写真家 木村琢磨がOMシリーズと巡る胡椒の聖地カンボジア ~胡椒職人を訪ねて4000km~【後編】

木村琢磨
写真家 木村琢磨がOMシリーズと巡る胡椒の聖地カンボジア ~胡椒職人を訪ねて4000km~【後編】

恵の雨、市場と胡椒畑

胡椒の聖地カンボジアを巡る旅の後編となります。まだ前編を読んでいない方は是非前編も合わせて読んでいただけると幸いです。
前編では胡椒畑に向かう前日までの旅の記録でしたが、後編ではいよいよ私が訪れてみたかった胡椒畑に向かいます。
この時すでにカンボジアに滞在して4日目とスケジュールの折り返し地点に来ていました。楽しい時間は本当にあっという間に過ぎていきます。

早速胡椒畑に向かおうとレンタルバイク屋に行って、バイクを借りて、いざ出発…!
のつもりが、ここで雨季のカンボジアの洗礼を受けます。
「ドーーーーーーーーーーーーーー!!!」
っとけたたましい轟音と共に雨が降ってきました。
胡椒畑まではバイクに乗って約1時間の移動なのですが、とてもバイクで移動できるような状況でもなく。カメラは防塵・防滴なので全く心配していませんが人間の方がとてもじゃないですが耐えられません。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離:17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/800秒 絞り値F1.8 ISO感度200
胡椒畑に行くためにレンタルしたバイク。乗る前に店主の方が綺麗にしてくれたんですが、方法が大胆。背中からは雨を、正面はホースからの散水を浴びました。防塵・防滴のカメラで本当に良かった…。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/320秒 絞り値F1.8 ISO感度200
レンタルバイク屋さんの子どもと犬。カンボジアは犬の数が多く(飼い犬も野良犬もたくさん)街中スナップを撮影しているとよくフレームインしてきます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/160秒 絞り値F5.6 ISO感度200
雨季のカンボジアの雨は突然降って突然何事もなかったかのように止む。この繰り返しです。雨季のカンボジアにカメラを持っていく場合は防塵・防滴のカメラかすぐに収納できる防滴仕様(可能であれば防水)のカメラバッグがないとちょっと怖いです。

20分くらいでしょうか、滝のような雨が降り続いて少しマシになってきたけど1時間バイクで移動するにはまだちょっと難しいかな?という雨の降り方。
雨で足止めを食っているとレイナさんから雨が止むまで近くの市場に行ってみませんか?と提案していただいたので近隣の市場に行ってみることにしました。
カンボジアの人にとって市場は生活の中心であり、交流の場にもなっているようです。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離8.0mm (35mm換算)16.0mm シャッター速度1/50秒 絞り値F5.6 ISO感度1600
市場入り口付近にて。隙間なくお店が並んでいて売っているものもさまざま。生鮮もあれば日用雑貨、何に使うのかわからないものまでたくさん売っています。市場での撮影は広角から標準までカバーしている8−25mm PROが活躍してくれます。市場は暗いですがOM-5 Mark IIの高感度はクリーンな結果を得られるので、ここではシャッタースピードと被写界深度を優先して高感度を選択します。

市場は屋根に覆われているため基本的に少し暗いです。たまに隙間から自然光が差し込んでいる場所もありますが、基本的には屋内撮影と考えてもいいでしょう。人が多くレンズ交換をする余裕もなく、できたとしても人が多い中でのレンズ交換はリスクが高いので、レンズ交換をしなくても良いようにM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROとOM-5 Mark IIの組み合わせで撮影しました。

OM-3よりも一回り小さいOM-5 Mark IIは、狭い場所でのスナップや人物にぐっと近寄って撮影させてもらう時に威圧感を与えることなく撮影できるので重宝しました。私がOM SYSTEMのカメラが旅に最適だと考えるのはコンパクトなのはもちろん被写界深度も深く、手ぶれ補正も強力、防塵・防滴なので今回のように雨が続く日でも安心して使える…などメリットがかなり多いからです。そしてM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROのように超広角から標準までカバーしてくれる純正レンズの存在も大きいです。

雨降りの市場は湿度もかなり高く、空気の循環もあまり良くないので防塵・防滴のカメラでなければちょっと怖いなと思いました。私がメインで使っているOMシリーズは防塵・防滴が当たり前になっているので無意識のうちにその恩恵を受けているのだなと。
たまに他メーカーのカメラを使うと「そういえばこのカメラ防塵・防滴じゃなかった…」とびしょびしょになったカメラを見つめながら独り言を呟くことも少なくありません。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離8.0mm (35mm換算)16.0mm シャッター速度1/80秒 絞り値F4.0 ISO感度3200
8-25mm PROの8mmで撮影。カンボジアの人にとっての「あたりまえ」を超広角で画角に収める。もしかしたらギョッとしてしまう人もいるかもしれません。カンボジアに来て感じたことは「命の距離感が近い」ということ。日本にいると当たり前のことがカンボジアでは当たり前ではないことが多いです。「食材は命」という当たり前のことを改めて実感します。
■撮影機材:OM- 5Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離15.0mm (35mm換算)30.0mm シャッター速度1/50秒 絞り値F5.6 ISO感度1600
市場ではカンボジアの調味料もたくさん売られています。少しクセの強いものが多いですが、そのクセが好みに合ったらもう最高の旅になること間違いなしです。魚醤やパームシュガーなど色々な調味料が所狭しと並んでいます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離8.0mm (35mm換算)16.0mm シャッター速度1/60秒 絞り値F4.0 ISO感度1600
乾物、調味料、雑貨…なんでも売っているお店を撮らせていただきました。8−25mm PROの開放F4.0で撮影。マイクロフォーサーズなのでF4.0でも被写界深度が深くパンフォーカスを狙いやすいです。

市場をぐるりと一周したところでちょうど雨も止み胡椒畑に向かうことにしました。バイクは二人乗りでレイナさんが運転をしてくれました。後ろに乗った私はバス移動の時と同じく移動中もスナップを撮影。普段はカメラストラップを使わないタイプの人間なのですが、流石に落としてしまうのが怖いのでOM-3にはカメラジャケットとストラップをつけた状態で撮影を行います。

実はバイクの二人乗りはほとんど経験がないので最初は結構ビビってました。
すぐ「落ちたらどうしよう」「コケたら相当なケガだよなぁ」と考えてしまうのですが写真を撮り始めたらそんなことあっという間に忘れて、むしろいつもと違う環境での撮影が楽しくなってきます。慣れてくると自ら身を乗り出して撮影したりしていたので私にとってカメラはお守りみたいなものかもしれません。

カンボジアはストレートな道が多くひたすらまっすぐ走り続けます。たまにラウンドアバウトや交差点があるのですが、たまに過ぎて曲がるところを間違えてしまうことも。ちなみに信号機もほとんどありません。胡椒畑まで一つだけ信号機がありましたが少し大きな市場がある交差点だからという感じです。北海道の美瑛をドライブした時のことを思い出しました。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/4000秒 絞り値F5.6 ISO感度400
カンボジアの道は基本的にまっすぐなストレートが多いです。カンポットに向かうバスもトータル10時間近い移動でしたが曲がったのは数回程度でした。バイクからの撮影なので操作はなるべくシンプルに、ということでOM-3にM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 IIを組み合わせて撮影。ズームと違って画角で迷うこともなく、コンパクトで場所を取らないので最高の組み合わせです。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離:17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/200秒 絞り値F1.8 ISO感度400
胡椒畑近くの小さな市場にあるコーヒーショップにて。ショップオーナーの娘さんがすごく懐いてくれたので何枚か写真を撮らせてもらいました。OM-3に17mmを装着していたので周りの雰囲気も少し入れつつニコニコ笑顔の表情をアップで切り取ることができました。顔認識のおかげで瞳にバッチリピントが合いました。

約1時間バイクで移動し、ようやく胡椒畑に到着。
青空に映える赤土の道。これぞカンボジアの景色という道をバイクで進んでいきます。この赤土が美味しい胡椒の秘訣。この景色だけでもテンション上がってきますね。

今の時期は胡椒の収穫もほとんど終わっていて今は胡椒の木のメンテナンス期間とのこと。私が訪れた時は職人さんたちが胡椒茶(胡椒の実の軸を乾燥させたもの)の選別作業を行われていました。黙々と作業をされている中にカメラを持って入らせていただき少し撮影させていただきました。カンボジアで人物を撮影していて思うのは、あまりカメラを気にされないなということです。文化の違いもあると思いますがカンボジアでは少し会釈してアイコンタクトを取ったら撮影スタートという感じで。私が全くクメール語を話せないというのもあるのですが。今回は「写真撮影」がカンボジアの人とのコミニュケーションツールとなり、会話はできなくても気持ちは通じ合えた気がしています。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 40-150mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離:40.0mm (35mm換算)80.0mm シャッター速度1/3200秒 絞り値F4.0 ISO感度200
胡椒畑に続く赤土の道。カンボジアといえばこの赤土の景色なのですが近年ではこの赤土がコンクリートで埋め立てられているところも多いらしく、もしかしたら今しか見ることができない景色になってしまうのかもしれません。ちなみに赤土の上をバイクが走ると信じられないくらい土煙が舞うので服もカメラもめっちゃ汚れます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離:14.0mm (35mm換算)28.0mm シャッター速度1/1250秒 絞り値F4.0 ISO感度1600
胡椒畑の建物の中では胡椒茶の選別作業が行われています。一つ一つ職人さんたちの手作業で丁寧に選別されている現場に感動。これが製品となって日本に届いているんだなと考えると非常に感慨深いです。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離15.0mm (35mm換算)30.0mm シャッター速度1/500秒 絞り値F4.0 ISO感度1600
立体感を出すために立ち位置を変えて逆光ポジションで撮影。
OM-5 Mark IIと8−25mm PROの相性は素晴らしく、描写も使い勝手も良い組み合わせです。OM-5 Mark IIは2000万画素ですが体感的に画素数以上に写っているなと感じます。よく写る小さなカメラはそれだけでモチベーションが上がります。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離:25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/500秒 絞り値F4.0 ISO感度1600
選別作業中の職人さんをローポジションから撮影。OM-5 Mark IIはバリアングルモニターなのでローアングルやハイアングルなどファインダーを覗きにくいアングルでも撮影がしやすいです。私の撮影スタイルがファインダーよりも背面モニターを見ながら撮影することも多く、タッチシャッターを多用するスタイルなのでバリアングルモニターはなくてはならない機能・仕様の一つです。

しばらく胡椒茶の選別作業を撮影させてもらっていると職人さんたちのお昼休憩の時間に。私にもご飯を作ってくれるとのことで料理を作るところを撮影させてもらいます。職人さんがハシゴを使ってヤシの木に登りココナッツを取ってくれました。カンボジアに来て色々な景色を見ていますが、バナナやヤシの木、マンゴーの木など野生のフルーツの木がすごく多いです。そしてそれを上手に活用して暮らしているなと感じました。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離:8.0mm (35mm換算)16.0mm シャッター速度1/1250秒 絞り値F5.6 ISO感度800
職人さんがお手製のハシゴを使ってヤシの木に実るココナッツを取ってくれました。有るものは最大限に活用し無いものは自分たちで作る。そんな生き方をしている職人さんたち。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:絞り優先 焦点距離25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/40秒 絞り値F5.6 ISO感度200
職人さんたちが採れたてのココナッツをナタで削ってストローを挿して飲めるようにしてくれました。冷蔵庫に冷やしていたわけでもないのに中は少しひんやりしています。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:絞り優先 焦点距離13.0mm (35mm換算)26.0mm シャッター速度1/800秒 絞り値F5.6 ISO感度1600 露出補正+0.3EV
畑の女性たちが職人さんたちのお昼ご飯の準備をしています。このロケーションだけで絶対美味しいご飯が出来上がるのが容易に想像できます。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:絞り優先 焦点距離:25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/250秒 絞り値F4.0 ISO感度1600
胡椒畑での調理方法は薪火です。これだけでも絶対美味しいですよね。料理を作ってくれたアーさんは私にとってカンボジアの母です。作ってくれた料理はどれも自分の口に合いましたし、今まで食べた料理の中でもダントツでトップクラスの美味しさです。アーさんの手料理は完全にカンボジアのおふくろの味です。
■撮影機材:OM-5 Mark II + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm F2.8 Macro
■撮影環境:絞り優先 焦点距離60.0mm (35mm換算)120.0mm シャッター速度1/160秒 絞り値F5.6 ISO感度400 露出補正-0.3EV
8-25mm PROだとパースが気になるので60mmマクロに交換して撮影。アーさんが作ってくださったカンボジアの家庭料理。味はもう超絶品。少し酸味の効いたスープがご飯とよく合います。どれもスパイシーで日頃からこういう料理を食べているからカンボジアの人は暑さに強いんだなと。
先ほどの料理を撮影している様子。60mmマクロだとこれくらいの距離感で画面いっぱいに収まります。料理を撮影する時は半逆光になるアングルで撮影すると料理の立体感が強調され発色も良くなります。こうして客観的に見ると改めてOM-5 Mark IIの小ささが際立ちます。60mmマクロがスリムなレンズなので余計にコンパクトに感じます。(撮影:木下レイナさん)

ご飯も食べ終わり胡椒畑に案内してもらいます。雨季なのでいつ雨が降ってもおかしくない状況だったのでレンズも防塵・防滴仕様の物を選びます。今回はスナップ用にM.ZUIKO DIGITAL ED 8−25mm F4 PROと、胡椒の実や花を撮影するのにM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 MacroをOM-5 Mark II用に選択。OM-3には防塵・防滴仕様になったM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 IIを組み合わせて撮影します。F1.8シリーズの防塵・防滴化は需要が高いので既存の45mmや75mm、そして12mm F2.0の防塵・防滴化を待ち望んでいる人も多いと思います。OM-3が登場してからこの単焦点シリーズの需要は間違いなく高まっているので楽しみに待ちましょう。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:絞り優先 焦点距離25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/2500秒 絞り値F4.0 ISO感度400 露出補正-0.3EV
お昼ご飯も食べ終わり胡椒畑に案内してもらいます。空の表情が少し怪しくなってきました。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境::絞り優先 焦点距離:8.0mm (35mm換算)16.0mm シャッター速度1/500秒 絞り値F4.0 ISO感度400 露出補正+0.3EV
職人さんたちはとても働き者で休憩が終わるとすぐに作業に取り掛かっていました。お手製のハシゴをつかって胡椒の木のてっぺん付近で作業をしています。アイレベルより低いウエストレベルで撮影することで胡椒の木の大きさを表現することができました。

胡椒畑に到着するとすでに職人さんたちが仕事を始めていました。植物で作った紐を使って胡椒の木を支柱にくくりつけています。胡椒の木は支柱にツルを這わせるように育てます。大きなもので5mほどのサイズになるそうです。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:絞り優先 焦点距離:25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/500秒 絞り値F4.0 ISO感度400 露出補正+0.7EV
職人さんが一つ一つ手作業で紐をくくりつけています。胡椒の木は何百本もあるので非常に根気のいる作業です。普段、当たり前に使っている調味料ですが元を辿ると必ずそこに携わってくれている人がいて、その人たちのおかげで自分の手元に製品となって届いています。胡椒畑を訪れて自分の目で見たことで身の回りにある製品に対する思いが大きく変わりました。
■撮影機材:OM-5 Mark II + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm F2.8 Macro
■撮影環境:マニュアル 焦点距離:60.0mm(35mm換算)120.0mm シャッター速度1/200秒 絞り値F2.8 ISO感度400
胡椒の木を支柱にくくりつけていた紐は植物でできています。これには理由がちゃんとあり、胡椒の木の成長を妨げないためだとか。人工的な素材だと強過ぎて胡椒の木の成長に悪影響が出るそうです。素人考えだとギュッとしっかり括り付けたくなりますが胡椒の木目線で考えると確かにそうだなぁと。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:絞り優先 焦点距離:18.0mm (35mm換算)36.0mm シャッター速度1/160秒 絞り値F5.6 ISO感度400 露出補正+0.3EV
少し雨が降ってきた胡椒畑。胡椒にとっては恵みの雨です。職人さんたちと比較すると胡椒の木のサイズ感が良くわかると思います。日本で暮らしていると胡椒の木を見ることもなかなか無いと思います。

胡椒の実の収穫はほとんど終わってしまっているのですが、よーく見るとまだ残っている胡椒の実がところどころに。OM-5 Mark IIにM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroを装着して胡椒の実を撮影します。マイクロフォーサーズだとマクロレンズでなくとも接写が可能なレンズが多いのですが、近接になるほど描写が最適化されたマクロレンズの写りはやはり別格です。ついついマクロレンズ以外で撮影してしまうのですが今回の撮影でマクロレンズはやっぱりいいなぁ〜と再認識しました。

生の胡椒の実を見たことがある人はあまりいないと思います。胡椒好きの私も今回カンボジアに来て初めて実っている状態を見ることができました。細長いブドウのような、大きめの海ブドウのような…言葉では表現が難しいので撮影した写真を見ていただいてこれが胡椒の実かと思っていただければと思います。

日本だと粉になっているもの、もしくは乾燥した黒胡椒のホールくらいしか見る機会はないと思います。食は人間が生きていく上で必要不可欠な要素です。食材の元を辿っていくとそこには生産者の方がいて、その方達のおかげで食卓にさまざまな料理を並べることができています。一部ではありますが、その生産者の方の活躍を自分の目で見て、こうして写真として残せたことは写真家として(胡椒好きとしても)最高に嬉しいことです。
カメラも同じですね。作ってくれる人・メーカーさんのおかげで今こうしてカンボジアで見たものを写真として残すことができています。

■撮影機材:OM-5 Mark II + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm F2.8 Macro
■撮影環境:絞り優先 焦点距離60.0mm (35mm換算)120.0mm シャッター速度1/800秒 絞り値F5.6 ISO感度800 露出補正-1.7EV
これが収穫される前の胡椒の実です。赤土が付着したままで非常にワイルドな表情をしています。胡椒の実の立体感を出すためにハンディのLEDライトを左側から当てて粒々感を強調しています。これを収穫して乾燥させると私たちが知っている「黒胡椒」になり、この緑の実を収穫せず完熟させると「赤胡椒」に、さらにその赤胡椒の皮を剥くと「白胡椒」になります。黒胡椒、赤胡椒、白胡椒、じつは全て同じ実からできています。
■撮影機材:OM-5 Mark II + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm F2.8 Macro
■撮影環境:マニュアル 焦点距離60.0mm (35mm換算)120.0mm シャッター速度1/2500秒 絞り値F8.0 ISO感度1600
赤くなっている完熟の胡椒を見つけました。緑の実と赤い実がわかりやすい房があったのでマクロレンズでディテールがわかる距離感まで寄って撮影。実の撮影を始めてから急に雨が強くなってきたので私もカメラも胡椒の実もびしょびしょです。この雨のおかげで艶やかな胡椒の実が撮影できたので写真にとっても恵の雨ですね。
撮影中かなり強めの雨が降っていましたが撮影に夢中になっていると全く気になりません。その結果シャワーを浴びたのかと思うほどのずぶ濡れ。そんな中でも全く臆することなく撮影ができるOM-5 Mark IIの防塵・防滴性能には驚かされます。60mmマクロも防塵・防滴仕様なので安心して撮影を続けられました。
■撮影機材:OM-5 Mark II + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm F2.8 Macro
■撮影環境:マニュアル 焦点距離60.0mm (35mm換算)120.0mm シャッター速度1/2500秒 絞り値F2.8 ISO感度1600
雨ならではの写真も撮影しておこうと思い、胡椒の葉からこぼれ落ちる雫をプロキャプチャーで撮影しました。通常の撮影ではなかなかシャッターチャンスが難しいシーンですがプロキャプチャーはシャッターを切る前から記録されているのでほぼ100発100中です。プロキャプチャーはOMシリーズ全機種に搭載されているのでぜひ一度使ってみてほしい機能の一つです。
■撮影機材:OM-3 + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm F2.8 Macro
■撮影環境:マニュアル 焦点距離60.0mm (35mm換算)120.0mm シャッター速度1/800秒 絞り値F5.6 ISO感度800
これは胡椒の花です。ものすごく小さい白い花がいくつも咲いています。60mmマクロの最大倍率で撮影していますがそれでもまだ小さいくらいです。画面上で花のサイズを測って見ると1.0mmぴったりでした。花の根元が少し膨らんで丸みを帯びているのがわかると思います。これが大きくなって胡椒の実になるそうです。

胡椒の実の撮影も一通り終えた頃にちょうど雨も止み、職人さんたちが畑に作業の続きを行うために戻ってきました。胡椒畑の上には黒いシートが張り巡らされているのですが、このシートを張り替える作業を行うようです。
この黒いシートは直射日光を軽減する役割と胡椒の木に直接雨が当たらないようにするためのもので、胡椒の木に直接強い雨が当たると実が落ちてしまうこともあるのでそれを防ぐ役割があります。胡椒の木の水やりは下から上に向かってが基本で赤土から吸い上げる栄養たっぷりの水で成長していきます。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/1600秒 絞り値F1.8 ISO感度200
シートの張り替え作業を行う職人さんたち。胡椒畑にはいつも笑顔が溢れています。撮影させていただいていて感じるのは日本と違ってパーソナルスペースが狭いこと。距離感が圧倒的に近いので広角〜標準のレンズをメインに撮影することができたことでよりリアルな現場を撮影することができました。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/2000秒 絞り値F1.8 ISO感度200
カメラを向けるとみんな笑顔で応えてくれます。私は現地の言葉クメール語は全く喋ることはできませんが「撮影」が職人さんたちとのコミュニケーションになったような気がします。

シートの張り替え作業をしている職人さんを追いかけるように撮影させてもらいます。
距離感の近い撮影ですが全く気にしている様子もなくカメラを向けるとみなさんニコニコ笑顔で返してくれます。
OM-3とOM-5 Mark IIのサイズ感とM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 IIとM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROのサイズ感が畑でのスナップではちょうど良かったです。基本的にOM-3はストラップでぶら下げておいてOM-5 Mark IIは手持ちで持ち歩くスタイルです。

OM-3はカメラジャケットとストラップを装着して斜めがけでぶら下げた状態に。雨が降っていても気にする必要がなくカメラバッグに退避させずに済むので撮りたい時にすぐ撮れるのが強み。念の為、雨粒が前玉につかないようにレンズキャップは装着しておきます。胡椒畑の土は赤土で宙に舞いやすい土なのでカメラが汚れやすい。こういうシーンではカメラとレンズの防塵性能が生きてきます。(撮影:木下レイナさん)
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離8.0mm (35mm換算)16.0mm シャッター速度1/1000秒 絞り値F5.6 ISO感度400
職人さんが胡椒の木の植え替え作業をしている様子。古くなった胡椒の木を大胆に支柱から剥がしていきます。胡椒の木は約10年周期で植え替えをするようです。剥がす瞬間に赤土が舞い、胡椒の木からたくさんの「蟻」が降ってきます。赤土が舞う中、防塵・防滴性能を活かして作業の邪魔にならないギリギリの距離まで近づきます。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/2000秒 絞り値F1.8 ISO感度200
胡椒の木を育てる赤土。赤土の住人も顔を出す。「お?」っと興味が湧いた被写体をサッと撮りたい時はOM-3と17mm F1.8 IIの組み合わせが速写性も高くて便利。OM-3はカメラそのもののレスポンスも良いのでストレスを感じません。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 40-150mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離150.0mm (35mm換算)300.0mm シャッター速度1/1000秒 絞り値F4.0 ISO感度400
胡椒の木を見つめる職人さん。背景の胡椒の木を圧縮するために40-150mm F4.0 PROにレンズを交換して撮影。旅のお供にはF4.0のPROズームレンズが重宝します。F2.8まで開けて撮影することもあまりなく、それよりもレンズのサイズとカバーしている焦点距離が重要となってきます。旅に持ち出すレンズで迷ったらF4.0のPROズームレンズを持っていけば間違いはないです。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/1600秒 絞り値F1.8 ISO感度200
胡椒の木の植え替えをしている若い胡椒職人さん。彼はこの胡椒畑で最年少の職人さんとのこと。胡椒畑で育ち、胡椒畑で働き、胡椒畑で生きる。すごくかっこいい生き方です。

撮影に夢中になっていると時間が経つのを忘れます。現地時間17時を迎え、胡椒畑での仕事が終わり職人さんたちが胡椒畑の家に戻って行きます。家の前では職人さん家族が団欒中。私もその中に入らせていただくことに。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/800秒 絞り値F1.8 ISO感度800
仕事が終わり畑に隣接した家の前で団欒中の職人さん家族。胡椒畑の時間の流れはとてもゆっくりしていて、島時間に近いものを感じます。畑にいる間は時間を全く気にせず過ごしていました。カンボジアの胡椒畑の時間を味わうと日本はとてもせかせかしているなと感じます。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/500秒 絞り値F1.8 ISO感度800
職人さんの娘Vanlyちゃん。最初は警戒されていましたが、あっという間に仲良くなりました。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/320秒 絞り値F1.8 ISO感度800
レンズを25mm F1.8 IIに交換して撮影。F1.8の開放で撮影すると程よいボケを得られ被写体が浮き出たような立体感ある一枚に。F1.8のII型は17mmと25mmと2本ラインナップされていますが、個性が全く違うのと描写の傾向も全然違うので使い分けがしやすいです。17mmは少し柔らかい写りで、25mmは解像感と立体感を求める人にはピッタリです。
■撮影機材:OM-3 + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8
■撮影環境:マニュアル 焦点距離45.0mm (35mm換算)90.0mm シャッター速度1/400秒 絞り値F1.8 ISO感度800
Vanlyちゃんをモデルに45mm F1.8でポートレート撮影。F1.8による浅い被写界深度が特徴のレンズです。レンズそのもののサイズもかなり小さいので「とりあえず持っていく」という選択が可能です。F1.8の単焦点シリーズの中でもトップクラスに解像するレンズにも関わらずリーズナブルなので「初めての単焦点レンズ」にもぴったりです。

胡椒畑2日目

カンボジアに取材に行くとなると電源周りを気にされる人も多いですが、一般的なグレードのホテル(日本円で一泊3000〜5000円)に宿泊すれば日本と同じくらいの環境で過ごせるので全く心配はありません。
胡椒畑の初日の取材が終わるとホテルに戻り機材周りのメンテナンスやバッテリーの充電をして2日目に挑みます。電源は日本のものと違うので変換が必要ですが場所によってはそのまま日本のコンセントが使えるところもあります。

今回カンポットで宿泊したホテル「Romano Hotel & Resort」一泊約4000〜5000円ほど。カンボジアだから…と不安がっている人もいるかもしれませんが、日本のビジネスホテルと同じかそれ以上の宿に泊まることができます。ルームサービスは最高!…とはいえませんが、あとシャワーが水しか出なかったり…笑。普通に寝泊まりする分には全然OKでした。

防塵・防滴だからとメンテナンスをおろそかにすると機材の寿命に影響します。特に水分は拭き取ってなるべく乾燥させておくことで浸潤現象(わずかな隙間などから水分が内部に侵入する現象)を防ぐことができます。ボディについた砂埃も付着したままだと、レンズ交換をした際にボディについていた埃などがセンサー表面に落ちてしまうことがあります。

今回カンボジアに持ってきているOM-5 Mark IIは旧型と比較してボディデザインが刷新されていて、ボディの段差がなくなりフラットなデザインになっているのでホコリ等がボディに付着しにくい設計になっています。このちょっとした差が大きな違いを生むのでボディのデザインは結構重要だったりします。

今回、カンボジアの胡椒畑には2日間滞在し取材させていただきました。
初日に続き2日目も天候は不安定で晴れていると思ったら滝のような雨が降り出したり…と全く天気が読めません。
天気が読めない環境こそOMシリーズのようなオールラウンドカメラの出番です。
写真はカメラがなければ撮れません。今回のように旅に持ち出すのであればなるべくコンパクトなカメラがいいし、どんな環境でも撮影ができることが最優先でしたので機材選びは迷いませんでした。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/400秒 絞り値F8.0 ISO感度400
胡椒畑二日目。雨が降る中でのスタートです。雨が降っていても作業の手を止めることのない職人さんたちについていくのはなかなか体力が必要です。雨に濡れるだけでも通常よりも動きにくかったりレンズに雨粒がついてしまったりで快適とは言えません。そんな環境でもOMシリーズのカメラのおかげで撮影を続行することができました。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/2500秒 絞り値F4.0 ISO感度800
二日目は胡椒の木の頭上に張り巡らされているワイヤーの張り替え作業を撮影させてもらいました。何十メートルもあるワイヤーを巻き取って張り替えていきます。快晴も期待していましたが、撮り始めると曇天の空がいい雰囲気を作ってくれたなぁと。曇天で全体的にコントラストが低い状況なので、設定でコントラストを高めにして職人さんの「かっこよさ」を演出しました。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離8.0mm (35mm換算)16.0mm シャッター速度1/3200秒 絞り値F5.6 ISO感度200
雨が降り続く中での撮影なのでレンズの前玉には雨粒が付着しっぱなしです。黒いまだらになって写っているのが雨粒です。防塵・防滴のレンズとボディでなければなかなか撮影できない環境でした。この雨が今回の胡椒畑の撮影でのいいアクセントになってくれたなと思います。モノクロで職人さんのかっこよさを最優先して撮影。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離15.0mm (35mm換算)30.0mm シャッター速度1/200秒 絞り値F4.0 ISO感度800
午前中の仕事も終わって食事の時間に。畑には犬、猫、鳥が当たり前のように歩き回っています。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離8.0mm(35mm換算)16.0mm シャッター速度1/200秒 絞り値F4.0 ISO感度800
職人さんたちのお食事タイムです。私も同じご飯を分けていただきました。屋根があると言っても感覚的には基本屋外なので毎日がキャンプのような生活です。
■撮影機材:OM- 5Mark II + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm F2.8 Macro
■撮影環境:マニュアル 焦点距離60.0mm (35mm換算)120.0mm シャッター速度1/320秒 絞り値F4.0 ISO感度1600
二日目のご飯も絶品でした。料理名などは全くわからないのですが、骨付きのスペアリブのような感じです。距離感の近い料理はマクロレンズで撮影すると美味しそうに写ってくれます。また胡椒畑のご飯を食べたくなってきました。

職人の人たちはよく働き、よく食べ、よく休み、そしてまた働くの繰り返しです。
食事が終わると休み時間に入るので職人さん各々で休憩したりなにか作ったり、準備をしたりしています。
私も「胡椒畑の時間」に合わせて過ごしてみました。とにかくのんびり、生き急がない。よく食べてよく休む。何といえば良いのか、すごく人間らしい生き方をしているという時間を得られます。日本にいるときはいつも何かに追われているようなそんな毎日ですが、ここカンボジアの胡椒畑では何にも追われることもなくゆったりとした時間が流れています。まさにデトックスです。

職人さんはお昼を食べたらハンモックへ。胡椒畑にはいくつものハンモックが設置されていてみんなハンモックでお昼寝を楽しみます。
私もハンモックで一休みさせてもらいましたが雨男パワーのせいか大雨に。雨季のカンボジアパワーとの相乗効果で嵐のような天気に…。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離25.0mm (35mm換算)50.0mm シャッター速度1/30秒 絞り値F5.6 ISO感度200
家の中に設置されたハンモックで休憩中の職人さん。よく働くためによく休む、すごく理にかなっていますね。日本人はついつい働き過ぎてしまう傾向ですがしっかりと休んだ方が間違いなく効率がいいですね。
■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/800秒 絞り値F4.0 ISO感度800
畑の猫もしっかり休んでいます。
OM-3とOM-5 Mark IIを携えて胡椒畑に設置されたハンモックで一休み。気持ちよ過ぎて職人さんがハンモックに直行する理由がわかります。私も家にハンモック欲しいって思いました。ちなみに、ハンモックの使い方間違ってるっぽいんですが職人さんも同じ使い方してるからまぁいいか…笑(撮影:木下レイナさん)

休憩が終わると同時くらいに先ほどまでの大雨が嘘のように止んで青空が顔を覗かせます。雨季のカンボジアの天気は本当に気まぐれで予報を見て計画を立てるのではなく、天候に合わせてこちらが臨機応変に対応するのがベストです。
日本と違って湿度が少ないので雨上がりは一気にカラッとしてすごく気持ちがいいです。

■撮影機材:OM-5 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL 8-25mm F4.0 PRO
■撮影環境:マニュアル 焦点距離8.0mm (35mm換算)16.0mm シャッター速度1/1600秒 絞り値F5.6 ISO感度200
灰色の空から一気に青空に。カンボジアの赤土が青空によく映えます。
■撮影機材OM-5M Mark II + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm F2.8 Macro
■撮影環境:マニュアル 焦点距離60.0mm (35mm換算)120.0mm シャッター速度1/250秒 絞り値F2.8 ISO感度800
胡椒畑で胡椒の木の生育状況を確認するレイナさん。胡椒の味や風味は収穫年によって差があるそうです。胡椒の品質はワインに例えられることもありますが、まさにその通りなのだなと。この写真はマクロレンズで撮影しましたがマクロレンズだから近くのものしか撮ってはダメなんてルールはありません。むしろこの60mmマクロは柔らかい写りでポートレート撮影にも向いています。ボケ味も綺麗ですね。
■撮影機材:OM-5 Mark II + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 60mm F2.8 Macro
■撮影環境:マニュアル 焦点距離60.0mm (35mm換算)120.0mm シャッター速度1/250秒 絞り値F2.8 ISO感度800
60mmマクロの絞り開放で撮影。柔らかな描写でもしっかり解像しています。まさに遠近両用の万能レンズ。

夕方になりそろそろ胡椒畑を後にする時間が迫ってきました。
職人さんたちも仕事がひと段落したようで片付けを始めています。
張り替えていた畑の頭上のワイヤーはみんなで回収してひとまとめに。何に使うんだろう?と考えていたらこのワイヤーは業者が回収して買い取ってくれるとのこと。金属資源が豊かではないカンボジアにとって金属リサイクルは重要な役割を担っているようです。

■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/2000秒 絞り値F4.0 ISO感度800
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距:17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/2500秒 絞り値F4.0 ISO感度800
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/2500秒 絞り値F4.0 ISO感度800
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/5000秒 絞り値F4.0 ISO感度800
夕方になり職人さんたちも仕事の片付けに入ります。職人さんたちの手によって胡椒の木が剥がされ支柱が剥き出しに。またこの畑で新しい胡椒の木が成長し、新たな実をつけて収穫・加工され私たちの食卓に届けられのです。全てではないけど実際にこの目で見て、自分の手で記録してこうして誰かに伝えられることを幸せに思います。
■撮影機材:OM-3 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
■撮影環境:マニュアル 焦点距離17.0mm (35mm換算)34.0mm シャッター速度1/2500秒 絞り値F4.0 ISO感度800
胡椒畑で最後に撮影した一枚。廃材を積んだトラクターに乗る職人さんたちを別れ際に撮影させていただきました。少し哀愁漂う一枚になった気がしますがそれは私が胡椒畑にもっと滞在したかったなという気持ちの表れかもしれません。写真は撮り手を写す鏡のようなものなのできっとそうでしょう。

撮影を終えて

カンボジアには計8日間滞在しました。
今回のこの記事はそのうちの約半分である5日間の取材を、簡単にですがまとめたものとなっています。
写真家として、カンポットの胡椒畑や畑で働く職人の方たちを撮影してみたい。現地カンボジアで胡椒の魅力を発信している日本人の木下レイナさんの活動を、写真を通じて少しでも伝えられたらと思い、普段から愛用しているOM SYSTEMのカメラを持ってカンボジアに向かいました。
私も「写真を撮る職人」の一人として、カンボジアの「胡椒を育てる職人たち」と写真を通じてコミュニケーションができたことが何より嬉しかったです。

胡椒畑を去る前に職人さんと胡椒ソムリエの木下レイナさんと記念撮影。写真家としてこの胡椒畑に来られたことが最高に嬉しく、この胡椒畑の職人さんの生き方を被写体に自分の新しいライフワークにできたらとそう思いました。

写真家はカメラが手元にあって初めて作品を残すことができます。
今回の旅はOM-3とOM-5 Mark IIがあったからこそ実現した内容となっています。違う機材でももちろん撮影はできますが、使い慣れた機材は自分の体の一部のようなものなので、感覚で撮影できることとシャッターチャンスに強いのは確かです。
いつもであればズームレンズメインをメインに撮影していたシーンも、OM-3の登場により単焦点を使って撮影するシーンもかなり多かったです。

今回の旅で大活躍してくれたOM SYSTEM OM-3(上)とOM-5 Mark II(下)
OM-3の後ろに敷いている布はカンボジアの伝統布「クロマー」と呼ばれる物。日本でいう手ぬぐいに近いかも。
見ていただいたらわかるようにどちらのカメラも非常にコンパクトでカメラボディとレンズのバランスもちょうど良い。様々なセンサーサイズのフォーマットが各社よりラインナップされていますが、私の中ではマイクロフォーサーズはシステム全体としてのバランスが非常に優れているため一番扱いやすいです。OM-3は中身は実質フラグシップ機のOM-1 Mark IIと同等ですがボディサイズはかなりコンパクト。グリップレスデザインなので大型レンズとの組み合わせよりも今回私がメインで使用していた17mm F1.8 IIや25mm F1.8 IIのような小型単焦点と組み合わせるのが楽しい。ズームレンズとの組み合わせはOM-5 Mark IIがカバーしてくれました。小型ボディにも関わらずグリップ設計がよくできており8−25mm PROや40−150mm F4.0 PROとの組み合わせでもバランスが崩れているようには感じなません。特に8−25mm PROとの相性が素晴らしく今回の旅でも大活躍してくれました。

ズームとは違う撮影スタイルと速写性は今回の取材で大きな武器となりました。
OM-5 Mark IIはまだ発表されて間もない時期だったのでメーカーさんから黒のOM-5 Mark IIをお借りしていました。OM-5 Mark IIはOM-5をメインに使っていた私にとってすんなり受け入れられる操作性に加え、OM-3とメニュー構成が同じになったことで使い勝手がさらに向上していました。その結果、レンズ交換をするのではなく、あらかじめ特性の違うレンズ(ズームと単焦点など)を装着したボディ2台(OM-3とOM-5 Mark II)を都度持ち替えながら撮影するスタイルが今回のメインスタイルになりました。

カンボジアから帰国してから手元に到着したMy OM-5 Mark IIのサンドベージュカラー。今までにないカラーで他の人とちょっと違う感じが最高です。きっとカンボジアの赤土の景色にもよく似合うカメラだと思います。サンドベージュが手元に来たことで次回の渡航がさらに楽しみになりました。

今回は雨季のカンボジアで胡椒の収穫もほとんど終わっていたため、100%自分が撮りたいものが撮れたわけではありません。なので、また次回は乾季のカンボジアを訪れて職人さんたちと向き合えたらと思っています。
OM-3と先日手元に届いたOM-5 Mark IIのサンドベージュを持って訪れようと思います。

 

■写真家:木村琢磨
1984年生まれ。岡山県在住のフリーランスフォト&ビデオグラファー。広告写真スタジオに12年勤務したのち独立。主に風景・料理・建築・ポートレートなどの広告写真の撮影や日本各地を車で巡って撮影。ライフワーク・作家活動として地元岡山県の風景を撮影し続けている。12mのロング一脚(Bi Rod)やドローンを使った空撮も手がけ、カメラメーカー主催のイベントやセミナーで講師を務める。

 

 

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