α7R シリーズの枠を超える進化 ソニー α7R VI|萩原れいこ

萩原れいこ
α7R シリーズの枠を超える進化 ソニー α7R VI|萩原れいこ

はじめに

従来モデルのα7R Vの発売から約3年半、待望の新機種α7R VIが誕生した。
ソニーのミラーレスカメラには、フラッグシップの「α1」、高速性能を追求した「α9」、高感度性能に優れた「α7S」、スタンダードモデルの「α7」など、多彩なシリーズがラインナップされている。そのなかでα7R VIは、高解像性能を追求する「α7R」シリーズの最新モデルに位置付けられる。

各シリーズには明確な個性があり、緻密な描写力が求められる風景写真において、「α7R」シリーズは最適な選択肢のひとつといえる。
しかし、α7R VIの魅力は高解像だけにとどまらない。高画素センサーによる圧倒的な描写力に加え、高速連写性能や進化したAF性能も兼ね備え、シリーズの枠を超える進化を遂げている。雄大な風景のなかに佇む人物や野生動物、さらには鉄道や飛行機などの動体撮影まで、幅広いシーンで高い実力を発揮するカメラとなっている。

約6680万画素の部分積層型CMOSセンサー、BIONS XR2エンジンなど、さまざまな高機能を搭載しているにもかかわらず、本体のみで約622gの小型軽量性も兼ね備えたボディ。

Rシリーズならではの約6680万画素の高画素

有効画素数は従来モデルを上回る約6680万画素を実現し、ソニーのミラーレスカメラとして最高クラスの解像性能を誇る。
高解像の魅力は、何といっても風景の細部まで緻密に再現できる点にある。雄大な景色に感動し、その瞬間を一枚の写真に収めたとき、遠くの山肌や足元の植物まで繊細に描き出し、見返すたびに新たな発見を与えてくれる。まさに写真ならではの醍醐味といえるだろう。

また、レンズの焦点距離が足りない場面や、一瞬のシャッターチャンスで構図を十分に追い込めなかった場面でも、トリミング後に高い解像感を維持できるのは大きな強みだ。
さらに、風景の空気感やその場の臨場感を表現するうえで重要となる階調表現も豊かで、明暗差の大きなシーンでも自然で滑らかな描写を実現している。

氷点下まで冷え込んだ早朝、峠の木々に霧氷がついていた。氷の繊細な質感や葉っぱの色合いがリアルに描写され、モニターを見ながら息を飲んだ一枚だ。
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境:焦点距離32mm 絞り優先AE(F11、1/100秒) ISO100 WBオート 

約16ストップの広いダイナミックレンジ

従来モデルのダイナミックレンジは約15ストップと十分に優れていたが、α7R VIでは約16ストップという圧倒的な性能を実現した。液晶モニターやJPEG画像などで明暗差を補正する「Dレンジオプティマイザー」も進化し、従来の最大「Lv5」から「Lv8」まで設定できるようになっている。ただし、設定値を高くするとノイズが目立ちやすくなるため、シーンに応じた使い分けが必要だ。

明暗差を効果的に補正することで、撮影中でも暗部のディテールを確認しやすくなり、構図や露出をより丁寧に追い込めるのは大きなメリットである。また、一般的にコントラストを抑えると平坦な印象になりがちだが、「Dレンジオプティマイザー」は適度なメリハリを保ちながら自然な描写に仕上がる点が気に入っている。
朝夕の撮影では、太陽周辺の空は白飛びしにくく、地上の陰影も黒つぶれしにくいため、プリント時にも豊かな階調が再現され、その場で感じた風景の印象をより自然に表現できる。

夕日を画面に入れたコントラストの強い場面だが、山肌や木の暗部が潰れず、立体感を残しながら描写できた。
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影環境:焦点距離188mm 絞り優先AE(F16、1/160秒、-0.3EV補正) ISO100 WBオート 
水たまりに薄く張った氷を逆光で撮影。メリハリのある陰影は残しつつ、ハイライト部のシャープな氷の質感や、シャドー部の葉の緑色をしっかりと再現できた。
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 100mm F2.8 Macro GM OSS
■撮影環境:焦点距離100mm 絞り優先AE(F16、1/250秒、-0.3EV補正) ISO200 WBオート 

AIディープラーニングによるAWBの向上

さらに、色再現性も着実な進化を遂げている。AIディープラーニング技術と「可視光+IRセンサー」の搭載により、オートホワイトバランスの精度が向上し、被写体本来の色をより忠実に再現できるようになった。
新緑の森の中や朝夕のブルーモーメントなど、色かぶりが発生しやすいシーンでも、自然な白や肌色を再現できる点は大きな魅力だ。日向と日陰が混在するような場面でも、それぞれの微妙な色彩の違いを丁寧に描き分けてくれることには驚かされた。

これまでホワイトバランスは「太陽光」を選択することが多かったが、「オート」の完成度が高まったことで、まずはニュートラルな描写を基準として確認し、そこから自分らしい色合いへと仕上げていく楽しみも広がっている。

日向と日陰が混在する山肌を切りとったが、日向の色は温かく、日陰の色は冷たく、それぞれの色合いを描き分けてくれた。そのため光の対比が美しく描けて、立体感が演出できた。
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 100mm F2.8 Macro GM OSS
■撮影環境:焦点距離100mm 絞り優先AE(F16、1/320秒、-1.7EV補正) ISO400 WBオート 
新緑の森の中で、白い花が可憐なマイヅルソウを撮影。全体が緑色に色かぶりしやすかったため、オートホワイトバランスを活用し、クリアな白色を表現した。緑の発色も自然な印象で美しい。
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 100mm F2.8 Macro GM OSS
■撮影環境:焦点距離100mm 絞り優先AE(F4.5、1/80秒、-1.3EV補正) ISO1600 WBオート 

約30コマ/秒の高速連写&プリ撮影

Rシリーズならではの高解像・高階調性能を誇るα7R VIだが、冒頭でも述べたように、最高約30コマ/秒の高速連写性能も兼ね備えている。従来の裏面照射型センサーから新開発の部分積層型センサーへと進化し、新世代の画像処理エンジンとの組み合わせによって、優れた描写力と高速性能を高次元で両立した。さらに、シャッターボタンを押す前の瞬間を記録できる「プリ撮影」機能も搭載され、動体撮影における安心感は大きく向上している。

AF性能も着実に進化しており、「リアルタイム認識AF+」によって人物の検出精度や追尾性能がさらに高まった。遠くにいる小さな被写体にも粘り強く追従し、森の中でさえずる野鳥や上空を飛ぶ飛行機なども、より確実に捉えることができる。
そのため、風景の中に動きのある被写体を取り入れる撮影においても、一瞬のシャッターチャンスを逃すことなく、その場の躍動感まで豊かに描き出せるカメラに仕上がっている。

池のほとりでアヤメを撮影しているとき、泳いできたコイが突如波紋をつくった。「プリ撮影」機能を使って1秒前までさかのぼって撮影できたため、水面が大きく波立つ瞬間を捉えられた。
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 50-150mm F2 GM
■撮影環境:焦点距離114mm 絞り優先AE(F22、1/160秒、-1EV補正) ISO800 WBオート 
シラカバの新緑を撮影していたところ、突然アカハラが現れた。驚かさないよう立ち位置を動かず、枝の隙間から800mmで狙ったが、遠くの小さな被写体でもしっかりと被写体認識をし、瞳にピントを合わせて撮影できた。
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 400-800mm F6.3-8 G OSS
■撮影環境:焦点距離800mm 絞り優先AE(F8、1/1250秒) ISO1600 WBオート 

操作性の進化点

操作性における大きな進化点として、新たに「背面操作ボタンイルミネーション」が搭載された。星景や夜景の撮影時には背面ボタンが点灯し、暗闇でもボタンの位置をすぐに把握できるため非常に便利だ。光の色味も自然で、明るさや点灯方法を細かく設定できるなど、細やかな配慮が感じられる。
ダイヤルの配置やデザインに大きな変更はないものの、グリップはより深く設計され、特に手の大きなユーザーにとって握りやすさが向上した。中央8.5段の強力な手ぶれ補正機能も搭載されており、手持ち撮影を快適にサポートしてくれる。

また、ファインダーの明るさは従来比約3倍となり、より立体的でリアルな視認性を実現した。ファインダーをのぞいた瞬間の没入感が高まり、撮影そのものの楽しさを改めて実感させてくれる。従来モデルから継承された4軸マルチアングル液晶モニターも利便性が高く、ハイポジションからローポジションまで自在に対応でき、今や欠かせない機構となっている。

さらに、新型バッテリーの採用により、持続時間は従来モデルの約1.3倍へと向上した。2個同時に高速充電できる専用バッテリーチャージャーが付属する一方、USBケーブルは同梱されていないため、出力45W以上に対応したACアダプターとUSB Type-Cケーブルを別途用意する必要がある。

日が暮れる中で下山していたため、急いで手持ちで撮影した。背面操作ボタンがイルミネーションで光り、強力な手ぶれ補正機能と4軸マルチアングル液晶モニターのおかげで、暗い中でも素早く的確に撮影ができた。
■撮影機材:ソニー α7R VI + FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境:焦点距離24mm 絞り優先AE(F11、1/13秒) ISO400 WBオート 
背面操作ボタンのイルミネーションが点灯している状態。点灯の明るさは3段階から選べ、この画像撮影時は「標準」に設定した。

まとめ

カメラの進化はとどまることなく、今や私たちの想像を超える領域に達しつつある。撮影における多くの「技術」をカメラが担うことで、私たちはこれまで以上に「表現」に集中できるようになった。だからこそ、「何を撮るのか」ではなく、「何を表現するのか」が問われる時代になったと感じている。

そんな最先端の時代の流れを感じさせてくれるのが、このカメラである。自身の表現意欲を刺激し、創作に寄り添いながら力強く支えてくれる。α7R VIは、そんな頼もしい一台である。

 

■写真家:萩原れいこ
沖縄県出身。学生時代にカメラ片手に海外を放浪した後、日本の風景写真に魅了される。
隔月刊「風景写真」の若手風景写真家育成プロジェクトにより、志賀高原での写真修行を経て独立。現在は群馬県嬬恋村に拠点をおき、上信越高原国立公園をメインフィールドとしながら、自然風景やさまざまな命の営みを見つめている。
個展「Heart of Nature」、「羽衣~Hagoromo~」、「地獄」等を開催。著書は写真集「Heart of Nature」(風景写真出版)、「現代風景写真表現」(玄光社)、「風景写真まるわかり教室」(玄光社)等。日本風景写真家協会会員、石の湯ロッジ写真教室講師、House of Photography in Metaverse講師、嬬恋村キャベツ大使(観光大使)。

 

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