO250
この「空気ごと記録する」力は、単焦点レンズの真骨頂でもあります。
気軽に構える広角スナップ写真はいつもよりグッと印象的に仕上がります。

■撮影環境:1/4000 f1.4 ISO200

■撮影環境:1/3200 f1.6 ISO200

■撮影環境:1/4000 f1.4 ISO200
祖父の畑を手伝いに行く息子。
二人の背中だけでなく、足元の土の質感、田園風景、広い空。
83.6°という画角が、その日の「のどかな空気」や「季節の匂い」まで閉じ込めてくれます。風景の中にポツンと配置。写真の中に「余白」が生まれ、二人の間に流れる穏やかな時間がより一層引き立ちます。

■撮影環境:1/4000 f1.4 ISO200

■撮影環境:1/4000 f1.4 ISO200
畑にはたくさんのカエルの姿が…!
出会ったカエルの観察用に虫かごからじーっと観察。
「あとで、田んぼに返してあげるんだー」
THEこども写真、「歪み」で遊ぶ
世の中の5歳児男子について、代表して言えることといえば、一日中ふざけることしかしない(ため息)、ということです。
子どもらしさ限界突破中の息子の写真を撮るとき、ついInstagramで見かけるような「おしゃれに、かっこよく」したいと構えてしまいがちですが、後で見返して記憶に残っているのは、彼なりの自信たっぷりに全力でふざけた「変顔」だったりします。
広角レンズ特有の、画面の端に向かって引っ張られる「パースペクティブ(遠近感の誇張)」。ポートレートでは敬遠されがちなこの「歪み」も、変顔撮影では強力な武器に。

■撮影環境:1/3200 f1.4 ISO200
撮り方のコツはただ一つ、「思い切り近づく」こと。
鼻や口元が手前に大きく誇張され、背景はF1.4の明るさでふんわりとボケる。
広角レンズならではの立体的でコミカルな「THEこども写真」の完成です。

■撮影環境:1/1000 f1.4 ISO200

■撮影環境: 1/1000 f1.4 ISO200
広い世界へ、旅に出よう
少し足を伸ばして家族で高尾山へ、風景とスナップ写真のミニ旅。
リフトに乗り込んだ息子は少し怖がりながら、下を覗き込んでいます。

■撮影環境:1/1000 f1.8 ISO200

■撮影環境:1/320 f2.8 ISO200
リフトのワイヤーが伸びる縦構図、木々がどこまでも奥へと続いていく構図。
超広角15mmが生み出す奥行き感と没入感と、一方で息子の不安そうな心情まで想像力を掻き立てます。

■撮影環境:1/160 f1.4 ISO200
地上に降り立ち、安心のスキップ。
いつもなら抱っこという息子も、心地よい森林に囲まれて1人でズンズン進んでいきます。

■撮影環境:1/80 f4.0 ISO200
子どもが自然の中を歩く姿を少し引いて撮るだけで、人と自然のスケール感の対比が美しい一枚に。

■撮影環境:1/800 f8.0 ISO200
そして、ゴールの頂上へ。
曇り空が多かったけれど、爽やかな青空が出迎えてくれました。
ここで改めて実感したのが、240gという軽さの恩恵です。首から下げたままでも旅の始まりから最後まで足取りは軽やか。翌日に疲労を引きずらないのはありがたいことです…!
広角単焦点が教えてくれた、息子との距離感
単焦点レンズを使い始めて気づいたのは、「撮れない写真がある」ことが、
むしろ写真を豊かにしてくれるということです。
ズームなら引き寄せられる場面も、自分が動かなければならない。
息子のそばまで歩いて、しゃがんで、同じ目線に立ってシャッターを切る。
その「近づく行為」そのものが、息子との時間をより濃くしてくれます。
83.6°の没入感。
最短17.7cmの寄り添い。
F1.4の光を掴む力。
そして、240gの気軽さ。
これらすべてが、この一本に凝縮されています。
全力で泣いたり笑ったり、ふざける息子が見ている世界に、もっと近づきたい。
そして余白が広い分、その場の空気感も閉じ込めて、やがて写真のタイムカプセルになる。
今しか見られない表情を、今しか感じられない距離感を、
気軽に、でも丁寧に残していきたいと思わせてくれるレンズです。
■写真家:寺島由里佳(yuricamera)
ポートレイトを中心に、企業広告や雑誌媒体などで撮影や執筆活動を行う。ライフワークに動物園にいる動物たちを撮り続けている。写真のワークショップ、写真コンテストの審査員なども担当。日本写真家協会(JPS)会員。日本広報協会 広報アドバイザー。



















