マクロで撮ろう梅の花|クニさんの季節の花レシピ
はじめに
まだまだ寒さが厳しい真冬でも、梅が咲き始めると春の近づきを感じてちょっとウキウキした気持ちになりますよね。
桜ほどの派手さはない代わりに、しっとり落ち着いていて慎ましい清楚な雰囲気に魅力を感じます。
そんな梅の花ですが、撮影するのは案外苦手という方も多いかもしれません。
密集して咲いているのでどこをどう撮っていいかわからない、また、枝が煩雑でどう処理していいかわからないという話もよく聞きます。
そのあたりのポイントも踏まえながら、マクロでの梅の撮り方についてお話ししていきたいと思います。
しっかり観察して花の特徴を掴もう
空に向かって伸びていくように咲く一輪の梅。
かわいらしい形や淡い色合いに魅力を感じてストレートに撮影しました。

■撮影環境:絞り優先AE・F2.8(-1.0)・ISO200・Portrait
暗い背景に置くことで淡いピンク色の印象を強めています。
さらに木漏れ日の光ボケや日の当たった花を色のボケとして取り入れて、生き生きと元気いっぱいのイメージで表現しました。
背景のボケは、絞りを開放にすることで大きく柔らかなボケにしています。
ここで絞ってしまうと、ボケに花や枝の形がはっきり出てきて煩雑な印象になってしまいます。
特徴的な部分を主役に
花を魅力的に撮影するには、しっかりじっくり観察することが大事です。
その花の特徴的なところ、面白いと感じるところを探してみましょう。
何かしら心惹かれる部分を見つけたら、それが主役になります。その部分を思い切りクローズアップして切り取ってみましょう!
梅の花の特徴的なところと言われて思い浮かぶのは、やはりシベではないでしょうか。
ひょろひょろとか弱く繊細な感じのシベ、なんだか心惹かれますよね。
しかしいざシベを撮ろうと思っても、たくさんあるシベのどこいピントを合わせたらいいの? どれを主役にしたらいいの? と悩むかもしれません。

■撮影環境:絞り優先AE・F2.8(+0.3)・ISO200・Portrait
そんなときこそしっかり観察です。よ~く見てみると、先端ががまるでチョウチョのような形をしているシベがあるのを見つけました。
その姿がかわいかったので、そのシベを主役に選んで撮影しました。
たくさんのシベが密集していますが、クローズアップで絞り開放にすると被写界深度が浅くなるため、主役以外のシベをボカすことができます。
小さな花なのでシベとシベの距離はほとんど離れていないのですが、しっかりボケてくれるのは絞り開放の効果ですね。

■撮影環境:絞り優先AE・F3.5(+0.7)・ISO200・Natural
こちらもシベを主役に真横のポジションから狙いました。
中央付近のシベにピントを合わせましたが、一番手前ではなく、ひとつ奥のシベにピントを合わせています。
そのため手前のシベがボケて、黄色い葯のボケがほのかに光る灯りのようなイメージになりました。
背景に咲く赤い梅をボケに入れて主役の白い花やシベの黄色い部分を強調しています。
等倍以上の拡大撮影にチャレンジ
一般的にマクロレンズでは等倍以上での撮影が可能になります。
OM SYSTEMはフルサイズのカメラと比べるとセンサーサイズが小さいため、同じ等倍のレンズで撮影してもより大きく撮影することができます(フルサイズ換算で2倍)。

■撮影環境:絞り優先AE・F3.5(+0.3)・ISO400・Portrait
マクロレンズの最短撮影距離で撮影してみると、小さな梅の花もここまで大きく撮影することができます。
ここではシベではなく、花びらのフチに焦点を当てて、シベのボケの面白さを狙ってみました。
また、OM SYSTEMの90mmマクロにはS-MACROという機能があります。
この機能を使うことで、特に他のオプションを追加することなく2倍(フルサイズ換算4倍)まで拡大撮影することができます。

■撮影環境:絞り優先AE・F5(+0.3)・ISO400・Portrait・S-MACRO
先ほどと比べるとかなり大きく撮れていることがわかりますよね。
ここまで大きくすると肉眼で見ているイメージとはかなり違う印象になっているのではないでしょうか。
さらにこのレンズではテレコンバーターを使用することができます。
2倍のテレコンバーターを使用すれば、なんと4倍(フルサイズ換算8倍)まで拡大できるようになります。
こちらの作品は2倍ではなく1.4倍のテレコンバーターを使用して撮影したものです。

■撮影環境:絞り優先AE・F7.1(+0.7)・ISO800・Portrait・S-MACRO
ここまで拡大すると、まるで顕微鏡で覗いたのかと思ってしまうぐらいです。
シベの先端についている黄色い部分は葯(花粉が入っている袋)ですが、単に黄色くて丸いのではなく、ツブツブが密集しているように見えますよね。
もはや肉眼ではまったく見えない姿。高倍率で撮影できるレンズならではの面白さです。
普段の撮影では三脚を使用することはほとんどないのですが、さすがにここまで拡大すると手持ちでの撮影は困難です。
三脚を使用してしっかりピントを合わせて撮影しましょう。ほんのちょっとの振動でも大きなブレになりますので、シャッターを押すのも慎重に。
主役を邪魔する枝を隠そう
梅の撮影で頭を悩ますのが、画面を縦横無尽に走る枝の処理。
淡い色の花の中に黒い枝があると、かなり目立ってしまいます。
柔らかな雰囲気で撮りたいと思っても、直線的な枝が画面に入ると硬い印象にもなりがちです。
できれば画面に入れない、入ってもあまり目立たないように工夫したいものです。

■撮影環境:絞り優先AE・F2.8・ISO400・Portrait
「あっ!撮りたい!」と思っても、漠然とパッと撮ってしまわずに撮影ポジションや角度をよく吟味しましょう。
枝と平行にカメラを構えて撮ると、花の隙間から枝が見えて目立ってしまいます。
そんなときは枝と水平ではなく垂直方向のポジションから撮ってみましょう。
この写真でいうと、左側の花が咲いている枝の先端方向から撮影します。

■撮影環境:絞り優先AE・F2.8(+0.3)・ISO400・Portrait
そうすると枝の先端の花が後ろの枝を隠してくれるので、枝の存在感を消すことができます。
また、ピントを合わせた位置から離れるほどボケが大きくなりますので、例えば花の背後に枝があっても大きくボケてあまり目立たなくなります。
このようにちょっと角度を変えただけでも邪魔者の存在をうまく消すことができます。いろいろな方向からよく観察して主役を活かすポジションを見つけることが大事です。
前ボケをうまく使うと枝の存在感を薄めることができます。
前ボケとは主役の花とレンズの間に他の花などを配置してボカすことです。主役の周囲にある邪魔者を隠して主役を目立たせることができます。

■撮影環境:絞り優先AE・F3.5・ISO200・Natural
密集して咲く花の中から顔をだした一輪の梅。この一輪を引き立てるため、周囲にある花や枝など煩雑なものを前ボケで隠しました。
主役の花だけをくっきり見せることで、視線をパッと主役の花に誘導することができます。
画面全体を赤い花のボケで埋め尽くすようにして、密集した梅林のイメージを表現しました。
また、画面に大きくボケを入れることでふんわり柔らかな雰囲気を作り出しています。
雨の日は宝物がいっぱい!
冬の雨、寒くて冷たくて、とてもじゃないけど撮影になんか行けない!
そんな気分になりますよね。
わかります。僕もついついそんな気分に流されそうになりますから。
でも、負けずに元気を絞り出して出かけてみましょう!
雨の日には雨の日ならではの素敵な風景に出会えますよ。

■撮影環境:絞り優先AE・F2.8(+0.3)・ISO400・Portrait
シベの先端についた二つの雫。
シベの部分だけを切り取って、ブランコがブラブラ揺られているようなイメージで撮影しました。
目玉のようにも見えるし、双子が寄り添ってブランコを楽しんでいるようにも見えます。
見る人によっていろんなイメージが膨らみますよね。
マクロで切り取る面白さは、花をその花そのものとして見るのではなく、いろんな想像を働かせていろんなイメージで見られることだと思います。

■撮影環境:絞り優先AE・F2.8(+0.3)・ISO400・Portrait
降っていた雨が止み、陽射しが差し込んできました。
そんなときはキラキラの宝物を見つけるチャンスです!
逆光方向から見てみると、たくさんついた雫に陽射しが反射してキラキラと輝いてくれます。
ピント位置や撮影ポジションによって輝きが見えなくなったりより大きくなったりしますので、いろいろポジションをさぐりながら撮影しましょう。
撮りたいイメージを意識しよう
花びらから飛び出した一つのシベを主役に。
背景には大きな光のボケを入れて、希望の光が溢れるような印象を狙っています。
少し斜めに花を配置することで、シベが空に輝く光を見上げているようなイメージになりました。

■撮影環境:絞り優先AE・F3.5・ISO400・Portrait
主役のシベですが、よく見ると光に包まれているように見えるかと思います。
ピントを奥のシベに合わせて手前のシベをボカすことで、ふわっと拡散した光に包まれているような効果を狙いました。
このボケのおかげで、より主役のシベに視線を集めることができたと思います。
焦点距離によるボケの違いを知ろう
こちらは枝垂れ梅。
枝先についた花を真下から見上げるように捉えています。
下から見上げることで、頭上の木の隙間から差し込む木漏れ日や花の色が円い後ボケになってくれました。

■撮影環境:絞り優先AE・F3.5・ISO400・Portrait
この作品では30mmマクロを使用しました。
背景のボケは焦点距離が長いほど大きなボケになります。
望遠系マクロの大きなふわっとしたボケもいいのですが、例えば光がキラキラ輝いているようなイメージで撮りたいときにはボケが大きすぎると感じることがあるかもしれません。
そんなとき、短い焦点距離のレンズを使うことで浅い被写界深度を活かしつつボケを小さくすることができます。
長い焦点距離のレンズでも絞ることでボケを小さくできますが、そうすると背景にある花や枝の形が見えてきてしまい、煩雑な印象になりかねません。
背景にどのようなボケを入れるかによって焦点距離を使い分けましょう。
最後に
ひとくちに梅と言っても色や形などさまざまな品種があります。
枝の処理など難しくついつい敬遠しがちになるかもしれませんが、ぜひ試行錯誤しながら撮影してみてください。
なにかと悪者にされてしまう枝ですが、枝を入れて撮影してはいけないわけではありません。
大事なのは何を表現したいかです。
幾何学的な枝のパターンなどをうまく取り入れることで画作りをする、というのも面白いと思いますよ。
「こうしなければいけない」と決めつけずに、ぜひいろいろチャレンジしてみてください。
ここに挙げた撮り方はほんの一例です。
いろいろな撮影方法にチャレンジしながらぜひ自分なりの撮り方を見つけてくださいね!













