ニコン NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7で描く日々のスナップ

ニコン NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7で描く日々のスナップ

はじめに

NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7は、NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8に続くNikon Zシリーズのマイクロレンズで、今回初のDX(APS-C)フォーマット対応レンズとなります。マイクロレンズは被写体を大きく捉えることができる点が大きな特徴ですが、35mm判換算で約52.5mmの単焦点レンズとして日常の様々な場面でも使うことができます。今回は日々の写真を通してこれらの特徴をご紹介します。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/2.5, 1/800秒, +1.0段, ISO 200, WB 5880K, PC:ビビッド

最短撮影距離0.16m、等倍相当の撮影倍率

本レンズの最大の特徴のひとつが最大撮影倍率が1:1(等倍)相当である点です。センサー上に被写体を実物大で捉えることができる場合を「1倍=等倍」と呼び、本レンズの実際の撮影倍率は0.67倍なのですが、センサーサイズがFX(フルサイズ)よりも一回り小さなAPS-C規格のもの用のため、0.67×1.5=1.005、つまり等倍相当となります。これにより、お花のしべや昆虫の目、アクセサリーなどを精彩に描写することが可能です。

また、単焦点レンズで最大限に被写体を大きく捉えるということは、可能な限り被写体に近づいて撮影するということですが、本レンズにおいてこの時のセンサー面と被写体との距離(最短撮影距離)は0.16m(16cm)。尚、レンズ先端から被写体のピント位置までの距離(ワーキングディスタンス)だと約7cmと、かなり被写体に寄って撮ることができます。

本レンズを持って夕方の桜を撮りに行きました。中央のしべの先端には粘着力がありそうな様子が見て取れます。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/2.8, 1/1600秒, +0.7段, ISO 100, WB曇天, PC:ビビッド

植物園の温室で、なんとも可愛らしい「くるくる」を見つけました。マイクロレンズで撮ると、表面のうぶ毛のようなものがびっしり生えていることがわかります。

■撮影機材:Nikon Z50 II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/2.8, 1/500秒, +0.7段, ISO 200, WB 5880K, PC:スタンダード

室内で小さな色鉛筆セットに、最短撮影距離まで寄って撮影。鉛筆の表面の削り跡に思わず見入ってしまいました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/8.0, 1/100秒, +0.3段, ISO 400, WBオート, PC:スタンダード

F1.7の開放F値

本レンズの開放F値はF1.7。ですが、実際に撮影してみると、「あれ?F1.7に設定したはずなのにもっと大きな数値になっている……」といったことがよくあります。この「実効F値」については以前のNIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sの記事で解説しているためここでは割愛させていただきますが、要するに近接撮影時には暗く(少々F値が大きく)なるよ、ということです。逆に単焦点レンズとして遠くの被写体にピントを合わせる場合にはF1.7が使えるため、暗所でのスナップ撮影などで威力を発揮してくれます。

暗所での撮影、で思いついたのが水族館!最近、水族館での撮影では50mm前後の画角を持つ明るいレンズが使いやすいと感じていたのですが、本レンズは35mm判換算で52.5mm相当であり、まさに最適です。さらに最短撮影距離が短いため、魚が近づいてきても撮影できる点でも、水族館撮影に適したレンズだと感じました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/2.4, 1/320秒, -0.7段, ISO 800, WBオート, PC:スタンダード

身体の中が透けて見える不思議な魚(ナマズの仲間だそうです)は、光の当たり具合によって虹色に輝き、とても綺麗でした。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/2.8, 1/125秒, -1.7段, ISO 800, WBオート, PC:スタンダード

多くの水族館でチンアナゴとニシキアナゴ(とてもよく似ているのに、実は全く別の種類の生き物だそう……驚き!)は同じ水槽で展示されていることが多いですが、ここの水族館ではさらにタツノオトシゴも同居していました。

そんな中で、タツノオトシゴに絡まれたニシキアナゴを発見。しかも1匹だけでなく、あっちでもこっちでも絡まれていて、みんなちょっと迷惑そう……?ですが、そんなに強い力で締め上げられているわけではないようで、いい加減どっか行ってほしいなー(と思ってかどうかは知りませんが。笑)という時はしゅるしゅると地面に潜るとタツノオトシゴは置いてきぼりとなり、ゆらゆらと水中を漂いながら次の相手を探しに行くのでした。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/2.0, 1/200秒, +0.7段, ISO 800, WB10000K, PC:ビビッド

夕暮れ時の山あいの道はあっという間に暗くなります。駅に向かって戻る道すがら、目の前の斜面に山桜が現れました。ピントを山桜に合わせるとF値はF1.7のままに。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/1.7, 1/60秒, -0.7段, ISO 640, WB晴天日陰, PC:ビビッド

開放F値が小さいと、それだけボケも大きくなるという特徴があります。花壇の西洋サクラソウを前ボケを入れて全体的にふんわりと撮ってみました。

室内でのマイクロレンズ撮影

遠近両方のピント合わせが可能な本レンズは室内でのテーブルフォトの場面でも活躍してくれます。
 
先ほどの色鉛筆を俯瞰で撮影。ピント位置を自在に変えられることから、被写体に寄ったり引いたり自由に構図を変えて撮る楽しさがあります。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
ー撮影環境:Aモード, f/8.0, 1/30秒, +0.3段, ISO 400, WBオート, PC:スタンダード

ひと口サイズのミニタルトも、マイクロレンズだからこそ寄って大きく撮れるとともに、パン皿サイズのお皿に3つまとめてのせて撮ることもできました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/4.0, 1/80秒, +1.3段, ISO 200, WBオート, PC:スタンダード
■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/8.0, 1/40秒, +1.3段, ISO 400, WBオート, PC:スタンダード

インドやパキスタンでの炊き込みごはんともいえるビリヤニを食べに行きました。このように、レストランやカフェでのちょっとした撮影にもぴったりなレンズです。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/2.0, 1/100秒, ±0段, ISO 800, WBオート, PC:スタンダード
■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/2.0, 1/125秒, ±0段, ISO 800, WBオート, PC:スタンダード

マイクロレンズで撮る日々のスナップ

近接撮影専用と思われがちなマイクロレンズですが、これまで見てきた通り近くにも遠くにもピントを合わせることができる、むしろ遠近両用レンズといえます。そこで本レンズとともに出かけた先(といっても近隣ですが)でのスナップをご紹介します。

こぢんまりとした動物園を訪れたのですがリニューアルに向けた工事中で、仮住まい中の羊たちを柵越しに撮影。柵の存在感を消すために絞りはできるだけ開いてボカして撮影しました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/2.0, 1/1600秒, +1.0段, ISO 100, WB 5880, PC:SetouchiBlue

大阪府池田市にある池田城跡公園からの光景ですが、マイクロレンズが接写専用にあらず、ということがよくわかる1枚です。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/9.0, 1/320秒, +0.7段, ISO 200, WB自然光オート, PC:ビビッド

散策途中に立ち寄ったお寺に素敵な池がありました。新緑の緑と鯉の赤を綺麗に描写してくれています。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/8.0, 1/160秒, -1.0段, ISO 400, WB自然光オート, PC:ビビッド

散り始めの桜を浮かべた公園の池も、50mm相当の画角故に肉眼での印象と違和感なく撮影することができました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/8.0, 1/320秒, ±0段, ISO 400, WB自然光オート, PC:Hidamari

街なかで気になった光景をスナップ。水族館を出た後で本レンズが装着されたままだったのですが、ISO感度を下げるなどのカメラの設定を変えるだけでそのままスナップ撮影に切り替えることができました。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, f/1.8, 1/800秒, +0.7段, ISO 100, WB自然光オート, PC:Hidamari

雨の日の1枚。ここは軒下ではあるものの、防塵・防滴に配慮した設計となっているため、雨の日も臆せず持ち出すことができます。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, F2.8, 1/80秒, -0.3段, ISO 800, WBオート, PC:スタンダード

まとめ

マイクロレンズとして等倍相当までの大きさの切り取りを、最短撮影距離が0.16mまで被写体に寄っての近接撮影ができる一方、開放F値F1.7、35mm判換算で52.5mm相当の明るい単焦点レンズとして使うことができるという点が大きな特徴です。

被写体を大きく写せるマイクロレンズでありながら、遠近両用で小型・軽量、さらに価格も比較的手頃であることから、マクロ撮影という特殊な撮影のみならず、日常使いのレンズとしてもおすすめです。DX規格のZシリーズユーザーで旅行の際に荷物を極力減らしたい方へ、NIKKOR Z DX 18-140mm F/3.5-6.3 VRと本レンズの2本体制は、個人的に最適解の組み合わせとしてぜひ提案したいです。

■撮影機材:Nikon Z50II + NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
■撮影環境:Aモード, F2.8, 1/1600秒, +0.7段, ISO 100, WB自然光オート, PC:スタンダード

 

 

■写真家:クキモトノリコ
学生時代に一眼レフカメラを手に入れて以来、海外ひとり旅を中心に作品撮りをしている。いくつかの職業を経て写真家へ転身。現在はニコンカレッジ、OM SYSTEM ゼミ講師、専門学校講師の他、様々な写真講座やワークショップなどで『たのしく、わかりやすい』をモットーに写真の楽しみを伝えている。神戸出身・在住。晴れ女。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員

 

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