星空のタイムラプス動画を制作しよう!|その1:機材の準備編

北山輝泰
星空のタイムラプス動画を制作しよう!|その1:機材の準備編

はじめに

みなさん、こんにちは。写真家の北山輝泰です。これまでShaShaでは星景写真に関するノウハウ記事を執筆してきましたが、今回より新たに「タイムラプス動画」を題材にした連載を担当させていただくことになりました。この連載では、星空をテーマにタイムラプス動画を制作する上で必要になる機材やカメラの設定の仕方、そしてどのようなことを意識して撮影をするべきかなどを順にご紹介していきます。

第一回目となるこの記事では、タイムラプスとはそもそもどういったものなのか、そして星空のタイムラプス動画を作る上で必要になる機材についてご紹介したいと思います。ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。

タイムラプスとは

タイムラプスとは、Time=時間とLapse=経過という言葉が組み合わさりできた造語です。日本語では低速度(または微速度)撮影とも呼ばれ、もともとはフィルムを用いた撮影であえてゆっくりフィルムを回しながら撮影を行い、再生時に通常の速度で流すことで長時間かけて撮影したものを短時間で見せる技法のことを言います。タイムラプスで表現する世界としては、雲が動いていく様子、花が徐々に開花する様子、そして今回取り上げる星の日周運動など、一時見ただけでは変化していないように見えるゆっくりとした動きを、目にみえる変化として見せる際に使われます。

今では一部のスマートフォンのカメラ機能の中にタイムラプス撮影機能が搭載されるようになるなど、身近なデバイスでも発想次第で面白い映像を残せる時代になりましたが、まだ使ったことがないという方も多いのではないでしょうか。それは撮影にかかる労力が一般的な静止画や動画撮影に比べると余計にかかるからだと言えます。面白い変化を動画で見せるためには、およそ30分程度カメラを固定し撮影しなければなりませんし、未来の場面変化を予想しながら撮影するという計画性も必要になります。

このように書くとハードルが高いと思われるかもしれませんが、逆に言えばカメラを放置し撮影するだけで面白い映像(の元になる素材)が手に入ってしまうのがタイムラプス動画の面白さです。出来上がった動画の中には、私たちが予想していた変化だけでなく、偶発的な変化も記録されることがしばしばありますので、出来上がりを100パーセント予想できない意外性を楽しむことができるのもタイムラプス動画ならではの魅力と言えあるでしょう。 

また、一般的な動画撮影では、全体のストーリーやカット割り、音声収録など考えなければならないことが無数にあり、時にはチームで取り組まないといけないこともしばしばありますが、タイムラプス動画は撮影に労力がかかる一方、ワンオペでも十分魅力的な映像作品が作れるという点では、動画をやってみたいという方の入口としておすすめできます。

▼信州みなみまきむら 公式プロモーションムービー(撮影・編集 北山輝泰)

撮影に必要なカメラ

先ほどスマートフォンでもタイムラプス撮影ができると記述しましたが、露出や撮影間隔を自分で決めて撮影したい、4K以上の高画質なタイムラプスムービーを制作したいと思った場合には、デジタル一眼レフまたはミラーレスカメラなどが必要になります。ShaShaをご覧になっている方の多くはこれらの機材をお持ちだと思われますので、この連載では基本的にミラーレスカメラ(OM SYSTEM OM-1)をベースとしてご紹介していきます。

タイムラプス撮影をする上であると便利な機能が「インターバル撮影機能」です。インターバル撮影とは、撮影間隔と撮影枚数を自分で設定すると、カメラが自動でシャッターを切り続けてくれる機能です。近年発売されているカメラの多くにはこの機能が搭載されていますが、今一度お持ちの機材を確認してみてください。もし無い場合でもタイマー式のレリーズで代用することができますのでご安心ください。

一部のカメラには、インターバル撮影機能の延長としてタイムラプス動画を生成してくれる機能があるものもあります。レタッチしてハイクオリティの動画は後で作るとして、とりあえずサムネイル的にどういった動画になったかを確認したい場合には、この生成機能は非常に便利です。現場で動画が確認できることは、何かしらミスが起きていた時にすぐリカバリーができるという利点にもなります。

インターバル撮影機能が搭載されている機種。近年は360度カメラにもインターバル撮影機能が搭載されるようになった。
OM-1のインターバル撮影画面。撮影間隔や撮影枚数だけでなく、タイムラプス動画の生成機能もついている。OM-1からは4KでかつFPS30の滑らかな動画を生成できるようになった。
タイマー式レリーズの液晶画面。インターバル撮影の細かい設定ができるが、表記が英語で少々分かりづらい一面も。

もう一つカメラ選びで考えなければならないのは「動画のサイズ」です。例えば、今主流の4Kは、3840×2160=約829万画素が必要になります。一昔前は800万画素でも十分高画素でしたが、今は1200万画素でも低画素機と呼ばれる時代ですので、ほとんどのカメラで4Kのタイムラプス動画を作るのに必要となる静止画を撮影することができます。8Kになると7680×4320=約3317万画素が必要になります。

どちらのサイズを選ぶにしても、多少余裕を持った画素のカメラで撮影するほうが何かと便利ですので、4Kのタイムラプス動画を作りたければ1200万画以上のカメラ、8Kの映像を作りたければ4000万画素以上のカメラを用意するといいでしょう。

最後に星空のタイムラプス動画を作る場合ですが、高感度撮影でもノイズが少ない機種を選ぶことが出来上がりの動画のクオリティを上げるために最重要となります。私はマイクロフォーサーズ機でもノイズが少ないOM-1を使ってタイムラプス動画を制作していますが、目安としてISO3200でもノイズが気にならない機種を選ぶのが良いでしょう。

▼高感度ノイズが出ている星景のタイムラプス

数年前のデジタル一眼レフカメラでISO6400で撮影した写真を使ってタイムラプスを制作。高感度撮影特有のザラつきが目立つ映像でボツカットにした。RAWのレタッチや動画編集ソフト上でのノイズ処理である程度は目立たなくさせることができるが、できれば高感度に耐性のあるカメラを選びたい。

撮影に必要なレンズ

タイムラプス動画で使用するレンズは、特にこれじゃなきゃダメ!といった制限はありません。ただし、星空のタイムラプス動画を作る上では、やはりF値が明るいレンズがおすすめです。F値が明るいということはそれだけ短時間で多くの光を吸収できることになりますので、シャッタースピードを長くせずとも綺麗な写真を撮影することができます。シャッタースピードを短くできるということは、星を限りなく点像で撮影できるだけでなく、トータルの撮影時間も短縮することができますので、仮に一台のカメラしかなかったとしても一晩で色々なシーンを撮影することができます。

私がいつも使用しているレンズはF2.8以下のレンズですが、F値開放でも周辺減光が少なく、収差も少ないレンズが選ぶようにしてます。周辺減光はワンカットで見る分にはさほど気にする必要はありませんが、別カットを複数繋げて一つの動画作品に仕上げる段階では、カットごとに周辺減光があったりなかったりすると非常に気になります。収差に関しても、画面の中央と端とで星像の描写が異なると、違和感を感じる動画になってしまいます。私がOM SYSTEMのPROレンズを愛用する理由は、F値が明るいだけでなく、周辺減光や収差に対して高いレベルで補正されているからとも言えます。

OM SYSTEMのレンズラインナップ。単焦点からズームまで幅広いラインナップがある。

レンズ周りの必要な機材

タイムラプス動画を作るためにはインターバル撮影をしてたくさんの静止画を撮影することになりますが、特に星空のタイムラプス動画だと撮影にかかる時間が30分から長いと2時間ほどになります。その時注意をしなければいけないのは「結露対策」です。

結露とは、空気中にある水蒸気がある一定量を超えると液体=水滴となってしまう状態で、特に風がなく気温が寒くなる夜に注意をしなければいけません。レンズが結露すると息を吹きかけたように白く曇ってしまうため、せっかくの撮影が台無しになってしまいます。また結露したレンズを放置すると、隙間から水滴が内部に侵入してしまい、最悪レンズが故障してしまうという危険性もあります。

結露からレンズを守るためにはレンズを温めることが最適で、その時役に立つのが「レンズヒーター」です。レンズヒーターは様々なメーカーから発売されていますが、私はビクセンの「レンズヒーター360IV」を愛用しています。

レンズヒーター360IVを取り付けた状態。レンズヒーターは市販のモバイルバッテリーで駆動させる。

その他のよく使われる機材

これらの機材以外に必要なのは三脚です。三脚はある程度パイプ径が太く、風や振動があってもブレにくいものを選びましょう。全てが準備できたら、いよいよタイムラプス撮影のスタートラインに立つことができます。

タイムラプス撮影では大きく「固定タイムラプス」と「モーションタイムラプス」の2種類に分けることができます。固定とは構図を変えずに撮影をしたもので、タイムラプス撮影の基本の撮り方になります。モーションタイムラプスは、構図を縦方向(チルト)または横方向(パンまたはパニング)に変化させながら撮影をする方法で、カメラと三脚以外にもう一つ機材が必要になります。

モーションタイムラプスは変化が起こりにくい単調な風景でも動きのある動画を作れるため、いずれ身につけていただきたい撮影方法になりますが、まずは固定タイムラプスの撮影を繰り返し行い慣れてからでも全く問題ありません。なお、固定タイムラプスでも動画の編集ソフト上でモーションタイムラプス風のカットに仕上げることもできます。このあたりはまた別の回でまとめてご紹介したいと思います。

モーションタイムラプスの機材。昔に比べ、色々なメーカーが参入してきたこともあり、自分好みのものを選べるようになってきた。

まとめ

今回は星空のタイムラプス動画を制作しよう!の第一回目ということで、必要な機材についてご紹介いたしました。動画という言葉から、動画撮影に強い機材が必要なのでは?と思う方もいるかもしれませんが、タイムラプスは連続して撮影した静止画を動画にするという性質上、動画撮影に長けているカメラは必要なく、普段お使いの機材をそのまま使えるというのがお分かりいただけたなら嬉しいです。

次回は撮影編ということで、星空のタイムラプス動画用の素材写真を撮影する上で必要になる知識やテクニックをご紹介したいと思います。ぜひ次回の更新を楽しみにお待ちいただければと思います。写真家の北山輝泰でした。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

■写真家:北山輝泰
東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。天文台インストラクター、天体望遠鏡メーカー勤務を経て、2017年に写真家として独立。世界各地で月食や日食、オーロラなど様々な天文現象を撮影しながら、天文雑誌「星ナビ」ライターとしても活動。また、タイムラプスを中心として動画製作にも力を入れており、観光プロモーションビデオなどの制作も行っている。星空の魅力を多くの人に伝えたいという思いから、全国各地で星空写真の撮り方セミナーを主催している。セミナーでは、ただ星空の撮り方を教えるのではなく、星空そのものの楽しさを知ってもらうために、星座やギリシャ神話についての解説も積極的に行なっている。

 

 

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