ニコン NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7 レビュー|開放値F1.7!コスパの良すぎるマイクロレンズ
はじめに
2025年10月に発売されたニコンの「NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7」は、APS-Cサイズ(DXフォーマット)用のマイクロレンズです。お手頃な価格と高い性能が相まって人気の本レンズを、ニコンZマウントのマイクロレンズはすべて使用したことのある筆者が、スナップ作品と共にレビューいたします。
DXフォーマット初のマイクロレンズ!

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/2) 1/800秒 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード ADL:標準
ニコンは等倍撮影のできる自社のレンズを、マクロではなくマイクロレンズと呼んでいます。本レンズも、最大撮影倍率0.67倍で等倍相当(35mm判換算)の撮影が可能なので、レンズ名に「MC(マイクロニッコール)」がついています。
現在ラインナップされているZマウントのマイクロレンズは「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」と、「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」があります。どちらもフルサイズ(FXフォーマット)用なので、APS-Cサイズ(DXフォーマット)用のマイクロレンズは初登場となります。
焦点距離は35mm判換算で52.5mmとなり、使いやすい標準画角です。レンズ構成は7群8枚(ED非球面レンズ1枚)、絞り羽根枚数は9枚の円形絞りなので、丸ボケの形も綺麗に出ます。絞り開放でリスの目にピントを合わせると、ひまわりの種を詰め込んだ頬や体はふんわりとぼけて、その小さな体で構図のなかに遠近感を作り出してくれました。
有効F値について

■撮影環境:f/1.7 1/1000秒 ISO100 ピクチャーコントロール:風景

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/1.9) 1/500秒 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード ADL:弱め
こちらの写真はどちらも絞り開放で撮影していますが、2枚目の写真は、EXIF上ではF1.7ではなくF1.9と表示されています。これは、今の日本ではニコンだけが採用している、マイクロレンズの有効F値(実効F値)の表示です。
被写体にぐいぐい近付けるマイクロレンズですが、近付けば近付くほど、撮影倍率が上がるほどに、撮像素子の像に光が届かなくなり暗くなります。その現象を真面目に情報表示しているので、撮影時に絞りを開けても、数字がレンズの開放数値にならないことがあります。
マイクロレンズ使用時に絞り開放にならない(ように見える)原因は、この有効F値の表示を見ていることですので、慌てないようにしましょう。それは決して悪いことではなくて、魅力的な被写体に引き寄せられて撮影しているという、素敵なことなのです。
※参考:ニコンイメージングジャパンQ&A「マイクロレンズの F 値が開放にならない理由」 https://x.gd/AzRay
コンパクトなサイズ感

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/1.9)1/1000秒 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/2) 1/640秒 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード
朝早い時間帯はリスたちも動きが活発で、エサを求めて飛び回っています。動く被写体に対してのAF精度は、とても高いと実感しました。近付いて大きく写したい小動物の撮影に最適のレンズでした。
ボディサイズは約70mm×72mmと、F1.7の大口径にしてはコンパクトなサイズで、重さは約220gの軽さ!今回使用したZ50IIに装着した状態だと約770gなので、小さなサイドバッグに入れて気軽に持ち歩けるサイズ感です。
小動物を驚かさない静かなAF駆動音

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/2) 1/1000秒 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード

■撮影環境:f/1.7 1/500秒 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード ADL:弱め
AFの駆動音が静かなSTM(ステッピングモーター)を採用しているので、被写体の目の前でAFが駆動しても驚かせる心配が少ないです。被写体にとても近付いて撮影することの多いマイクロレンズは、ジーコジーコとAF駆動音が大きいと、撮影している自分もメンタルが削られることがあるので、静かなSTM採用はとても有難いです。
インターナルフォーカス採用

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/2.2) 1/640秒 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード かすみ除去:5
筆者が声を大にして褒めたい本レンズの一番のメリットは、インターナルフォーカスを採用していることです。ピントの位置が変わってもレンズの全長が変わらないので、不意に伸びてしまったレンズの前玉に花粉がついちゃった!というような事故も防げます。
筆者は水族館撮影でマイクロレンズを常用しているのですが、反射を避けるためになるべく水槽のアクリルに近付いて撮影します。が、フォーカシングの際にレンズが伸びる設計ですと、アクリルに当たりそうで心配になってしまうのですよね。多少の距離を取って解消していますが、本レンズはそんな心配なく、ぐいぐいと近付けるのが最大の褒めどころだと思います!
絞り開放と絞りF11作例

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/1.8) 1/2000秒 ISO100 ピクチャーコントロール:風景 かすみ除去:3

■撮影環境:f/11 1/125秒 ISO200 ピクチャーコントロール:風景 かすみ除去:3
絞り開放の作例は上の桜の花を、絞りF11の作例は奥の橋にピントを合わせて雰囲気を変えてみました。スナップ撮影用に持ち歩けるコンパクトさなので、F5.6からF11くらいの絞りで街歩き撮影も楽しいだろうなと思いました。ED非球面レンズが採用されているので、色収差もよく抑えられていて、細かい木の枝や桜の花びらの縁なども綺麗に描かれています。
快適なコントロールリング仕様

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/1.9) 1/800秒 ISO100 ピクチャーコントロール:ポートレート ADL:弱め

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/2.2) 1/1250秒 ISO100 ピクチャーコントロール:ビビッド
シンプルなデザインで、コントロールリングの回し心地も上々です。このコントロールリンスには、フォーカス(M/A)、絞り、露出補正、ISO感度などの機能を割り当てることができます。誤動作を心配される方はオフにすることもできます。
今回はAF性能を見るためにAFでの撮影を行いましたが、マクロ撮影ですと、例えば花のシベの任意の場所にピントを合わせるために、MFを使用することも多いです。その際、このコントロールリングでしたら、軽すぎず重すぎずの操作具合なので、快適なピント合わせが行えるでしょう。
さいごに

■撮影環境:絞り開放で撮影(有効F値 f/2.4) 1/1000秒 ISO100 ピクチャーコントロール:風景 かすみ除去:4
最短撮影距離16cmのマイクロレンズとして、花や小物、小さな生き物を撮影する方にピッタリのレンズだと思います。今までDXフォーマットのカメラを使用していて、専用のマイクロレンズがないとお嘆きだった方、これはもう買いですね!
FXフォーマットの方は、ラインナップ初のF1.7の明るさを重視すると、触手が伸びるのではないでしょうか。この明るさと性能なら、ポートレート撮影も期待できるので、クロップして使用することを考えても、かなりコスパの良いレンズだと言えます。
夏は水滴や氷、水辺でのレジャーなど、キラキラする被写体が増える季節です。そんなこれからの季節に、一本あると楽しいレンズだと思いました。
■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。















