身軽に、テンポよく。OM SYSTEM PENと過ごした3ヶ月
はじめに
この数ヶ月のあいだ、大阪、京都、東京と、各地でOM SYSTEM PENを構えていた。改めて見返してみるとモノクロ率が高め。カラーで撮ろうと考えていても、シャッターを切る段階になってプロファイルコントロールスイッチを、ついモノクロに合わせてしまう。これは好みというより、癖のようなものかもしれない。

レンズは街との距離感で決まる

■撮影環境:絞りF1.8 1/3200秒 ISO200 WB:マニュアル
モノクロプロファイルコントロール 赤 : +2 /ハイライト&シャドウコントロール : Highlight : -4, Midtone : -3, Shadow : 0
大阪のいわゆるアメ村と呼ばれるエリア。今回使用することの多かったレンズは M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、50mm相当のレンズだ。OM SYSTEM のレンズは基本的に小型軽量で持ち運びに負担がないため、普段は出先でレンズ交換はほとんどしないわたしも、今回の撮影に関してはたびたびレンズ交換は行ったほうだと思う。朝出かける際は M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 を装着していても、早々に M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II に付け替えていたりする。街の距離感によって合うレンズは変わるわけだから、当然と言えば当然である。
また、PENには SSWF(スーパーソニックウェーブフィルター)という、電源を入れるたびにセンサーのゴミを高速振動で除去する機構が入っているので、街中でもチリやホコリの付着を心配することなくレンズ交換が可能だ。地味な機構に見えるかもしれないが、こうした積み重ねが撮影のテンポを保ってくれる。

■撮影環境:絞りF1.8 1/1600秒 ISO200 WB:マニュアル
モノクロプロファイルコントロール 赤 : +2 /ハイライト&シャドウコントロール : Highlight : +1, Midtone : -1, Shadow : -3
大阪から京都、東京まで移動する中で、 M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II を基本にしつつ、人物を大きく入れたいときは M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8、逆に街の雰囲気をしっかり入れたいときには M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II と付け替えている。焦点距離を変えるたびにゴミの心配をしなくていいというのは、精神的にも大きな安心感をもたらしてくれる。

モノクロで撮影する理由

■撮影環境:絞りF1.8 1/3200秒 ISO200 WB:マニュアル
モノクロプロファイルコントロール 赤 : +2 /ハイライト&シャドウコントロール : Highlight : -5, Midtone : -3, Shadow : -1

■撮影環境:絞りF6.3 1/800秒 ISO200 WB:マニュアル
モノクロプロファイルコントロール シアン : +1 /ハイライト&シャドウコントロール : Highlight : -2, Midtone : -4, Shadow : 0
さて、モノクロの話に戻そう。グラフィティで覆われた階段を駆け上がる後ろ姿を撮ったとき、これはもうモノクロしか考えられないと思った一枚だ。以前近くに住んでいた際の定番の撮影スポットだが、色があると情報過多になってしまう気がしたのだ。京都でカラスの群れを狙った一枚も同様で、曇り空とシルエットのみで表現したほうが、寺院仏閣特有の空気感は伝わると思う。

■撮影環境:絞りF2.5 1/800秒 ISO200 WB:マニュアル
モノクロプロファイルコントロール 赤 : +2 /ハイライト&シャドウコントロール : Highlight : -3, Midtone : -2, Shadow : -2
このような判断を、撮る前にファインダーを覗きながら行っている。PENのファインダーは約236万ドットで、視野の隅々まで歪みが少ない。日差しの強い日でも像が白飛びすることなくクリアに見えるので、構図の判断に迷わない。人でにぎわう場所で手をつないで歩く二人を90mm相当で狙った際も、ファインダーを覗いた瞬間、周囲をとりまく人々の流れから切り離されたような感覚があった。
カラーで撮影する自由

■撮影環境:絞りF2.2 1/100秒 ISO200 WB:マニュアル(OM Workspaceでグリーンを強調)
モノクロの表現に惹かれる一方で、もちろんカラーで切り取りたい瞬間もある。大阪の地下鉄構内、蛍光灯特有のグリーンが強く出る場所では、あえてその色味を残したくなった。あとから見返して、いっそこのグリーンをもう少し強めてもいいかもしれないのではないかと、OM Workspaceでホワイトバランスを調整した上で寒色系の色味を強めている。モノクロで情報を整理するのとは逆に、色そのものが場所の記憶になることもあるものだ。

■撮影環境:絞りF2.5 1/800秒 ISO200 WB:マニュアル

■撮影環境:絞りF2.5 1/400秒 ISO200 WB:マニュアル
エスカレーターを上る夏らしいスタイルの女性と、ブランドの看板を背景にした三つ編みの後ろ姿。いずれも M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8、90mm相当で狙っている。人と建物、人と看板という組み合わせは、色があってこそこの距離感と立体感が出る気がして、この2枚は自然とプロファイルコントロールスイッチをカラーに合わせていた。

ズームレンズという選択肢

■撮影環境:絞りF4 1/640秒 ISO200 WB:マニュアル
ここまでは単焦点レンズの作例ばかりを並べてきたが、PENと同時に発売されたズームレンズ、M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III にも触れておきたい。自転車で海辺を徘徊中、堤防の先に立つ人影を見つけたとき、単焦点だったら一旦自転車を止め置くという動作のためシャッターチャンスを逃していたかもしれないが、この日はズームレンズを装着していたので、サドルに乗ったまま画角を調整。松のシルエットを手前に残すか外すか、レンズを回しながら決められるのは、単焦点にはない自由さである。また、海辺は特にセンサーへのダメージが気になるところ。いくら SSWF が搭載されているとはいえ、海辺でのレンズ交換は避けたいものだ。
カメラも気持ちも身軽にテンポよく
この3ヶ月、PENとともに各地を巡って過ごした日々を振り返ると、バッテリーの残量を気にした場面は少なかったように思う。一度の充電で約400枚という数字は、大きな進化ではないかもしれない。それでも丸一日、電源のことを考えずに歩き続けられたのは、想像していた以上に気持ちを軽やかにしてくれた。
色味よりもモノクロで表現することの方が多かった今回の撮影は、街やレンズ、色といった判断の多さにも関わらず、目の前の景色をどう写すかという一点に迷いなく向き合えていたように思う。PENという道具の操作感の良さに、身体がすでに馴染んでいたのだろう。

■写真家:大門美奈(Mina Daimon)
横浜出身、茅ヶ崎在住。作家活動のほかアパレルブランド等とのコラボレーション、またカメラメーカー・ショップ主催の講座・イベント等の講師、雑誌・WEBマガジンなどへの寄稿を行っている。個展・グループ展多数開催。代表作に「浜」・「新ばし」、同じく写真集に「浜」(赤々舎)など。













