【オールドレンズ】安い方のプラナーと呼ばれたレンズ、でもその写りは決して安くはない「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」

坂井田富三
【オールドレンズ】安い方のプラナーと呼ばれたレンズ、でもその写りは決して安くはない「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」

はじめに

 今回のオールドレンズのセレクトは、ヤシカコンタックス時代の 「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」です。以前のレビュー記事で「CONTAX Carl Zeiss Tessar T* 50mm F1.4」MMJ型を紹介しましたが、今回は同じ画角のプラナーで開放F値違いのレンズになります。

 筆者が高校生の時に実際に使っていたのが「F1.7」で、「F1.4」のプラナーレンズは憧れのレンズでした。F1.4のプラナーは、当時の1.5倍の価格(参考:1986年のカタログ記載の定価)で販売されていて、F1.7のプラナーは「安い方のプラナー」と呼ばれることもありました。しかし、廉価版とは思えない実力を持っているレンズ、「CONTAX Carl Zeiss Tessar T* 50mm F1.7」の魅力とその実際の写りをご紹介いたします。

CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7の魅力

 「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」にもAEJとMMJと呼ばれるタイプがあり、AEJ型は1979年から発売されたレンズ、MMJ型は1985年から発売されていました。今回の「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」は筆者が所有しているMMJ型のタイプのプラナーです。

 「標準レンズの帝王」と呼ばれた「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4」の陰に隠れた感じになって、安い方のプラナーと呼ばれることも多い「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」ですが、その描写の差はごくわずかなもの。ほとんどの撮影ではその差を感じる事も無く、さすがツアイスプラナーと感じるものです。

■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用

「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」の基本的なスペックを、「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4」と比較してみました。

右:CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
左:CONTAX Carl Zeiss Tessar T* 50mm F1.4
CONTAX Carl Zeiss
Planar T* 50mm F1.7
CONTAX Carl Zeiss
Planar T* 50mm F1.4
焦点距離
50mm
50mm
絞り開放
F1.7
F1.4
最短撮影距離
0.60m
0.45m
レンズ構成
6群7枚
6群7枚
絞り羽根枚数
6枚
6枚
フィルター径
55mm
55mm
マウント
Y/C(ヤシカコンタックス)
Y/C(ヤシカコンタックス)
販売価格(※1986年カタログ)
32,000円
48,000円

 こうやって比較してみると分かりますが、「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」はレンズ構成も「6群7枚」で「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4」と同じです。通常このクラスの廉価版にあたるレンズの構成は6枚構成のものが多いのですが、「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」上位版と同じ「6群7枚」なのです。レンズ構成が同じなので、その写りは非常に似ている描写をしますが、「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」の最短撮影距離が「0.60m」と少し寄れないのがウィークポイントです。

最短撮影距離は0.60m
絞り羽根6枚

 今回「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」で撮影したのは、カメラはソニーα7R IIIに、焦点工房のマウントアダプター「K&F Concept KF-CYE.P」(ヤシカコンタックスマウントレンズ → ソニーEマウント変換)を使用しました。このマウントアダプターは実売価格で3,500円程度の価格で入手できる製品です。

 オールドレンズを使って撮影する場合のカメラの設定やピント合わせなどのコツは、基本的にはこちらの記事「マウントアダプターを使ってオールドレンズを楽しんでみませんか?」をご参照してみてください。

CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7で花の撮影

 「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」で花の撮影をしてみました。最短撮影距離が0.60mで、このクラスのレンズとしてはやや寄れないレンズなので少し扱いづらいところもありますが、全体的な印象はプラナーらしさが出ているレンズです。絞り開放での撮影では柔らかい描写をし、色ノリも良くピントの合った被写体と背景のボケによって立体感がよく表現されています。

■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 実際に撮影してみて、全体的に描写力は「F1.4」と「F1.7」で大きな違いは感じられませんでした。ただ逆光時撮影で発生する「レインボーゴースト」に関しては、「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4」よりも「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」の方が出やすい感じを受けたので、撮影の際には注意が必要かもしれません。

■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用

CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7で江戸東京たてもの園でスナップ撮影

 今度は「江戸東京たてもの園」でスナップ撮影をしてみました。ここは筆者のお気に入りの場所で定期的に撮影を訪れる場所です。古い建物が展示されていて撮影欲が湧きたてられる場所です。

 路面電車にピントを合わせ、絞りは開放のF1.7で撮影。背景が少しボケて路面電車が一段と引き立ちます。開放での撮影の為、周辺光量が少し落ちているのでノスタルジー感を演出する効果もあります。

■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 ピントを合わせる位置を奥にしているため、ピント面より手前はボケが大きくなります。花を撮っていた時にも感じていたのですが、「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」の前ボケのボケ具合が筆者の気に入っているポイントです。

■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用
■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 逆光で、明暗差が激しいシーンではパープルフリンジが発生しています。この傾向は「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4」と同様です。撮影時に絞りを絞る事でパープルフリンジの発生を回避する事が可能ですが、絞ってしまうことで撮影イメージが変わってしまいます。その場合はRAWで撮影し、撮影後にRAW現像で対処する方法が求められてしまいます。

※上の写真のパープルフリンジ発生個所を拡大
■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 古い空き瓶が並んだシーンですが、もう少し寄って撮りたかったのですが最短撮影距離が0.60mなので少し苦労する場合があります。こういった撮り方をする場合は、開放F値が明るく、最短撮影距離が短い「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4」のプラナーの方が有利です。

■撮影機材:SONY α7R III + CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.7 ISO800 焦点距離50mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 お決まりのレインボーゴーストを上手く作品の表現の一つとして活かすのもオールドレンズでの撮影の楽しみ方かもしれません。

まとめ

 「空気までも写す」と言われている「CONTAX Carl Zeiss」レンズですが、「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.7」は、「CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4」と変わらない描写をしてくれます。どちらをセレクトしても、その写りは十分に撮影欲を満足させてくれるレンズです。

 もし購入を検討しているのであれば、「F1.4」、「F1.7」それぞれのレンズの状態の程度や販売価格を比較して、予算に合った程度の良い方のレンズを選んでみてもいいのではないでしょうか。

■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

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