旅先こそ、モノクロ。 どんな国でも、写真に集中できるから。山口規子・コムロミホ合同写真展「MONOCROMES」インタビュー

ShaSha編集部
旅先こそ、モノクロ。 どんな国でも、写真に集中できるから。山口規子・コムロミホ合同写真展「MONOCROMES」インタビュー

はじめに

2026年10月2日(金)より、新宿 北村写真機店B1Fベースメントギャラリーで「『MONOCHROMES』山口規子 I was there. × コムロミホ Between Moments 合同写真展」がスタートしました。この写真展は、写真家 山口 規子氏と写真家 コムロ ミホ氏の合同写真展として開催しており、すべてモノクロで撮影された作品が展示されています。

「MONOCHROMES」というコンビを結成してモノクロ写真の魅力を発信を発信しているお二人が感じているモノクロ写真の魅力や、実際に展示している作品を撮影したカメラについて、改めてインタビューを実施しました。

モノクロ写真の魅力を伝える写真家コンビ 「MONOCHROMES」の結成秘話

 

―――お二人の出会いのきっかけは何だったのでしょうか。

コムロ:もともと、山口さんも私もメーカーセミナーや様々なイベントに登壇していたこともあり、互いのことはよく知っていました。さらに距離が近づくきっかけとなったのは、CP+のイベントで二人でトークショーに登壇したことです。ニコン Zfのピクチャーコントロールに新しく搭載された「ディープトーンモノクローム」や「フラットモノクローム」の魅力について中心にお話しするイベントでした。

山口:「せっかくやるなら、面白いイベントにしたい!」という想いから、漫才形式でトークをすることに。せっかくならコンビ名があった方が面白いだろう、ということで「モノクロームズ」という名前を付けました。

コムロ:みなさんにすごく楽しんでいただけたことが嬉しくて、翌年は「徹子の部屋」のパロディを通してモノクロの魅力を語りあいました。実際にウィッグなども着用して・・・。山口さんとのトークショーは、話している私自身も楽しみながら登壇できるので、毎回ワクワクしながら望んでいました。

お仕事でご一緒するうちに、山口さんの作品にだんだんと魅了されて。特に、今回も展示いただいている『I was there.』は私にとって特別でした。写真に写る人々の雰囲気、階調豊かな手焼きの銀塩プリント・・・。この作品を後世に残していきたいと思い、MONOGRAPHYでの写真集の出版をお願いしました。この話を持ちかけるとき、ものすごく緊張していたことを覚えています。

写真左が山口氏の作品をまとめた『I was there.』。コムロ氏が出版を手掛ける
コムロ氏は今回の写真展に合わせて、写真右の新作写真集『Between Moments』も出版した。

山口:写真集を出版したのち、ぜひ『I was there.』の実際のプリントも見てほしいというコムロさんの想いで、コムロさんの運営しているMONOGRAPHYさんで展示させていただきました。その写真展が今回の写真展にも繋がっています。

私が出版した作品もモノクロで、コムロさんも多くの作品をモノクロで撮影していることから、モノクロームズとしてよりモノクロ写真の魅力を伝えていくために、二人で写真展を開催することにしました。

牧歌的な街並みと人々の優しさに包まれて 自分が感じたままに残したい ローライコード

 

―――山口さんの展示作品はどこで撮影されたものなのでしょうか

山口:ルーマニアやハンガリー、クロアチア・・・。東欧の国がメインです。2002年に私が旅をしたときの写真で、ベースメントギャラリーで展示している写真はすべてローライコードで撮影しました。

山口:フィルムはT-MAX100とT-MAX400を使っています。迷いをなくすために、モノクロフィルムのみをもって渡航しました。空港での手荷物検査をスムーズに通貨するために、パトローネからすべて外して持っていったことを今でもよく覚えています。撮影に出た時期が2002年ということもあり、デジタルカメラの普及がまだまだだったこともありますが、やはり一枚一枚の重みがしっかりと載るフィルムでの撮影は正解でした。

山口:ローライコードで撮影する醍醐味は、なんといってもウエストレベルファインダーを覗きながら撮影すること。撮影時に相手と目が合うことがないので、威圧感を与えずに撮影することができます。アイレベルより下の位置から撮影するので、私の場合は優しい雰囲気の作品になった印象です

撮影時を再現する山口氏。ウエストレベルでの撮影は、アイレベルの撮影とは違った趣があると語ってくれた。
ルーマニアで撮影した男性。
出会ってすぐにこの笑顔!撮るしかない!と思って、シャッターを切った1枚とのこと。

―――山口さんにとって、モノクロの魅力を一言で表すと?

山口:一言で表すと、「光と影の作り出す画の美しさ」です。色がない分、光と影の表情に集中できます。私の今回の作品はドキュメンタリー的な要素が強く、「ルーマニア」を表現するためには、立ち並ぶ家々、そこで暮らす人々の表情、生活の中で使われている道具など、さまざまなシチュエーションを撮影しなければいけませんでした。被写体の質感や表情を通して空気感を表現するためには、できるだけ余計な要素をそぎ落とす必要があります。私にとっては、「色」という要素をそぎ落とした「モノクロ」という手法が最も合っていたと思います。

ルーマニアの草原の台所で昼食の用意をしているところを撮影。
左側の男性の視線と無心にじゃがいもの皮を剥く二人の対称性が印象的だ。

パリの街並みの中で人々のファッションに目を奪われて LUMIX GF10+LUMIX LEICA DG 15mm F1.7

 

―――コムロさんの写真はパリで撮影されたものですよね。なぜパリで撮影を?

コムロ:パリといえばなんといってもファッションの街。街ゆく人々のお洒落な着こなしを撮影するのが楽しくて、何度か足を運んでいます。今回は、洋服の特徴が際立つ冬に訪れました。山口さんのドキュメンタリー写真に対して、私はストリートスナップを目的に渡航したので、できるだけ小さくて機動力のあるLUMIX GF10にLUMIX LEICA DG 15mm F1.5を付けて撮影しました。展示に使用している写真の多くはこの組み合わせで撮影しています。一瞬も逃したくない撮影にはうってつけの機材でした。

コムロ氏が撮影に使用したLUMIX GF10。
非常に軽量でコンパクトだが、描写力は抜群だと教えてくれた。

―――コムロさんにとって、モノクロの魅力を一言で表すと?

コムロ:私にとっては、「主題が明確になる写真が撮れること」です。街にカメラを向けたとき、色の主張が強いものに惑わされることなく、そこで暮らす人々の様子に集中できます。また、曇天の多いパリの街並みは、カラー写真で表現するとどうしてもやや地味な印象を受けることも多いのですが、あえてモノクロで撮影することで、曇り独特の光の柔らかさを活かした作品にすることもできます。また、写真を見る人にとっても想像力が膨らむ一枚を作り上げることができるのも楽しさのひとつです。

MONOGRAPHYで同時開催中の写真展で展示した作品。夜の作品がメインでセレクトされている。
光の美しさと、静けさを感じせるドラマティックな一枚。
ベースメントギャラリーでは昼の写真をメインに展示。
コムロ氏は何度もパリに訪れているが、雪が降ったのはこの写真を撮影した一日のみだという。

 

大好評につき会期延長!山口規子・コムロミホ合同写真展「MONOCROMES」

・日時:2026年10月2日(水)~10月18日(日) 10:00 ~ 21:00
・場所:新宿 北村写真機店 B1F ベースメントギャラリー
・住所:東京都新宿区新宿3丁目26-14 [地図はこちら]
・入場料:無料
・ホームページ:https://www.kitamuracamera.jp/ja/information/exhibition/monochromes-2026/

写真家プロフィール

山口 規子(Noriko Yamaguchi)

栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。文藝春秋 写真部を経て独立。女性誌や旅行誌を中心に活動。「イスタンブールの男」で第2回東京国際写真 ビエンナーレ入選、「路上の芸人たち」で第16回日本雑誌写真記者会賞 受賞。東欧をモノクロフィルムで捉えた写真集「I was there.」や柳行李職人を撮り続けた写真集「柳行李」、日本の林業に興味を持ち、青森のキコリを追い続けた写真集「KIKORI 木は長い夢を見る」などがある。料理本や暮らしに関する撮影書籍も多数。旅好き、ネコ好き、チョコ好き。 公益社団法人日本写真家協会 副会長

 

コムロミホ

文化服装学院でファッションを学び、ファッションの道へ。撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。アシスタントを経て、現在は広告や雑誌で活躍。街スナップをライフワークに旅を続けている。カメラに関する執筆や講師も行う。またYouTubeチャンネル「カメラのコムロ」でカメラや写真の情報を配信中。カメラや写真が好きな人が集まるアトリエ「MONO GRAPHY Camera & Art」をオープン。

 

 

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