いちねんで一番空を見上げる日 ~佐賀インターナショナルバルーンフェスタ~|平野はじめ

平野はじめ
いちねんで一番空を見上げる日 ~佐賀インターナショナルバルーンフェスタ~|平野はじめ

はじめに

「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」は、1978年、福岡県甘木市(現・朝倉市)で開かれた「バルーンフェスタ・イン・九州」という小さなバルーンミーティングが始まりでした。最初の参加機はわずか5機。その後、佐賀平野へと舞台を移し、2016年の世界大会では国内外からバルーン186機、131万人が集まるほど大きな大会となりました。

佐賀の秋の風物詩として知られるこの大会。
今回は、佐賀市からゲスト招待をいただき、ローンチエリア(競技エリア)の中から観覧・撮影した、ここ数年の写真の一部をご紹介します。

※エリア内からは特別な許可を得て撮影しています。

日常にあったもの

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離24mm SS1/250 F5.6 ISO250 WBマニュアル

佐賀市内に住んでいる人にとって、この時期になると、空を見上げて「今年も上がっているな」と思うくらい、バルーンは日常に溶け込んでいる存在でもあります。
私もその中の一人でした。

思い出

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離64mm SS1/1600 F7.1 ISO500 WBマニュアル

幼い頃から、親父が仕事の関係でバルーンを飛ばしていたこともあり、私にとって気球は、そこまで珍しいものではありませんでした。
記憶の断片をつなぎ合わせ、「バルーンって、こんな感じだったな」と、当時を思い出しながら数十年ぶりに朝霧で湿った芝生の上を歩きました。
そういえば、子どもの頃、ローンチエリアでパイロットの方々からピンバッジをもらって、帽子にたくさんつけたこともあったなぁ。

気球の夜明けは空より早い

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離55mm SS1/1000 F8.0 ISO250 WBマニュアル

空が明るくなる前から、会場は動き始めます。
離陸準備のため、大型車が次々と砂煙を上げながら会場に入ってきました。
決められたエリア内に車を止め、緊迫した空気の中で準備が始まります。

佐賀の秋は空から始まる

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
■撮影環境:焦点距離82mm SS1/800 F9.0 ISO100 WBマニュアル

フライトできるかどうかは、当日にならないと分からない。
活気あるMCの声に耳をすませながら、フライトのジャッジをドキドキしながら待っている。
その裏では、選手も交えてブリーフィングが行われていました。

フライトを願う気持ちは、競技側と観客側は同じなんですよね。
空が明るくなり始める頃には、みな同じ空を見て、胸いっぱいな気持ちです。

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離31mm SS1/2000 F4.0 ISO250 WBマニュアル

太陽の暖かい日差しと、情熱的なバーナー音で、徐々に気持ちも昂ぶります。

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離24mm SS1/400 F8.0 ISO80 WBマニュアル

このシーンをみるといつもサーカスを思いだします。簡単そうに見えますが、送風される風は見た目以上に風圧が強いんですよね。

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離120mm SS1/1600 F4.0 ISO64 WBマニュアル

何度もトラブルに見舞われたウクライナチームの選手ですが、最後まで諦めず、無事にフライトができました。

テイクオフ

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離104mm SS1/1320 F6.3 ISO400 WBマニュアル

競技エリアに立っていると、気球の大きさも、準備する人たちの動きも、これまでとは違って見えてきます。
朝の空気や人の動き、そして空が変わっていく時間の始まりです。

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離120mm SS1/1600 F4.0 ISO250 WBマニュアル

たくさんのバルーンが重なる中、”空の海賊船”を発見しました。

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離24mm SS1/2000 F7.1 ISO250 WBマニュアル

気球が膨らみ、空へ上がっていく姿は華やかで、みな一つの気持ちで空を見上げる、感動的な瞬間。

気球に乗って、空から見た佐賀

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
■撮影環境:焦点距離70mm SS1/640 F8.0 ISO320 WBマニュアル

普段見慣れた佐賀の景色。この日は佐賀の晴れ舞台。
しかし、2024年の大会を思い出してほしいです。(悪天候により中止)
上空から見える景色は、撮影同様 “地上のものさしは通用しない”

そんな当たり前のことを、あらためて実感する時間でもありました。

Have a good flight!

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離26mm SS1/1000 F7.1 ISO100 WBマニュアル

ツウの方は、このワードは知っているだろう。
気球が飛び立つ度に、”Have a good flight!” またはHave a nice flight!”
“行ってらっしゃ~い”とお見送りの祝詞(のりと)をあげるのが佐賀流だ。

人は風を読むけど、風に命令することはできない

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
■撮影環境:焦点距離125mm SS1/800 F6.3 ISO320 WBマニュアル

熱気球は、パイロットが高度によって変わる風を読みながら飛行します。
風を利用することはできても、思いどおりの風が吹くわけではありません。
自然には逆らえませんね。

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
■撮影環境:焦点距離200mm SS1/800 F6.3 ISO200 WBマニュアル

身動きがとれない狭いバスケット(ゴンドラ)の中、被写体となるバルーンの動きを追いながら撮影しました。
自然の条件を見極め、その時々で判断し、協働していかなくてはいけないのです。

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
■撮影環境:焦点距離200mm SS1/800 F6.3 ISO200 WBマニュアル

降下から着地するまでが最も事故が多いらしく、空と陸でのチームワークがあってこそ成立するのだなと思いました。

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離35mm SS1/500 F9.0 ISO100 WBマニュアル

写真いちばん左の女性パイロット吉村さんとBC佐賀夢飛行のチームの皆さん。
搭乗させていただいたバルーンは、韓国のコスメブランド「Charis」のバルーンです。

それぞれの目的

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離120mm SS1/500 F11 ISO160 WBマニュアル

バルーンフェスタは、ただ色とりどりの熱気球が空を彩るイベントだけではありません。

そこには、真剣勝負の競技があります。風を読み、限られた条件の中で判断し、狙った場所へ向かう。
地上から見ているだけではわからない難しさがあり、選手たちは自然と向き合いながら競技に挑んでいます。

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:焦点距離52mm SS1/320 F6.3 ISO500 WBマニュアル

競技の時と違う表情を見せてくれる。”空の海賊船”乗組員か?

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
■撮影環境:焦点距離70mm SS1/2000 F3.2 ISO125 WBマニュアル

競技が中止になってしまっても、ほんの少しの期待を胸にいつまでも待つ人。

写真を通して、佐賀の魅力を伝える

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
■撮影環境:焦点距離70mm SS1/500 F5.0 ISO200 WBマニュアル

佐賀には、バルーンだけでなく、まだ知られていない魅力がたくさんあります。

私は、写真家として活動しながら、佐賀市公認観光アンバサダーリーダーとして、自分なりの視点で佐賀を伝えています。
昨年には、坂井佐賀市長と、バルーンや佐賀について熱く語る機会をいただきました。坂井市長の「佐賀の魅力をもっと伝えたい」という想いを強く感じる時間でした。市長は現在、熱気球操縦士技能証(パイロット免許)取得に向けて、公務の合間をぬって挑戦されています。

写真の気球は坂井市長が搭乗する「ハロ(HALO)」号です。太陽や月の周りに現れる虹のような光の輪「ハロ(HALO)」や、挨拶の「ハロー」にちなんで名付けられました。

写真をきっかけに、佐賀の空を見上げてくれる人が一人でも増えたら。それもまた、写真でできる佐賀の魅力表現の一つなのかもしれません。

写真左、市長との対談。 右、坂井佐賀市長と。

誰かを思い出しながら、見上げる空

■使用機材:ニコン Z9 + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S + Z TC-2.0x
■撮影環境:焦点距離140mm(280mm) SS1/400 F5.6 ISO500 WBマニュアル

2025年の空は、特別なものでした。
大会が始まる約1か月前、闘病中だった母が亡くなりました。
日常が変わってしまったようで、母がいなくなったという実感も、まだ十分にありませんでした。

そんな時期に搭乗した気球。
空に上がれば、なんだか母のそばに近づけた気がして。
誰かを思い出しながら見上げる空。。。

今年もまた、佐賀の空にバルーンが上がります。
自然と熱気球の共演を楽しむのもよし、
真剣勝負のバルーン競技を見てみるのもよし。
いつもとは違う想いで、大切な誰かを思い出しながら見上げてみるのもいいかもしれませんね。

2026年、バルーンがどうか飛びますよーに!

2026佐賀インターナショナルバルーンフェスタ

2026年10月30日(金)から11月3日(火・祝)まで、佐賀市の嘉瀬川河川敷を会場に開催。
国内外から123機もの熱気球が参加する予定です。
競技飛行は、午前7時からと午後15時からの1日2回。
色とりどりの熱気球が空へと舞い上がり、佐賀の空を鮮やかに彩ります。

会場内外では、熱気球競技のほかにもさまざまなイベントや美味しいものが予定されていますよ!
食欲も!芸術も!スポーツも!秋の醍醐味てんこもりな、秋の佐賀ならではの景色とイベントを楽しみに、ぜひ足を運んでみてくださいね!

■会場:佐賀市嘉瀬川河川敷
■開催期間:2026年10月30日(金)~11月3日(火・祝)
■競技時間:午前の部 7:00~/午後の部 15:00~
※天候などにより競技やイベントが中止になる場合があります。

【お問い合わせ】
熱気球大会佐賀運営委員会(佐賀市観光振興課内)
TEL:0952-29-9000
詳細や最新情報は、公式サイトをご確認ください。
https://www.sibf.jp

 

■写真家:平野はじめ
日本有数の麦の生産地佐賀市で育つ。その生命力に魅了され、商標登録を取得。自分探しの渡米で写真に目覚め、帰国後舞台撮影などを経て独立。「廃にでさえ美は存在し、目に見えるものがすべてではない」という視点をもとに、ドローンでも一瞬を切り取る。新聞・ラジオ・TV出演・業界誌執筆や個展開催など、フォトアーティストとしてだけではなく、モデル・タレントとしても活動の幅を広げている。
現在、佐賀市公認観光アンバサダーリーダーも務める。ニコンHPで「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S×平野 はじめ」を公開中。

2023年 ソニー ワールドフォトグラフィーアワード 日本部門賞 第1位  2024年 同部門賞 第2位  2025年 一般公募部門 ライフスタイルカテゴリー 世界第1位
PX3やIPAなど世界的フォトコンテストでも受賞多数。

 

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