キヤノンの小型軽量フルサイズカメラ EOS R8 Mark IIの実力
はじめに
こんにちは。杉本です。
本日はCanonの新しいカメラEOS R8 Mark IIのレビューです。
まだ発売前ですが、お借りして使ってみたのでレビューを書いていきます。
いつもの僕のレビュー形式どおり、スペックよりは実際に使った感触を中心に進めていく予定です。言及すべきことがたくさんあるカメラですので、なかなかの読み応えになる気がしますがどうぞお付き合いください。よろしくお願いします。
基本的なスペック
EOS R8 Mark IIは名前からもわかる通りEOS R8の後継機です。そもそもR8は小型軽量ながらフルサイズを実現したカメラです。R8 Mark IIは小型軽量はそのままに、その性能が向上した後継機として登場しました。もちろんフルサイズです。
有効画素数は2420万画素で変わりはないものの、大きく変わったのは手ブレ補正とJPEG撮影におけるカラーフィルターの搭載です。その他の点でも正統な進化をしてますが、特にこの2点においては感動的でした。細かい話や、他の進化についても後述しますが、まずはこの2点は大きな変化点として記しておきます。
例の如く公式ページへのリンクも記載しておきます。細かい仕様は公式が最強です。
https://personal.canon.jp/product/camera/eos/r8mk2

■撮影環境:1/200 F1.2 ISO100
カラーフィルターBrightWhite50%使用
実際に持った感じ
重量はバッテリーやSDカードを含め546gです。フルサイズ機の中ではかなり軽量な部類に含まれますね。実際に手に持った感じも相当小さく、軽く感じます。見た目はEOS 650という1987年発売のカメラをイメージして制作されたそうです。おそらく当時は相当モダンなカメラとして誕生していますが、過去のエンジニアリングをリスペクトする姿勢がメーカーから感じられるのはカメラファンとしても嬉しい限りです。
僕は手が小さいのでそのままでも持ちやすいですが、カメラには一定のサイズがほしいという方もいらっしゃいます。今回はグリップ性を高めるための純正アクセサリーである「エクステンショングリップ EG-E2」も発売されます。グリップをしたままバッテリーが交換可能になっていたり、実用性に影響なくグリップ性を調整可能です。
https://personal.canon.jp/product/camera/accessory/grip-eg-e2

■撮影環境:1/160 F5.6 ISO100
AFの感触

■撮影環境:1/4000 F1.6 ISO100
カラーフィルターStoryTeal&Orange40%使用
デジタルカメラのレビューをする際にはなるべくAFについて言及するようにしています。昨今のカメラの開発はもとより、使用者にとって非常に大切な機能だと考えているからです。実際に使用してみた身としては速いですし実用において全く不満はなかったです。贅沢な話で僕自身がもう高速AFに慣れてしまったので驚きもないのですが、よほど特異な被写体を撮る方でなければまず問題ありません。
公式のページを見るとAFの機能や性能は非常に拡張されています。人物の顔を登録したり被写体を粘り強く追いかけ続けてくれるという強みも記載されています。
僕自身はそこまで激しい被写体で試せていません。ただ、若い頃はスケートボードをしていたのでBMXやスケートボードの動きの速さはわかります。公式作例のように動きに追従できるのであれば、かなり心強いAFだと思います。10年くらい前は僕の撮影技術も今ほどではないですし、暗さも相まってAFでは難しかったので置きピンで友達を撮ったりしてましたから、本当に信じられない進化です。
強力な手ブレ補正
この手ブレ補正は素直に驚愕です。中央部で最大7.5段、周辺7.0段の手ブレ補正を搭載しています。ボディ内手ブレ補正なのが優秀で、レンズに手ブレ補正がなくとも恩恵を受けることが可能です。商品ページの特徴の中に細かい説明があるので興味のある方はそちらもご覧ください。ここでは実際に使ってみた写真を交えて見ていきましょう。

■撮影環境:1/25 F1.2 ISO100
こちらの写真は陽が落ちた後に灯台を撮影したものです。シャッタースピードが1/25、レンズには手ブレ補正は搭載されていません。僕は人物撮影以外ではシャッターボタンを指で押し込んだ時にブレるのを防ぐため、連写にしておいて押しっぱなしにした2枚目を使うという対策をよくするのですが、こちらの写真は1枚目でも全くブレていませんでした。

拡大したものです。線が全くブレることなく写っています。
気分的にはブレたらISO感度を上げてシャッタースピードを稼げばいいかなという感じでシャッターを切ったのですが、バッチリ写してくれました。F1.2の恩恵もあり暗いシチュエーションでも撮ってくれるのは嬉しいですね。ISOを上げれば当然シャッタースピードは速くできますしノイズもかなり目立たないのですが、カメラ初心者の方が細かい設定を抜きに撮れるのは嬉しいポイントかなと。良い意味で雑に撮れる方が楽しめます。慣れてきたり、すでにカメラに詳しい方は追い込んで撮影しても良いと思います。このレベルの手ブレ補正をEOS R8 Mark IIに搭載してくるあたり、Canonの写真やカメラを機材の性能に制限されず楽しんでほしいというスタンスが見えるようで好感が持てます。
豊富なカラーフィルター

■撮影環境:1/2000 F2.0 ISO100
カラーフィルターTastyWarm60%使用
EOS R8 Mark IIにはJPEG撮影時に使用可能な全16個のカラーフィルターが搭載されています。特徴的なのはそれぞれのフィルターにおいて効果量が調整できることです。効果量は0%〜100%まで10%ごとに調整可能で、ホワイトバランス等と組み合わせることで撮って出しの段階で独自の表現にアプローチが可能です。また、モニターやEVFの発色がいいので撮っている最中にフィルターを変える楽しさがあります。その場その場でマッチするものを探すのが楽しく、操作も簡単な点もおすすめポイントです。
真ん中のSETボタンを押したらあとは横ボタンを押すだけでフィルターの種類を変えることが可能です。手間なくフィルターを変えて色味やコントラストを確認できるので、撮影時のテンポを損なうことなくストレスフリーな体験が可能です。
※カメラのボタンはカスタマイズが可能で、特定のボタンに特定の機能を持たせることができます。ご自身の好みの設定で利便性を追求できるのでよく使う機能がある方は使ってみてください。

■撮影環境:1/4000 F1.2 ISO100
カラーフィルターTastyCool10%使用

■撮影環境:1/4000 F1.2 ISO100
カラーフィルターTastyCool50%使用

■撮影環境:1/4000 F1.2 ISO100
カラーフィルターClearAmber50%使用

■撮影環境:1/4000 F1.2 ISO100
カラーフィルターStoryTeal&Orange50%使用
全種類載せられるわけではないですがいくつか撮り比べてみました。
効果量と種類のバリエーション数が10%刻みで16種類ですから、好みのフィルターや適用量を探すのも面白いです。
右手周りの操作性
このカメラは右手周りにほとんどの操作ボタンが集約されています。両手を使わず完結するのは写真を撮る上で意外とありがたい仕様です。不慣れなうちはどんなカメラでも操作しにくいのは当然ですが、慣れた時には本当にありがたいです。特定の指の動きを覚えると撮影や確認の操作がシンプルでストレスなくカメラをコントロールできます。覗いたまま色んな操作が完結できるので使い込むほど手に馴染んでくるはずです。

■撮影環境:1/1000 F1.4 ISO100
気になるポイント
新作のカメラですし、実際に撮影していますからあまり不満という不満はないです。ですが、他と比べてここが弱い等の情報を一切書かないレビューにはあまり信用がおけないと思うので書いておきます。強いて言えばバッテリーが小型なことでしょう。R5やR6のような本格機に比べるとバッテリー容量は小さいです。何時間も回しっぱなしにしたいとか、寒冷地で一晩使いたいみたいな方には向かない可能性があります。またカラーフィルターはJPEGのみの時しか使用できません。ここは賛否両論あるところでしょう。僕自身は仕事等の撮影では基本RAWを使いますし現像もします。日常的な写真ではカラーフィルターを活用したら良いというシーンも多いので使い分ければ良いと考えているタイプですが、RAW+JPEGでも使えたら良いのにという方もいるでしょう。カラーフィルターをOFFに切り替えないとRAWに切り替えられない点も最初は気になったのですが、先述した右手の操作周りの簡潔さから数日使ってみたらそれは気にならなくなりました。
キットレンズで単焦点が選べる

■撮影環境:1/3200 F1.2 ISO100
ボディ単体の販売はもちろんのこと、RF24-105mm F4-7.1 IS STMという標準ズームがついたレンズキットがあります。そしてもう一つのパターンとしてRF45mm F1.2 STMという単焦点レンズがついた単焦点レンズキットも存在します。キットレンズが単焦点でしかもF1.2というのは夢の組み合わせです。僕はずっとキットレンズを単焦点にしてほしいと言ってきた立場なのもあり、今回このセットの登場を本当に嬉しく感じています。これは本当に素直に褒めちぎりますね。このセットは抜群に良いです。レンズをつけた時のバランスもボケ味も楽しさも心から称賛しておきます。まさかキットレンズにこのレンズを持ってくるとは、驚きましたし、素晴らしい試みだと思いました。
ちなみにこのレンズ自体は単体で購入可能なレンズとして少し前に登場したものです。素晴らしいレンズなのでこれはこれでいつかレビューできたら嬉しいですね。今回のレビューでもこのレンズを中心に撮影しています。また、フィルター径が67mmなのでこちらの単焦点のセットを購入する方はフィルターの購入を忘れずに。
初心者向けで終わらないカメラ

■撮影環境:1/1600 F1.2 ISO100
そもそもEOS R8の系統は初心者層やフルサイズデビューに最適なカメラとして市場に登場しています。しかし本格的に写真やカメラに取り組む中でもっと本格的なカメラが欲しくなり、乗り換えるのはよくあることです。カメラ初心者がしっかりと写真にハマっていく道中でボディ側の性能に不満を持つことは少なくありません。しかしこのカメラであれば小型軽量で持ち歩きやすく、かつ性能が高い次元にまとまっていますので長いこと付き合っていける相棒になると思います。書いてきたようにカラーフィルターや手ブレ補正など初心者、中級者が撮影を楽しむのをサポートする機能は充実しています。上級者がカラーフィルターを使いこなしアウトプットまでのワークフローを短縮するのも良い使い方の一つですね。初心者におすすめというよりは成長の過程でカメラを変える必要がなく、初心者から上級者まで一貫して所有できるカメラという位置付けが正確な言い回しになる気がします。画素やバッテリーの都合で大きめのカメラを買い足したとしても小型軽量で普段使いできるため、残しやすいカメラという強みを持っています。小型軽量とは言いますが、見た目の可愛らしさと裏腹にしっかり設計された頼れるカメラでした。ではまた。
■写真家:杉本優也
東京都生まれ東京都在住。妻を撮影し続けている活動がテレビメディアに特集されたことを機に、フォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせる。ライブ撮影やメーカーへの作例提供、機材レビューなどの活動をしている。















