【オールドレンズ】ソフトフォーカス強度を自由にコントールできるオートフォーカスレンズ「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」

はじめに
今回のオールドレンズはミノルタの「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」をセレクトしました。こちらはソフトフォーカスレンズで、かつオートフォーカスのレンズであることが一番の特徴です。
過去にもいろいろなソフトフォーカスのオールドレンズ記事を書いてきましたが、「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」はオートフォーカスのレンズでマウントがミノルタAマウント。ミノルタのAマウントはソニーのAマウントに引き継がれているので、ソニーのAマウントからEマウントに変換するマウントアダプター「LA-EA5」などを使用する事によって、オートフォーカスのレンズとしてEマウントの「α」で活用する事ができるレンズです。
それでは「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」の気になるスペックとその写りをご紹介します。
ミノルタ「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」の魅力

ソフトフォーカスレンズ、ミノルタ「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」の基本的なスペックは、下記の通りです。
焦点距離 | 100mm |
最短撮影距離 | 0.8m |
絞り開放 | F2.8 |
最小絞り | F32 |
レンズ構成 | 7群7枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
フィルター径 | 55mm |
大きさ(最大径x長さ) | 71.5x78mm |
重量 | 約440g |
マウント | ミノルタAマウント |
発売 | 1994年 |
発売当時の価格 | 定価 70,000円(フード・ケース付) |


今回の撮影では、ソニー純正のマウントアダプター「LA-EA5」を使用して撮影をしています。この「LA-EA5」は、最新のEマウントボディ本体の像面位相差AFに対応するだけでなく、リアルタイム瞳AFやリアルタイムトラッキング搭載モデルであれば、高性能なAF機能を活かした撮影が可能になる便利なマウントアダプターです。
実際に「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」+マウントアダプター「LA-EA5」を装着したα7R Vの動物瞳AFを使用した画面をキャプチャーしてみました。



ソフトフォーカスの強度を0~3の間で調整が可能な「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」ですが、どのソフト強度でもオートフォーカスは可能になっています。0、1、2、3の部分でクリック感がありますが、その中間でも調整は可能なので、自由にソフトフォーカスの強度を調整する事が可能になっています。
強度が「0」に設定した場合は、ソフトフォーカスが無くなるので通常の焦点距離100mmの中望遠レンズとして使用する事ができるレンズです。
オートフォーカスの精度に関して言えば、ソフトフォーカス強度を3までしてしまうと若干AFの食いつきが悪く感じるシーンがでてきます。それでもソフトフォーカスの強度を多くしてマニュアルピント合わせよりも素早くピント合わせは可能なので、撮影がスムーズにこなせるソフトフォーカスレンズです。
先の画面キャプチャー画面を比較すると、少し画角が変わっていることに気付くと思います。これは、ソフトフォーカスの強度を変えるとフローティング機構によりレンズ全長が変化するためで、それによって画角やピントなどが変化してしまいます。撮影しながらソフトフォーカスの強度を変更する場合は、少し注意が必要です。

ミノルタ「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」で花撮影
ソフトフォーカスレンズで定番の花の撮影です。日差しの強い日の撮影ではソフトフォーカスを活かした幻想的な撮影が良く合います。実際の撮影の仕方としては、ファインダーを覗きながらソフトフォーカスの強度を設定していくのですが、撮影時間に余裕がある場合は同じ構図でソフトフォーカスの強度を変えながら数カット撮影をしています。
もちろん絞りとの関係も大きく影響があるので、ソフトフォーカスをかけて撮影する場合は、絞りは開放から絞りF4ぐらいで撮影した方が良い感じです。ソニー純正のマウントアダプター「LA-EA5」を使用しているので、EXIF情報もきちんと記録されるのですが、残念ながらソフトフォーカスの強度に関しては、どの強度で撮影したのかは情報が記録されません。ですので同じ構図で強度変えて撮影しておくと、どの強度設定で撮影したのか後で判断する材料にもなります。
実際にはこのレンズを使い込んでいくと、自分の好みのソフトフォーカス強度が決まってくるので、慣れると大体同じ設定で撮ることが多くなります。

■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF2.8 ISO200 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度2

■撮影環境:シャッター速度1/4000 絞りF2.8 ISO200 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度3

■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF2.8 ISO400 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度3

■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF2.8 ISO400 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度0

■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF2.8 ISO400 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度3

■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF2.8 ISO100 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度2
ミノルタ「 MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」でスナップ撮影
次に撮影場所を移動しスナップ撮影を楽しんでみました。お天気の良い日では、ソフト効果がより強調できる撮影になります。特にハイライト部分の滲みは被写体を柔らかく演出してくれファンタジー感溢れる写真に仕上がります、

■撮影環境:シャッター速度1/50 絞りF2.8 ISO400 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度2
また構図内に点光源などを入れ込むと、ソフトレンズ独特な収差のボケが発生するので面白い撮影ができます。

■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF2.8 ISO800 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度3

■撮影環境:シャッター速度1/200 絞りF2.8 ISO100 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度2

■撮影環境:シャッター速度1/500 絞りF2.8 ISO1000 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度3

■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF2.8 ISO100 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度0

■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF2.8 ISO100 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度3
上の写真は大きなウィンドウガラスに写りこむ景色が印象的だったので、ソフトフォーカス無し・有で撮影をしてみました。とっさにソフトフォーカス強度を調整できる、または無くすことができる「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」は、フィルターなどによる交換作業の手間が無く、機動性が高くシャッターチャンスを逃さないのが大きなメリットです。
ミノルタ「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」で蝶々撮影
最後に別件で撮影に訪れた生物園で蝶々を撮影してみました。正直飛んでいる蝶々を追って撮影するのは難しかったのですが、それでもAiによる被写体認識ができる「α7R V」で撮影をすることで、ソフトフォーカスをかけた状態で、「蝶々」にオートフォーカスでピントを合わせて撮影する事ができています。

■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF2.8 ISO800 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度3

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度2

■撮影環境:シャッター速度1/40 絞りF8 ISO800 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度0

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離100mm
※ソフトフォーカス強度0
まとめ
ソフトフォーカスの強度を変えたり、ソフトフォーカス効果を無しにしたりもできるオートフォーカスレンズ「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」は現在でも魅力的なレンズです。ソニーのAマウントからEマウントに変換するマウントアダプター「LA-EA5」などを使用する事によって、オートフォーカスで撮影することが可能で、ファンタジーなソフト効果を気軽に楽しむことができるレンズです。
ソフトフォーカス強度を「0」にすることで、通常の100mmF2.8の単焦点レンズとして撮影できる、1本で2つの撮影ができる魅力的なレンズ「MINOLTA AF 100mm F2.8 SOFT」は、撮影のイマジネーションを刺激してくれるレンズではないでしょうか。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師