この実力でエントリーモデル?キヤノン EOS R8 Mark II レビュー
はじめに
小型・軽量なフルサイズミラーレスカメラ、キヤノン EOS R8 Mark IIが新登場しました。趣味ユーザー向けの位置付けながら、約2420万画素のCMOSセンサーを搭載し、高い解像感と豊かな階調表現を実現しています。携帯性や扱いやすさを重視しながらも、描写性能に妥協はありません。ハイアマチュアはもちろん、プロカメラマンも十分に納得できる実力を備えた一台といえるでしょう。
その実力を確かめるため、今回はキットレンズのRF24-105mm F4-7.1 IS STMとRF45mm F1.2 STMの2本のみを使ってスナップ撮影をしてみました。
デザインと操作性
ボディーの質量は、バッテリーとカードを含めて約546g。小型・軽量なフルサイズミラーレスカメラとしての携帯性の高さも魅力的です。従来のEOSシリーズのイメージを刷新する新デザインは、実は1987年に発売されたEOSシリーズ第1号機「EOS 650」に着想を得ているそうです。これまでの丸みを帯びたEOSシリーズとはひと味違うシャープなフォルムが印象的。個人的にもこのデザインは好みです。

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f14 1/400秒 ISO200 焦点距離70mm
マルチコントローラーが新たに搭載され、ファインダーを覗きながら親指でAFフレームを移動できるため、実際に使用してみるとやはり便利でした。
手の大きい人にはうれしいアクセサリーとして、エクステンショングリップEG-E2も用意されています。装着したままバッテリー交換ができる点も便利でしょう。個人的には装着なしで小型軽量という本来の魅力を生かして使いたいのが本音です。
ボディー内手ブレ補正
EOS R8には搭載されていなかったボディー内5軸手ブレ補正が採用されています。レンズ内手ブレ補正の有無にかかわらず補正が働き、手ブレ補正機構を搭載したRFレンズでは、ボディーとレンズの協調制御によってより高い補正効果が得られます。静止画撮影時の補正効果は、中央で最大7.5段、周辺で最大7段と驚異的な数値です。
実際に撮影してみると、RF45mm F1.2 STMではシャッター速度2秒でもブレを抑えた写真を撮影することができました。私のホールドが甘いのかもしれませんが、人によってはさらに遅いシャッター速度でもブレずに撮れるかも。一方、RF24-105mm F4-7.1 IS STMの105mmでは、頑張ってホールドすれば1秒でもブレを抑えられましたが、成功するまでにはかなりの枚数を撮影。手ブレ補正の効果は十分に実感できたものの、私が手持ちスローシャッターを使いこなすには、もう少し訓練が必要かもしれません。

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:f9 2秒 ISO100 焦点距離45mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f6.3 1秒 ISO400 焦点距離24mm
連続撮影機能とプリ連続撮影
EOS R6 Mark IIIと同様に、電子シャッター使用時には最高約40コマ/秒の高速連続撮影が可能です。AF・AE追従に設定し、動きの速い動物やスポーツ、人物撮影など、決定的な瞬間や一瞬の表情を逃したくない場面で威力を発揮します。
さらに便利なのが、シャッターを押す直前の瞬間まで記録できる「プリ連続撮影」機能。シャッターを押したタイミングから最大20コマ分さかのぼって記録できるため、予測しにくい動きをする被写体の撮影時に期待できます。RAWにも対応しているのは嬉しいです。
実際に飼っているインコを撮影してみたところ、これがなかなかいい具合に撮れました。動き出す瞬間を予測してシャッターを切るのは難しいものですが、この機能があれば思いがけない動きや羽ばたきもしっかり捉えられます。




AFとトラッキング性能
デュアルピクセル CMOS AF IIが搭載され、ディープラーニング技術を用いたアルゴリズムによって被写体を検出し追従します。AFアルゴリズムも一部改善され、EOS R8と比べて主被写体を粘り強く追従できるようになりました。
実際に飛行機やカラス、スケートボードに乗る人物を追ってみると、いずれも食いついて離れません。動きのある被写体でもAFが追従してくれるので、ピント合わせに気を取られずに撮影に集中できます。普段なら見送ってしまいそうな動きのある被写体にもちょっとカメラを向けてみたくなりました。

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f7.1 1/4000秒 ISO6400 焦点距離85mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f5.6 1/640秒 ISO200 焦点距離60mm
フィルム調カラーフィルター
EOS R8 Mark IIでは、新たにネガフィルム調とポジフィルム調の2種類が追加され、全16種類のカラーフィルターが選べるようになっています。さらに、フィルターの効果量を11段階で調整できるため、好みに合わせた色づくりが可能です。ファインダーを覗きながら設定を切り替えられるのも、撮影の流れを止めずに使えて便利でした。
フィルム調の色味や独特な風合いは撮影後にPhotoshopでフィルム調の色味を再現しようとしても、思いどおりに仕上げるのは意外と難しいものです。その点、撮影時に直感的に色味を選べるのはうれしいところ。作品づくりに本格的に取り入れるというより、まずは遊び感覚で楽しんでみたい機能と感じました。
欲を言えば、静止画撮影時はRAW+JPEG記録でも使えると有難い。現状ではJPEGのみの設定にする必要があるため、通常のピクチャースタイルに戻す際には、フィルターの設定を切り替えたうえで、記録画質もRAWに戻さなければならないのが難点でした。実際、RAWに戻すのを忘れて、そのままJPEGだけで撮り続けてしまうことがあったのは事実です。フィルターを気軽に楽しみつつ、普段の撮影スタイルにもスムーズに戻れるよう、今後の改善に期待したいと思います。

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f7.1 1/80秒 ISO400 焦点距離102mm
高感度撮影
静止画撮影時の常用ISO感度は、ISO100~102400を実現しています。光量の少ないシーンでの撮影にも対応できます。夜のスナップや暗い室内など光が限られている場面でも、撮影の幅が広がりそうです。ISO感度を上げればシャッター速度を速くできるため、手ブレを抑えたり、動きのある被写体を捉えたりする際にも有効です。一方で、感度が高くなるにつれて細部の描写やノイズにどのような変化が現れるのか、実際に感度を変えながら撮影し、階調や画質の破綻など実用上どこまで使えるのかを確認してみました。





■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f7.1 1/160秒 ISO25600 焦点距離40mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f11 1/400秒 ISO65535 焦点距離42mm
動画撮影
動画撮影でも、美しい描写が楽しめます。録画中は正面の赤いタリーランプが点灯し、撮影者側の画面にも赤枠が表示されます。実は以前、自分が話している様子を撮影しようとして、RECボタンを押したつもりが録画できていなかったことがありました。撮れていると思い込んでいたぶん、気づいたときのショックは大きいもの。こうしたうっかりミスを防げるのは、地味ながらもうれしいポイントです。
カラーフィルターを使えば、映画のワンシーンのような色調も手軽に表現できます。さらに、クリエイティブアシストでは背景のボケ具合を簡単に調整可能。細かな設定に悩まず、映像の雰囲気づくりに集中できるのも魅力です。これからはもっと気軽に動画を楽しめそうです。
最後に、街を歩いて感じたEOS R8 Mark IIの実力
最後にEOS R8 Mark IIと2本のキットレンズで、下町を中心にスナップ撮影した写真をご覧いただきたいと思います。
小型・軽量なボディーは持ち歩きやすく、気になったものがあればすぐにカメラを向けられます。手ブレ補正や高速連写、進化したAFなど、至れり尽くせりの機能も備えられ、街の何気ない風景から動きのある被写体まで軽快に撮影を楽しめました。気負わず持ち出せるのに、撮影の幅は広がります。
地味ながら便利だと感じたのが、2本のキットレンズでレンズキャップを共用できること。フィルター径が同じなので、フィルターも使い回せます。こうした細かな使い勝手のよさも、日常的に持ち歩くカメラとしてうれしいポイントでした。

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f13 1/500秒 ISO200 焦点距離31mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f11 1/500秒 ISO200 焦点距離24mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f5.6 1/1600秒 ISO200 焦点距離54mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f7.1 1/320秒 ISO200 焦点距離88mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f13 1/320秒 ISO400 焦点距離65mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f11 1/15秒 ISO400 焦点距離57mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f4.5 1/60秒 ISO200 焦点距離35mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:f4.5 1/160秒 ISO400 焦点距離45mm

■撮影機材:キヤノン EOS R8 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:f1.2 1/200秒 ISO400 焦点距離45mm
■写真家:鶴巻育子
1972年東京生まれ。写真家。1997年の1年間渡英し語学を学ぶ。帰国後周囲の勧めで写真を学び始めた。執筆や講師など幅広く活動する一方、 Jam Photo Galleryを開設し、著名写真家の企画展やアマチュア育成にも力を注ぐ。国内外のストリートスナップで作品発表や視覚障害者を取材し「みること」をテーマとした作品にも取り組む。2023年第31回林忠彦賞最ノミネート、2025年第44回 土門拳賞最終ノミネート、2025年第33回林忠彦賞受賞。























