ワイドマクロ撮影にも、自撮りにも|タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062) レビュー
はじめに
タムロンの大口径標準ズームレンズ『TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062) 』が2026年10月22日に発売されました。ソニーのEマウントに続きフルサイズミラーレス一眼 ニコンZマウント用のレンズです。広角端では最短撮影距離0.17mまで接近でき、AFは高速・高精度なリニアモーターフォーカス機構VXDを搭載しています。風景や狭い場所を広くとらえることができる20mmの広角側から、スナップなど様々なシーンで使いやすい40mmの標準域までをカバーし、ズーム全域F2.8で明るく、重さは380g、長さは88.7mmの軽量コンパクトなレンズです。

珍しいけれど、ちょうどいい焦点距離
Zマウント用では大口径広角ズームレンズ「16-30mm F/2.8 Di III VXD G2」と大口径標準ズームレンズ「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」が発売されていますが、16-30mmよりもう少し標準域寄りが欲しい、28-75mmより軽くコンパクトに持ち歩きたい、広角ズームレンズをもう1本持って行くのは悩ましいというときに、超広角から標準域をカバーするF2.8の明るいズームレンズは使いやすくちょうどいい焦点距離です。
品のあるデザイン&滑らかな操作感

艶のあるブラック塗装は品がよくフォルムも美しいです。ホールドしやすく、リングラバーの細かい凸凹でグリップも安定感があります。実際に使ってみたところ、ラバーの溝にゴミが付くことがなく、キズや指紋も目立ちにくいと感じました。内部機構に金属パーツを追加しているのでトルク感も良く、ズームは極端に高速でテレ側⇔ワイド側に動かさなければとても静かで滑らかに動くので、動画でピントを送るときもスムースです。
最短撮影距離0.17mmでワイドマクロ撮影、自撮りにも

■撮影環境:絞り優先・F3.5・1/1000s・露出補正+0.7・ISO100・WB晴天
広角側20mmでは最短撮影距離が0.17mm。最大撮影倍率は1:3.8で、被写体にグッと近づいたワイドマクロ撮影ができます。被写体を大きく、背景を広くいれた遠近感のある表現も楽しめます。また、腕を伸ばした距離感で広角20mm側では自撮りをしてもアップになりすぎることなく背景も一緒に写せるので、動画系クリエイターの方にもおすすめなレンズです。
TAMRON Lens Utilityでカスタム

別売のTAMRON Connection CableやTAMRON-LINKを使ってパソコンやスマートフォンと接続し、動画や写真撮影の機能をレンズに割り当て操作できます。Zマウントは一部制限もありますが、星景撮影のピント合わせをサポートする「アストロFC-L」やフォーカスを一定速度で移動させる「A-Bフォーカス」など便利な機能があります。
城と島でスナップ
先日、愛知県の犬山城と佐久島に行ってきました。城を撮るなら広角ズームも必要になりそうと思いましたが、レビューにふさわしいタイミングなので「TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD」の1本でスナップすることにしました。
カメラはNikon Z8でがっしりボディですが、レンズが軽いので人混みで賑わう場所でも目立ちすぎないスタイルです。レンズが軽くてラク。
この日は天気が良く青空が広がっていました。犬山城へ向かう途中、秋の空を天高くのイメージで縦位置で撮りました。20mmの画角では縦位置でも広がりのあるのびやかな雰囲気を表現することができます。忍者目線のアングルで垣根越しに狙うと一味違う城の風景になりました。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/5000s・露出補正+1.0・ISO400・WB晴天
城の中の狭間のような場所から外を眺めました。ピントを柱に合わせて背景をボカし立体感を強調しています。逆光で黒い柱でしたが、フォーカスは迷わずしっかりとピントが合いました。画角の広さをいかして扉を構図にいれることができたので、その場で覗いている臨場感があります。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F6.3・1/640s・露出補正-2.0・ISO400・WB晴天
天守に上がると、外に出て廻縁をめぐることができました。眺望最高の場所は当然ながらスペースは細くて、雨除けのために少し傾斜しています。高所恐怖症ではないのに、ひゅーんと腰がひけてしまいながら腰の高さぐらいの手摺を手前にいれたフレーミングで、木曽川の向こうまで愛知県と岐阜県の風景をひとつに凝縮しました。狭い場所でも瓦屋根を大きく入れることができてダイナミック。雲の流れも広く動きが感じられます。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F7.1・1/1600s・露出補正+0.7・ISO400・WB晴天

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F10・1/640s・露出補正-0.7・ISO100・WB晴天
城を近くから仰ぎ見るようなアングルで捉えると広角の威力がわかりやすいです。屋根が見切れることなく威風堂々とした佇まいです。
城下町を歩くとインパクトがある「蔵」の文字が。軒先の柿を入れてレンズを向けたアングルに斜光が差し込み、光が降り注ぐ描写になりました。このようなゴーストがでるのはマレなので、むしろ入るとラッキーと思ってしまいます。レトロ感も増しました。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F10・1/200s・露出補正-0.7・ISO100・WB晴天
猫を発見。しばらくすると建物の中に入っていきましたが、隙間からくつろいでいる様子が見えました。可愛いです。カメラを向けて2枚だけサッと撮りました。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/1600s・露出補正+1.0・ISO400・WB晴天
上昇気流に乗ってトビが飛んできました。40mmで雲の表情と一緒に撮ると優雅に感じます。実際はスピードが速く、追い続けて撮っています。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F4.5・1/1000s・露出補正+0.7・ISO100・WB自然光オート
その空を撮っている人達を撮っている様子を撮りました笑。対角線上に広がる雲の動きと合わせて楽しそうな瞬間を20mmで状況をすべて写し出す楽しいスナップになりました。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F11・1/250s・露出補正+1.0・ISO100・WB晴天
アート作品を正面からシンプルに青と白の世界を見つめるように捉えました。平面の描写も美しく、ペンキの塗り直しや擦れた場所も緻密に描写できています。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/5000s・露出補正+1.0・ISO100・WB晴天
写真を撮っていると出遅れてしまいがちですが、おかげでいいシーンに出会えました。歩いていく様子を後ろから広角で撮ると生い茂る木々がトンネルのようになり、木漏れ日のグラデーションで心地よい気配を強調することができました。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F18・1/125s・ISO560・WB晴天
カメラ側で「ヴィネットコントロールを標準」「自動歪み補正をON」、絞りF2.8の広角20mmで撮ったところ、ススキに色収差は見られず、水面の玉ボケにほんのわずかに色の輪郭がありますが拡大しないとわからないレベル。丸く自然なボケ感で輝いています。

そういえばカラフルな写真を最後に。順光で撮ってみたら、色鮮やかな中に細くもしゃもしゃと絡みつく枝の動きが強調できて不思議な描写感になりました。ファンタジックで絵本の世界のようです。

■撮影機材:Nikon Z8 + TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)
■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/640s・露出補正+1.0・ISO100・WB晴天
まとめ
スナップを撮ってみて軽量&コンパクトなレンズは気持ちも軽くなり、気軽にシャッターを押す気分にさせてくれると感じました。犬山城の狭い廻縁からダイナミックな風景や、目のまえに現れた猫の自然な姿、島では砂をワイドマクロ的に、アートや自然豊かな道を臨場感のある光景で捉えることができました。大口径F2.8で暗いシーンも画質をキープでき、ボケのある柔らかい雰囲気重視の描写やコントラストの効いたシャープな描写も高画質。広角から標準域までをカバーする20-40mmは使いやすく、表現の幅も楽しめるズームレンズです。
■写真家:ミゾタユキ
猫や日常、旅先でみつけた情景を作品として撮り続け、近年では2023年Nikon THE Galleryで「Pastel~夢をめぐる」、2024年FUJIFILM HoP Galleryで「Time to cross」個展を開催。カメラ誌やWEBでの執筆、カメラメーカーのセミナー講師、フォトコンテストの審査などを通じて写真の楽しさを伝える活動にも携わる。著書「カメラでパチリ へやねこ そとねこ」、共著「美しいボケの教科書」など多数。
撮影会&web講評「フォトプラネッタ」主宰
ニコンカレッジ講師
FUJIFILMメタバースHouse of Photographyアンバサダー
日本作例写真家協会会員【JSPA】












