テーブルフォトの機材選びで、押さえておくべき2つの視点
はじめに
こんにちは。Nana*です。今回は、テーブルフォトの機材選びで押さえておきたいポイントについて紹介します。構図で悩んでいる方に特に読んでいただきたい内容です。
三脚の必要性
●客観的な視点で構図を判断する
テーブルフォトにおいては、三脚の使用を推奨します。三脚があると、遅いシャッタースピードでもブレずに撮影できますし、水平垂直に撮ることができて便利ですよね。メリットはそれだけではありません。他に考えるべき大切なポイントがあるのです。
私はいつも三脚を使い、必ずカメラのライブビュー画面を確認して、テーブルフォトを撮るようにしています。三脚を使わないメリットも勿論あって、それは構図の自由度が高くなり、自由に切り取れることです。スナップなどにおいては、距離感を掴んだり、視点を養ったりする上で大切なことです。しかし裏を返せば、自由であるがゆえに、構図を決めるのがとても難しいと思います。また、カメラを構えることに精一杯で、何かを見落とす可能性もあります。テーブルフォトはスナップとは違い、一から作り上げていくものです。イメージがしっかり出来上がっているほど、それに最も近い、理想的な構図があるはずです。その理想に向かって細部を詰めていき、微調整するのに三脚はとても役立ちます。
三脚を立て、ライブビュー画面を見ながら、配置のバランスや余白感、不要な写り込みなどを細かくチェックしていきます。ファインダー越しの撮影は主観的な視点になりますが、ライブビューは画面全体を客観的に捉えやすく、テーブルフォトでは特に有効です。

●ライブビューが完成図になる
ライブビューとは空間を平面に置き換えたもの、つまり「写真としてどう写るか」を確認できる状態であり、ほぼ完成図に近いと言えます。実際に自分の目で見ている被写体と、レンズを通した画では見え方が異なります。使うレンズによっても映し出される画は変わります。配置したものを撮ってみたら思ったものと違った、などということも起こり得るので、スタイリングの時点でライブビューをしっかり確認しましょう。誤算が少なくなり、イメージ通りの写真に近づけることができます。

レンズ選びの基本と撮影距離の考え方
●テーブルフォトに適したレンズとは
続いて、テーブルフォトに適したレンズについて考えてみましょう。例えば食器やインテリア雑貨などの、ものの形を綺麗に写すためには、歪曲収差などの歪みが少ないレンズであることが望ましいです。また、オールドレンズによく見られるようなコマ収差や非点収差などがあると、周辺部は綺麗に写らないので、もし物撮りや料理写真などで周辺部に置いたものを綺麗に写したい場合には、そのようなレンズも避けた方が無難です。新しく購入する場合には、レンズの性能をよく確認し、収差の少ないものを選ぶようにします。
一般的に、同じ価格帯で考えると、ズームレンズよりも単焦点レンズの方が高性能で、歪みも補正されているものが多い傾向がありますが、最近はズームレンズやカメラの性能も向上しているので、試してみて問題がないようであれば、ズームレンズでも良いと思います。マクロレンズでも構いません。開放F値は撮りたい作品、作風に合わせて決めましょう。焦点距離は標準から中望遠くらいが使いやすいです。
そして、レンズの焦点距離を決める時に考えるべきなのが撮影距離です。カメラのライブビュー画面を確認しながら、パースが気にならなくなるくらいに被写体から離れ、その上で切り取りたい画角になる焦点距離を決めるのがおすすめの方法です。
私はいつも単焦点レンズを使うのですが、例えば、この写真のように、テーブルや空間を広く画角に収めたい場合は焦点距離50mmのレンズを使うことが多いです。

■撮影環境:F2 1/100秒 ISO100
一人分の食事を狭い画角で切り取りたい時には中望遠レンズをよく使います。

■撮影環境:F4.5 1/8秒 ISO100

■撮影環境: F4 1/60秒 ISO100
花やアクセサリーなどの小さな被写体をクローズアップして写したい場合には、マクロレンズを使っています。

■撮影環境:F5 1/13秒 ISO100

■撮影環境:F6.3 1.3秒 ISO100
撮影距離とパースの関係性
パースは撮影距離に依存するので、どんなレンズでも見られますが、広角レンズは例えば焦点距離35mm程度のものであっても、ケースによってはパースが目立ちやすく、ものの形やサイズ感が実物と異なって見えることがあります。
次の3枚の写真は全て同じカメラで、奥行き方向に被写体を配置し、2列目左側のマフィンが大体同じサイズ感になるように、距離を変えて撮影したものです。
▼撮影距離110cm

■撮影環境:F4 1/13秒 ISO100
▼撮影距離54cm

■撮影環境: F4 1/13秒 ISO100
▼撮影距離38cm

■撮影環境: F4 1/13秒 ISO100
背景に注目すると、左奥に配置したガラスジャーや、右奥の卵のサイズ感が異なるのが分かります。マフィン型とその中のマフィンも広角になるほどパースが強調されて写っています。焦点距離35mmのレンズの場合、焦点距離100mmのレンズと同じマフィンのサイズ感に写そうと思うと、被写体に近づいて撮影することになります。するとパースがより強調され、肉眼で見るよりも手前が大きく、後方が圧縮されて写ります。そのため、サイズ感が不自然に見える場合があります。
また3枚目のようなケースでは、余白を埋めようとして奥に小物を置いても余白が埋まらない、などというようなことにもなりかねません。背景を広く含めたい場合や、奥行きを強調したい場合にはそれでも良いですが、思った構図と違ってバランスが取りにくい、もののバランスが悪く見えるなどという場合にはレンズの焦点距離を見直してみましょう。
ちなみに、焦点距離35mmでも、焦点距離100mmと同じ撮影距離ならばパースは変わりません。

■撮影機材:SONY α7 V + Zeiss Loxia 35mm F2
■撮影環境:F4 1/13秒 ISO100
パースや歪みは、周辺部で特に目立ちやすく、被写体までの距離が近くなるほど目立ちやすくなります。ものをいくつか置いて撮るような場合、もののサイズが大きくなるほど、撮影距離を取ることをおすすめします。
さいごに
今回はテーブルフォトで必要な機材を選ぶ上で、知っておくべき知識として、三脚のメリット、撮影距離とパースの関係に絞ってお伝えしました。機材の理解を深めることは、撮りたいイメージをより確実に形にすることへと繋がります。特に後半の内容が難しいと感じる方は、実際に撮り比べながら、シーンに合った適切な距離感を探してみてください。
■フォトグラファー:Nana*
スティルライフフォトを中心に、広告撮影、動画撮影、アートディレクション、プロップスタイリング、グラフィックデザインなどのクリエイティブ制作に携わる。パーソナルワークとして2013年から暮らしをテーマに写真を撮り続けている。
2018年4月よりNHK文化センター青山教室「AURORA写真塾」講師













