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種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー

2015.02.13【Vol.205】

ソロントンシャッターの話

ソロントンシャッター

ソロントンとはイギリスのソロントンピッカード社(Thornton-Pickard)から取った名称で、シャッターの種類としてはローラーブラインドシャッターと呼ばれるもので、1800年代の後半に開発が進む幕速変更によるシャッターの一つです。ソロントンという通称で呼ばれるこのシャッターはいろいろなところでライセンス生産やコピー製品が登場します。大正の初め頃の写真用品カタログを見ていると、本家イギリス製は15円、日本製は5円とあったり、約1.5cm刻みで10種類以上の種類があったことがわかります。国産では近江屋写真用品や浅沼商会、LPLなどから発売されていて、何時ごろまでかはわかりませんが少なくとも15年ほど前には新品で入手が可能でした。

遮光された布幕に幅の違ういくつかのスリット、もしくは幕速度を変更することで定時間の瞬間露光を行うことのできるシャッターのことで、主にシャッターを搭載していない組立て暗箱およびバレルレンズとともに使用されます。レンズ交換の自由度が非常に高い大判カメラは本体シャッターを持たないことがほとんどです。現在ではレンズシャッター付きのもので販売されていますが、レンズのネジの規格などまちまちだった時代はこのソロントンシャッターとレンズの組み合わせで露光を行っていました。 シャッター速度はせいぜいB 1/15~1/100程度の4速しかありませんが、どんなレンズにでも装着できるという利便性から重宝されました。レンズと暗箱との間に取り付ける場合もありますが、多くは取り外しの簡便さと、いろいろなレンズに使用できる経済性からレンズ前にキャップのように被せて使用することも多かったようです。

カメラの小型化やシャッターの改良が進むと一般的には時代遅れの製品となってしまいますが、大きなフィルムや乾板で撮影することの多い婚礼や集合写真などの分野では長年使われていた機材です。アマチュア用の写真用品というよりはむしろプロ用のアイテムとして長年生き残った写真用品の一つかもしれません。


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